それぞれの思い

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バングラデシュの外国人社会はその出身国だけにかぎらず、生活状況も多彩だ。短期契約を結ぶために来た人もいれば、バングラデシュを故郷だと思う人もいる。グルシャン(Gulshan)やショラキア(Sholakia)の襲撃事件は彼らの将来の身の振り方を再考するきっかけになった。

教育部門で働く中国人のインさんは10年以上バングラデシュに住んでいる。
「バングラデシュは問題を抱えています。貧困や貧弱なインフラ、汚職に暴力的な政治文化などです。しかし確かな進歩も存在していて、私はその発展に貢献できてうれしく思っています。人々の心の広さは大きな魅力です」
インさんは最近の襲撃事件が世界的問題を示しているとみる。
「宗教的な過激主義が大きくなるにつれ、治安情勢は世界的に悪くなってきています」

オーストラリア人のティムさんもバングラデシュで10年以上暮らし、バングラデシュ人家族がいる。
「バングラデシュの農村の人たちは私が今まで出会った中で一番素晴らしい人たちでした」
ティムさんも同様に、世界規模での治安悪化を指摘する。
「どこの政府も大きなプレッシャーを抱えています」

イギリス人とアメリカ人カップル、ジェームズさんとリサさんはほんの数年前までダッカ(Dhaka)を故郷と呼んでいた。リサさんはバングラデシュのビジネス拡大を助ける仕事している。彼らはダッカでの子育てを望んでいる。
「バングラデシュを魅力的にしているものが変わってしまったとは思いません。ダッカの混沌はいまだ人を惹きつけます。人々の活力や、農村のびっくりするほどの美しさは、いまだ言葉にできません」
ジェームズさんは言う。

ヨーロッパ出身の長期在住者ジョンさんにはバングラデシュ人の家族がいる。
「私はテロリストの何人かが生まれる前から、この美しい国に住んでいます」
ジョンさんによると、彼が雇うバングラデシュ人たちは才能があるという。才能は外国への輸出サービスの助けとなり、国内に外貨収入をもたらし、デジタル世界でバングラデシュの高速な発展に寄与した。
「昨年まではまったく不安に思いませんでした。今となっては安全だと感じるのは困難です。危険がすぐそこまで迫ってきているように感じますが、地元の人々が変化を認識しているわけではありません。見渡す限り黒い空が広がっているようです」」
ジョンさんは言う。

治安の悪化が経験を変えてしまったとジェームズさんは言う。
「以前私がぶらついていた市場には、あまり行かないようになりました。通りではよく後ろを気にするようになりました。歩くルートを変え、オートバイのそばを通り過ぎることをためらっています。かつてのバングラデシュに戻ってほしいものです。バングラデシュは岐路にあります。団結と平和の道を選んでくれることを願っています。ですが将来は暴力が増え、世俗主義の終わりになるのではないかと考えるようになりました」

ティムさんももはやぶらつくことを心地よく感じない。
「もう遠くに行こうとは思いません。自分の顔が知られている自宅付近にとどまっていたいです」

インさんはもっと哲学的だ。
「私は注意してはいますが、運命を信じます。恐れるのは簡単です。私の生への愛はさらに強いのです」

セキュリティの有効性について誰もが懸念を共有している。一般的な能力について、低次元で心配している人もいる。これらの人は仕事中に時々寝ている警察を見て、外交区のセキュリティチェックは甘いものだと不平を並べる。

政府の対応の遅さや、問題があると明言しようとしない事への不満がある。
「問題はないと何度も聞かされました。問題はあります。大問題があります」
ジェームズさんは言う。

だが最近の襲撃事件で危険を冒し、命を落とした警察官の勇気を讃えることに異論はないだろう。ジョンさんは言う。
「少しの事が起こればいいのです。政党間での協力、治安機関同士のより良い協力、国際協力の強化がなされるべきです。セキュリティチェックを誠実に行い、役人は市民に丁寧に向き合うべきです。潜在的襲撃者を早期に判別するため、ソーシャルメディアによるより良い分析が必要とされています」
「懸念はありますが、幾人もの邪な考えを持つ者たちを、被害が出る前に捕まえている治安部隊の有用性を褒めたいです。彼らは限られた資源の中で動いています」
「最終的には普通の日々に戻ってくれると願っています。苦い味にはなりそうですが」
ジョンさんはグルシャンの襲撃事件で友人を失った。
「今、私は、どのプログラムに参加するか慎重に考えています。この不確実性により間違いなく多くの人がバングラデシュを去り、来る人が少なくなるでしょう」

「駐在員のコミュニティは非常に小さく、高い可視性があります。格好の標的になります。一杯のコーヒーを手に入れるため、どのようなリスクを冒すことになるでしょうか。私はアパートの囚人にはなりたくありません」
ジェームズさんは言う。

「政府は度々私たちの懸念を見落とします。襲撃はどこでも起こると政府は言います。外国人社会はとても小さく、実は生活の質も非常に限定されていることを政府は理解する必要があります。外国人社会は駐在員たちの結束とバングラデシュの平和によって、私たちを惹きつけます。もし生活が恐怖で息苦しいものになれば、留まる人々はごくわずかになるでしょう」」
ジョンさんは言う。

ジョンさんとその家族はバングラデシュを離れるようだ。
「私たちは幸運です。選択肢があります。もっと平和などこかで、時間を過ごせます」

「ホーリーベーカリーは変容の象徴となりました。私たちに退去を促すのです」
ジェームズさんは言う。
「
ティムさんは家族の頼みに後押しされ、退去は考えていない。
「私は留まります。しかし、治安が大きな問題となりました」

「もしも私の身に何かが起こった場合、家族は私が良い人生を過ごしたと知ってほしいです。私はバングラデシュを選んだのだと。受け入れるのは辛いかもしれませんが、それが私の今の思いです」
インさんは言う。

(プライバシー保護のため、名前を変えてあります)

The Daily Star July 15 2016
http://www.thedailystar.net/frontpage/worried-yet-rallying-bangladesh-1254013

翻訳:ハセガワ

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