シレットヒルズで母語復活

シレットヒルズで母語復活
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母語がアイデンティティに不可欠要素であるということは真実であり、このことはバングラデシュでは容易に理解される。バングラデシュの歴史では言語運動が重要だったから、2月21日は国際母語デーになった。

バングラデシュの3つの母語カシ(Khasi)、マンディ(Mandi)、サドリ(Sadri)を復興させ、保護するための努力が、シレット(Sylhet)ヒルズで進んでいる。サドリはオラオン、ムンダ、カリア人の共通母語だ。

リドム・コングラー(Konglah)さんはシレット県グアイングハット(Gowainghat)郡のラマプンジー(Lamapunjee)教育センターのカシ族の生徒で、クラス1で勉強している。
「母語であるカシ語で本を読むことは、新たな希望を与えます。私だけではなく友人は皆、カシ語での読書を楽しんでいます」

「自分の母語で読むことや書くことができて、とてもうれしいです」
クラス2で勉強する9歳のレニカ・ディカール(Dikhar)さんはいう。

クラス1で8歳のリフィルダ(Rifilda)リムバ(Lymba)さんは、カシ語の詩を暗唱できたことに感動している。

カシ族(Khasis)は伝統的に丘に住み、キンマ葉を栽培する農家として有名だ。歴史的に見ると、正式な教育は彼らの社会ではあまり行われなかった。一世代前でさえ、カシ族の教師はほとんどいなかった。だが状況が変わった。カシ族がカシ語の価値をより高く評価するようになったので、カシ語教育に大きな進歩があった。

カシ語は非公式でしか教えられなかったので、バングラデシュではそのラテン系筆記体の書き言葉が、消滅の危機にさらされていた。地元で出版されたカシ語の本がなかったので、インドから輸入する必要があった。正式にカシ語の書き言葉を教えられる世代が出てきたことはかなりの復興だ。

「それは素晴らしい取り組みです。私たちの地域は大きな恩恵を受けるでしょう」
モウルビバザール(Moulvibazar)県クラウラ(Kulaura)郡コルモダ(Kormodha)ユニオン評議会メンバーのシルベスター・パタング(Pathang)校長はいう。

2013年から欧州連合(EU)とカリタス(Caritas)フランスが資金提供し、カリタスバングラデシュが実施してきたアロガール(Aloghar)プロジェクトは、シレット地域8コミュニティへの母語授業を通じ、教育アクセスと質の改善を期待する。

プロジェクトは900人以上の児童をクラス2まで支援するため、僻村38教育センターの設立に関わっている。アロガールの技術責任者マーグレット・シュメール(Sumer)氏によると、授業が母語で行われると理解しやすくなるため、生徒はさらによく学ぶという。

カシ、マンディ、サドリを学ぶことは、一緒に学ぶベンガル語や英語の才能を伸ばすことにも役立つ。
「先生はまずカシ語で教え、その後ベンガル語に翻訳してくれます。こんな風に教えられると、学ぶのがとても簡単。だからほとんどの生徒が定期的に授業に出席します」
クラス2で勉強する10歳のディニム(Dinim)コングワング(Kongwang)さんはいう。

ラマプンジー教育センターのレベカ・ディカール(Dikhar)校長は、カシ族の生徒は以前読書にあまり意欲的ではなかったが、母語で読むようになると、読書することに自信を持つようになるという。

クラウラ郡プランチョルタプンジー教育センターで教えられる言語はマンディ語だ。スリーマンガイル(Sreemangal)郡モングラボスティ(Mongrabosti)茶畑(Tea Garden)教育センターでは、サドリが教えられている。
「子供たちが自分たちの母語で学ぶことができることを非常に嬉しく思っています」
クラウラ郡のサリフル(Shariful)イスラム初等教育官はいう。

モウルビバザール県の教育官は、プロジェクトは入学した先住民族の児童たちの間で、数学と一般的な言語能力をさらに伸ばすのに役立っていると指摘する。
「プロジェクトは先住民族の子どもたちが、より高い教育にアクセスするという新しい希望をもたらします」

アロガールのピウス・ナヌアル(Nanuar)地域マネージャーによると、プロジェクトは着実に進歩し、拡大する計画が進行中だという。

The Daily Star July 20 2016
http://www.thedailystar.net/country/mother-tongue-revival-bid-sylhet-hills-1256494

翻訳:アラトモ

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