農家にまめな利益を

農家にまめな利益を
数日前、私はバングラデシュ西部、メヘルプール(Meherpur)県カタルポタ村へ行ってきた。そこで1200ビガ*の広大な土地が豆で覆われている風景を目にした。過去10~15年、メヘルプールや国内各地では高価値作物を栽培することで農家の生計が発展してきた。豆はかつてイシュワルディ(Ishwardi)の広大な土地で栽培されていた。時間の経過とともに今、バングラデシュの様々な地域に広がっている。

農業普及局(DAE)の支援を受け、農家は多様な作物を栽培している。豆もその一つだ。冬野菜が市場に出始めた。皆さんは出回り始めた頃の季節野菜の値段が高いことはご存じだろう。豆はダッカで今、キロ当たり80~100タカ(110~138円)の値を付ける。メヘルプールの農家は今まさにキロあたり70~80タカ(97~110円)で売っている。これを見れば中間業者が減っているのは明らかだ。

メヘルプールではとりわけ初冬野菜の栽培と収穫が農家に一定の利益をもたらす。今シーズンは自然災害が少なかったため、農家は安心して作物を栽培する。モンスーンから冬の始まりにかけての秋(Sharat-Hemanta )の穏やかな気候の中、農家は多くの野菜を栽培している。メヘルプール全県やカタルポタ村では特に豆栽培が注目されている。メヘルプール農業普及局によると、カタルポタ村の豆栽培面積は1200ビガ以上、メヘルプールサダー郡では240ヘクタールだという。去年440ヘクタールだった県内の豆栽培は今年460ヘクタールに増えた。

私は自らの成功にかなり満足している農家と豆畑で話した。

「栽培経費は今年いくらでした?」
「だいたい1ビガ当たり、8千タカ(1万1049円)ぐらいですね」
「どのくらいの面積で栽培してるんですか?」
「6ビガですね。1ビガあたり7~8万タカ(9.7~11万円)ぐらいになればいいですけど」
「ということは4万8千タカ(6万6292円)の経費をかけて、48万タカ(66万3千円)になればいいってことですね」
「そう期待しています」

近くにいた別の農家とも話してみた。
「どれくらい経費をかけました?」
「1ビガ当たり8千タカです」
「どのくらいの面積を栽培してます?」
「2ビガです。経費は1万6千タカ(2万2097円)」
「どのくらい収入があったらいいと思います?」
「15万タカ(20.7万円)以上ですね」

小規模農家は少額投資で、最大限の利益を得る。農家は豆の他キュウリやナスを栽培する。生計の変化はかなり明白だ。教育の割合も増加した。新築の家など、住宅の変化も簡単に追跡できる。農家は独自に発展したが、背後に豆が果たした重要な役割があった。

農家のラムズさんは豆栽培で見事な仕事をしてきた。彼は異色な物語を私に話してくれた。
「私は父から7ヶ所の土地を相続しました。そこで栽培し、その後2ビガの土地を買いました」
「それから?」
「牛を飼育し、魚を養殖し、土地を借り、そこで働きました」
「それで?」
「コンクリートの家を建てました」
「すごい。どれくらいかかりました?」
「40万タカ(55.2万円)ぐらいだったかな」
「ほんと、すごいですね~」
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読者のみなさん、ここでメヘルプールだけでなく、バングラデシュ全土で起きている豆栽培に関連した別の物語に注目してみよう。私は豆畑で大規模に農薬を使うの見て、すべての肯定的な成功物語がぼんやりとしてきた。農薬を散布するのにほんのわずかな注意も払わないのだ。農家は使いすぎると有害な影響を受けることは知っているが、全然気にしない。

農業普及局の現場職員でさえ、これらを見て何の指導もしない。本当に驚くべきことだ。どんな種類の農薬を散布するにしても顔にマスクをつけるか、少なくともタオルで覆う必要がある。

「目の前の農家が何の防御もせず、農薬を使っています。こうすることは正しいことですか? 彼に何かすることはないのですか?」
私は1人の現場職員に尋ねた。

「全く正しくありません。関係者すべての健康リスクの原因になります。そのうえ空気を汚染し、農家以外の人にも影響を与えます」
現場職員は答えた。

イチゴ畑で農薬を使うドイツの例を挙げてみよう。農家が各畑ごとに申請している農薬量は、農業局から与えられたカードに記入されている。農家はそのカードなしに余分な農薬を1滴たりとも買うことはできない。

農家と話しているとき、背負い噴霧器で農薬を散布したばかりの別の農家が近くを通りかかった。

「農薬を撒いてきました?」
「ええ」
「あなたはマスクをしていませんよね」
「誰もそんなことを言いませんから」
「いつ豆を売ります?」
「3?4日後かな」

読者のみなさん、食べ物は豊富にあるが、私たちは有機農業や食の安全性について真面目に注意を払う必要がある。バングラデシュはすでに食料安全保障を達成したが、食の安全性を真に獲得するのはまだこれからだ。農作物ごとの農薬使用量に関し、政府が適切な規則を作り、規制すべきだ。それに加えて農家が私たちのために安全な作物を栽培し、収穫できるよう、別の問題を検討する必要がある。

*ビガは面積単位。地方によって差がある。1ビガは1/3~1エーカー。1エーカーはおよそ1200坪。サッカーグラウンド1つ分くらい。

バングラデシュ/The Daily Star Nov 17 2016
http://www.thedailystar.net/country/bean-boon-farmers-1315867
翻訳:吉本
#バングラデシュ #ニュース #農業 #規則