沿岸バングラデシュの遺産

沿岸バングラデシュの遺産
バングラデシュ南部は自然と資源に恵まれている。数日前、私はポトゥアカリ(Patuakhali)県カラパラ(Kalapara)郡ニルゴンジユニオンを訪問した。そこのナビプールは、ゴルパタ(ニッパヤシ)ジュースとグル(糖蜜)で有名な村だ。バングラデシュ南部の最も重要な遺産の1つとして、私たちはそれを誇りに思うことができる。

ニッパヤシはナビプール村の農家の、稲とは別の生計の柱になっている。

ゴルパタとはベンガル語で丸い(ゴル)葉(パタ)を意味する。だが沿岸地方で多く見られるゴルは、ココナッツに似た葉を持つ独特なタイプの樹木だ。これは南部の運河によって豊かに成長する。この作物は塩水によって繁殖するのだ。ニッパヤシは世界各国の沿岸部で育っている。

数十年もの間、この木は農業経済を高め、沿岸地方の暮らしと不可分のものだった。

ニッパヤシは自然に生えるが、ここで暮らす多くの人の生計を助けている。私はナビプール村でニルマル・チャンドラ・ムリドハァさんという農家に会った。

「私たちはニッパヤシからジュースや糖蜜を得るだけではありません。葉で屋根を葺き、柵を作ります」

確かに家庭のさまざまな種類のニーズに役立っている。

ニッパジュースはバングラ月のオグラハヨン、ポウシュ、マグ、ファルグン、チョイットロ(11月中旬から4月中旬頃)に採取する。

「5カ月間、ジュースを集めることで、どれくらいの収入がありますか」
ニルマリさんに尋ねた。

「毎日糖蜜を12kg集めます。今年の価格はよく、キロ当たり70-80タカ(98~112円)になります」

「するとあなたは5カ月間、毎日千タカ(1405円)の収入があるというわけですね」

「はい」

地元農家はニッパヤシ園は50~60年前に作られたと言う。それは徐々に広がっていると。

親愛なる読者の皆さん、ナビプール村ではどの家もニッパヤシ園を持っている。彼らはジュースを集め、糖蜜を作り、近所の市場で売る。

私はニッパジュースが沸騰しているジャガディシュ・チャンドラ・サーカーさんの家を訪ねた。

私はこのベテランニッパ農家と少し話した。

「ニッパ農業は何世代にも渡って行われてきました。私は息子のウッタムと共にこの遺産を守ることを誇りに思います」
ジャガディシュさんは誇らしげだ。

ジャガディシュさんは、この地域のニッパヤシの由来について簡単に説明してくれた。

「最初はビルマ(現ミャンマー)人がここで始めました。彼らはジュースを取り、魅力的な商品にしました」

「後で糖蜜を作ったのは誰ですか?」
私はジャガディシュさんに尋ねた。

「私たちの祖先です」
ジャガディシュさんは大胆な主張した。

息子ウッタムさんの奥さんディパリさんは、ニッパジュースを沸騰させるのに忙しい。このプロセスには長い時間が必要だ。彼女はこの仕事の本当の専門家だ。

「今日、あなたは沸騰させている生ジュースの量はどれくらいですか?」
私はディパリさんに尋ねた。

「60kgです」

「ここからどれくらいの糖蜜が採れますか?」

「15、16キロぐらいです」

糖蜜を作るには1時間ほどジュースを沸騰させなければならない。私は彼女を働かせたまま、近くを散策してみることにした。

私は村のあちこちでスンダリ(マングローブ種)の木を見かけた。水田もある。ウッタムさんはニッパヤシ園からどうやって生ジュースを集めるのか教えてくてれた。

1つの枝を曲げ、マッサージする。7~8日間そうしたあと、切り口を入れ、ツボの中にジュースを貯めていく。同じ切り口から7日間ジュースを集める。そのプロセスは実に興味深い。

ウッタムさんは大きなニッパヤシ園から自分自身のジュースを収穫することはない。彼はニッパヤシを他人に売り、買った人が果樹園からジュースを取る。

「いくらで木を売りましたか?」

「それぞれ60タカ(84円)です」

「栽培コストや農業へ資本投入はどうなってますか?」

「栽培や維持の費用はほとんどかかりません」
ウッタムさんは答えた。

農家は本当のところ果樹園にいる蜂を恐れている。それが直面する主な障害だが、彼らは何とかそれに対処している。

この地方の伝統に従い、農家は初日にジュースを家に持ち帰らない。ジュースでパエッシュ(プディング)を作り、狐のため、木の根元に置いておく。狐を尊重することで、ニッパヤシ園が守られるという。

地元農家はニッパヤシ農業と他の作物栽培を同時に進めたいと思っている。だがニッパヤシ栽培に必要な塩水は、他の主要な作物には必要ない。

「農業局が掘削道を計画通りに整備すれば、塩分のある水でニッパヤシ栽培ができ、上の平地を一般農業に利用することができます。そうなれば、どちらも利益になるのです」
ニルゴンジユニオン議会のナシルディン・マームド議長は話した。

糖蜜の準備が整った。ディパリさんは他の人と違い、糖蜜を堅くするために砂糖は入れない。だがそれは本当においしかった。これを読んだ読者の皆さん、あなたも是非試してみてください。

読者の皆さん、自然は各地方で様々な生計を生み出します。この地域では糖蜜でした。それは私たちの大きな遺産です。私たちはこれらの伝統を維持できるはずです。同時に地域の人々がニッパヤシ園の生計を維持し、ニッパジュースの伝統を守るためには、計画的に運河を掘り、堤防を建設する必要があります。この地域の偉大な遺産の生存と成長のため、先見性のある考えに基づいた農業開発計画を立てなければなりません。

バングラデシュ/The Daily Star Feb 09 2017
http://www.thedailystar.net/country/heritage-coastal-bangladesh-1357963
翻訳:吉本
#バングラデシュ #ニュース #ニッパヤシ #糖蜜