働く女性に託児所が足りない

働く女性に託児所が足りない
ビナ・ラニ・デイさんは6カ月間の産休後、職場に復帰した。だが、彼女の両親の生活が大きく変わってしまった。

ビナさんの仕事中、孫のソマドリタちゃんの世話をするため、両親はアルマニトラ(Armanitola)からゴピバグ(Gopibag)に引っ越さねばならなかった。

「私も夫も働いています。娘の面倒を見てくれる人は他にいません。他に選択肢が無かったので、両親を説得して引っ越して来てもらうしかありませんでした」
ビナさんは話す。彼女はダッカ医科病院に勤める医師だ。

事例はこれだけではない。家庭や職場の託児所に適切で信頼できる世話役が不足していることで、多くの働く女性が悩んでいる。

仕事に就く女性が増える一方、いまだに多くの女性が子どもの面倒を見るために退職したり、パートタイム労働に就かざるを得ない状況だ。

2013年の労働力調査(LFS)によれば、現在1680万人の女性が銀行・保険業やIT・通信業、NGO、農業、そして輸出の中心産業である衣料品業といった幅広い仕事に従事している。

約20年前、1995-96年のLFSによれば、当時は働いている女性の数は僅か467万人だったという。

雇用全体に女性が占める割合は、1995-96年の14%から、2013年の29%へ上昇した。

女性の雇用数が増加したにもかかわらず、乳幼児の育児問題は官民双方で放置されていた。

女性の経済活動への参加を阻む障壁として、育児や乳児の早期発達に対する懸念があり、それが出世の妨げになっていると評論家らは話す。

託児所数については推定値がないが、その数字は僅かだという。

例えば、女性児童問題省(MOWCA)は国内全体で43カ所の託児所を運営している。そのうち24カ所はダッカ(Dhaka)にあり、残りはダッカ以外だ。36県には施設が存在しない。そのうえ託児所の大部分は低収入世帯向けだ。

衣料品工場の経営者や銀行、NGOなど一部の事業者は、職場内に従業員向け託児所を設けている。

国営銀行は2015年、モティジール(Motijheel)に託児所を開設した。その後、21の民間銀行が同地区に従業員向け託児所を設置した。

NGOや民間の起業家らも数々の託児所を運営している。

だがこうした商業的に設けられた施設は、質についての懸念がある。

民間託児所で受けられるサービスの質には否定的な意見があると、ビナさんは話す。
「子どもが鎮静剤で寝かしつけられているという話があります。また、お手伝いさんを雇って子どもの世話をするのも信用できません」

政策対話センター(CPD)のファーミダ・カトゥン所長によれば、多くの女性は学業を終えた後に雇用されるという。だが彼女たちの一部は結婚後の様々な出来事に対処できず、退職するという。

「これは女性が経済活動へ参加する際の障壁です。政府はより多くの託児所を設ける必要があります」

この問題を解決するため、多くの女性は何世代かで暮らす傾向があるという。

女性の貢献を増やすため、これに加え、安全な交通機関や寄宿舎も必要だとファーミダ所長は話した。

開発雇用研究所のルシダン・イスラム・ラーマン所長によれば、十分な託児所があれば長期的には労働者・雇用者双方を含む社会全体にとっての助けになるという。

「多くの女性は家庭で子どもの世話をしてくれる人がいないため、労働市場に参入していません」

子どもにとって好ましい環境を確保するための託児所が十分ではない。ラーマン氏は複数の工場を訪問しながら話した。

ダッカは土地が不足して地代が高額であるため、雇用者は託児所の設置に意欲を示さないという。ラーマン氏はより多くの女性を労働力とするため、低料金の託児所を設置するよう政府に提案した。同時に保育士の訓練も必要だという。

女性福祉団体ナリ・サンガティのカニズ・ファティマ広報部長によれば、労働法では40人以上の女性職員を抱える組織は、6歳以下の子ども向け託児所を持たなければならないという。だが、多くの場合順守されていない。

「仕事に就いている人たちだけではありません。まだ勉強を続けている母親たちにも託児所は必要です」

労働法も制約に苦しめられているとファティマ氏は話す。
「女性が3人だけしかいない職場についてはどうでしょうか。託児所は全ての職場に作られるべきです」

The Daily Star Mar 08 2016
http://www.thedailystar.net/business/lack-daycare-centres-frustrates-working-women-1372447

翻訳:長谷川
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