貴重な水

貴重な水
3カ月前、クルナ(Khulna)県ダコップ(Dakop)郡チャルナ自治体のジョスナ・ビスワスさんは水を汲むため、1日2回、1.5キロ離れた池まで歩かなければならなかった。

この地域では、地表水や地下水の塩分濃度が大きな問題となっていた。

水を汲むことができなかった日、彼女の夫プロディップ・ピスワスさんは、40キロ離れたクルナ市街地から水を運んでくれるよう地元の商人に頼んだ。

運ばれてきた水瓶に50タカ(69円)がかかったうえ、運んだ商人には20タカ(27円)支払わなければならなかった。

飲料水確保の大変さを考えると、3人家族は少量の水で生活しなければならなかった。だが親戚が来るたび、夫婦は水のことを心配するだろう。

今年初め、自治体敷地内に地下水処理場ができたことで、この心配は解決した。

「もう飲料水について心配していません。今では自治体オフィスからもらったカードで水を確保することができます。やることはカードを読み取り機に通すだけです。一回で15リットルの水が汲めます」
「家からほんの数歩のところで水が汲めます。1リットルの水はわずか40パイサ(約0.67円)です。最初に機械を使ったとき、少し混乱しましたが、操作は非常に簡単でした」 
ジョスナさんは笑う。

今年1月、地元の非政府組織ルパンタール(Rupantar)は少人数グループに低価格で飲料水を提供するため、ウォーターエイドバングラデシュと香港上海銀行公司(HSBC)と協力して自動販売機を設置した。

午前8時から午後8時まで稼働する自動販売機には3つブースあり、1日約8千リットルの水を提供する。1つのブースでは1度に10リットル、15リットル、30リットルの水を提供する。

プロジェクト費用は310万タカ(431万円)で、自治体は自動販売機を置く建物の設置に70万タカ(97万円)提供したと、プロジェクトマネージャーのザヒドル・ラーマン氏は話す。

これまで210世帯にこのカードを支給したが、自治体は600世帯にサービスを広げるつもりだとという。

カードを使うことで1人1日3リットルの水を汲むことができる。家族の誰かが水を汲むこともできる。

たとえば4人家族の場合、1日に12リットル、月に合計360リットルの水を汲むことができる。360リットルの割り当てを使い果たすまで、1日にもっと多くの水を汲むことも可能だと、プロジェクトマネージャーは説明する。

その後、水を再び得るためにはカードを補充する必要がある。だが夏場は1人当たり4リットルになるように水量を増やしているという。

どうやってカードを入手するかという質問に対し、サナット・クマール・ビスワス市長は、自治体オフィスに申請書を提出して承認された後、受け取ることができると答えた。実際入手するには有権者IDカードのコピー、パスポートサイズの写真、住んでいる区の推薦状を提出し、200タカ(278円)を支払う必要があるという。

自治体オフィスが書類を確認し、カードを発行する。カードの有効期限は再補充されない限り、90日後に失効するという。

100タカ(139円)はカードの発行費用、残りの100タカ(139円)はカード有効化に使われる。カードは1カ月に999タカ(1389円)まで補充することができると、市長は答えた。

カードを機械に通すたび、1リットルにつき、40パイサ支払われる

「私たちは申請を確認して家族を選んでいます。請求金額はプラントの修理とメンテナンスのためのものです」
国内に初めて地域密着型の自動販売機プラントを設置した水処理施設サナット(Sanat)の担当者は話した。

建物の管理者アミルル・シェイク氏はプロジェクトに参加でできて幸せだという。
「施設を清潔に保ち、整列を求める他、機械の使い方がわからない人を助けています」

ダコップ郡公衆衛生局の関係者によると、郡内には46の公共池があったが多くは涸れていたという。飲料水の需要を満たすため、新たに2つの池しか掘られなかった。また浅層井戸は810カ所あったが、深層井戸はなかったという。

塩水地域のため、郡内では何年もの間、飲料水危機に直面してきた。塩水は川や水域に流れ込み、数千人に影響を与えてきた。

バングラデシュ/The Daily Star Mar 22 2017 
http://www.thedailystar.net/frontpage/precious-water-people-need-1379449
翻訳:藤重
#バングラデシュ #ニュース #飲料水