ブラシ作りで人生が変わる

ブラシ作りで人生が変わる
ラムジャン・アリさん、ロコン・モローさん、アブドゥル・マンナンさん、3人の起業家には共通点がある。タンガイル(Tangail)県デルドゥア(Delduar)郡ロウホチユニオンのヘレンドラパラ村の出身で、それぞれがブラシ工場を経営している。彼らの努力は村に産業をもたらし、村の将来が明るくなった。彼らの行動は数百人の村人の人生を変えた。

ラムジャンさんは収入の道を探すため、数十年前、15歳で村を離れた。ダッカへ行き、ラルバグブラシ工場に就職した。数年後、ロコンさんとマンナンさんが続いた。彼らは村の静けさを捨て、ブラシ工場の騒々しさや給与を選んだ。

仕事を求めてヘレンドラパラ村を出ることは珍しいことではなかった。ダレスワリ川の河畔にある僻地にはほとんど仕事がない。10年前ですら土木工事や船頭以外に仕事はなく、多くの家族が飢えで苦しんでいた。

ヘレンドラパラを出ることは珍しいことではないが、再び村に戻ってくることは珍しい。

従業員として働き始めて数年後、ラムジジャンさんは暖簾分けしてもらうことになった。ラルバグから最新の設備を借り、工場の経営者になったのだ。そして25年後の2007年、故郷に工場を作ることを決めた。

Workers cutting and shaping brushes at a factory in the village. Photo: Mirza Shakil

Workers cutting and shaping brushes at a factory in the village. Photo: Mirza Shakil


「適当な場所と手頃な人材を確保するのに苦労していました。ダッカでは収入の大部分は工場と家賃で無くなったので、移転することを決めました」
ラムジャンさんは話す。

ロコンさんとマンナンさんはラムジャンさんに誘われ、一緒に働いた。それから5年でヘレンドラパラに3つにブラシ工場ができた。

「私は1日最大5ダースのブラシを作ることができます。品質やサイズに応じて1つにつき2~5タカ(3~7円)もらえます」
仕事熱心な元主婦のハリマ・ベガムさんはいう。

工場の収入が月3千タカ(約4100円)を越えたおかげで、子どもを学校に通わせることができたという。
「工場で仕事をする前、私の仕事は調理用に乾燥葉を集めることだけでした」

Handles made with kodom wood are being shaped. The photos were taken recently. Photo: Mirza Shakil

Handles made with kodom wood are being shaped. The photos were taken recently. Photo: Mirza Shakil


近所のロジナ・アクターさんも同じように話す。
「工場からの収入で家族を養い、自分のためのお金もあります」

3工場では350人の女性を含め、約500人の村人が働いている。

当然だが、ブラシ工場の収入で得られた豊かさは周りに影響を与えた。
「貧しい女性はほとんど市場にいません。前はお金を使うことができませんでしたが、今では私の店を含めてお得意様になっています」
ロウホチバザールで文房具店を開くバダル・チャクロボルティさんは話す。

靴用、コート用、カーペット用、プレス用、絵具用など、ヘレンドラパラでは幅広いブラシ製品を作っている。木製の持ち手は地元の木材業者から購入したコドムの木でできている。ダッカのなめし革業者から牛の尾の毛が届き、ナイロンと鉄のワイヤーがあれば原材料がそろう。

工場では牛の毛やナイロンや木材を切断して形を整える。女性従業員がそれらを集める。仕上げと焼き付けは工場で済ませ、最後に太陽光で乾燥させる。ほとんどがダッカのブラシ工場に売られて、どこで作られたかは都市ロゴで隠される。

だが、起業家たちはこれだけで満足していない。
「一部の輸出業者は中国に牛毛を輸出し始めました。国内価格は2年前1kgあたり50タカ(70円)だったものが、275タカ(380円)へと値上がりしました。利益は減っています」
マンナンさんは話す。

「警察は毎年約3万個の靴用ブラシを買っていましたが、今では中国のブラシを使用しています。これらのブラシは基本的に同じです。中国製は持ち手にロゴがないところだけ違います。請負業者は外国のブラシをそれぞれ60タカ(8円)で警察に売ります。私たちは22タカ(30円)で中間業者に販売しています。それでは安く、品質に影響します。消費者が30タカ(41円)で購入してくれれば、中国産より優れた製品を保証できます」
マンナンさんは付け加えた。

「工場では数百人の村人を雇っています。しかし政府の支援や国内組織との大きな契約はありません。私たちは警察や軍、国境警備隊、緊急行動隊(Rab)に納品してきました。彼らは国内産業やヘレンドラパラを支援してくれるでしょう」
ロコンさんは話した。

バングラデシュ/The Daily Star Apl 04 2017
http://www.thedailystar.net/backpage/change-maker-the-brush-makers-who-changed-many-lives-1386082
翻訳:藤重
#バングラデシュ #ニュース #ブラシ工場