南アジアでは男女格差が拡大

国際的には女性の労働参加が増えている中、南アジアでは他のどの地域よりも男女格差が拡大した。国際労働機関(ILO)が昨15日に発表した。

南アジアはアフガニスタン、バングラデシュ、ブータン、インド、ネパール、モルディブ、パキスタン、スリランカで構成される。

ILOによる報告書"世界経済社会概観:女性の傾向2017"では、南アジアで労働市場で活動している女性は3人に1人以下で、女性の参加率は男性よりも51ポイント低いとされる。

過去10年間、他のどの地域よりも格差が拡大したと報告書は述べている。

「世界レベルでは労働参加の男女格差についていくらかの改善が見られた。だが、アジアではそれほど明らかになっていない」

東アジアと南アジアは過去20年間で女性の労働参加率が減少し、男女格差が拡大したただ2つの地域として浮かび上がった。

ただし東アジアは女性の参加率が61.3%と世界第2位であるため、男女格差はそれほど深刻なものではない。

2014年、G20のリーダーたちが行った誓約通り、2025年までに参加率の男女格差を25%縮めることができれば、世界経済は新たに5.8兆ドル(640兆円)が潜在的に加算される。

このうち3.2兆ドル(353兆円)はアジア太平洋地域単独で生じるという。

格差が縮小すれば経済成長の"新しい低水準"に合わせることになり、税収額の大幅な向上も見込める。ILOアジア太平洋事務所の経済学者で報告書の共著者の一人でもあるリチャード・ホーン氏は話した。

より多くの女性が労働の世界に参加することで、大きな経済効果に加え、福祉にも大きな効果があるとホーン氏。

南アジアでは女性の労働市場への参加が男性に比べて著しく低く、女性が仕事を探そうとしても仕事を見つけづらい。

「さらに、この地域の女性は男性に比べて質や賃金支払いで劣る仕事についている」

東アジア・東南アジア・太平洋地域で聞き取り調査を行った所、約80%の女性が一人で家にいるよりも賃金労働をする方を好むと回答した。

だが一方で、これらの地域の労働年齢の女性は約40%しか労働市場に参加しておらず、女性の賃金労働への完全な参加を阻む障壁がいまだに残っていることが示唆される。

ILOアジア太平洋地域総局長の西本伴子氏は、この地域には女性の労働参加を阻む障壁が未だに固く根付いていると話す。
「我々は労働政策を家庭に優しいものに改善し、女性が労働市場に参加できるよう、より良い選択を行っていく必要があります」

アジア太平洋地域の女性回答者の20%以上が、労働参加の大きな障壁として"仕事と家庭のバランス"を挙げた。東アジアでは全地域で最多となる22%の回答者が"手頃なケアサービス不足"を女性に対する障壁として挙げた。

報告書では、差別や教育、賃金の出ないケア仕事、仕事と家庭のバランス、軍における地位といった、女性を阻む社会標準や社会経済的制約に立ち向かい、女性の労働市場における状況を改善するという包括的アプローチが唱えられている。労働市場での平等性を改善するには、特に男女の役割の適合性の再形成が不可欠だ。

バングラデシュニュース/The Daily Star Jun 16 2017
http://www.thedailystar.net/business/gender-gap-widens-south-asian-labour-market-ilo-1420927
翻訳:長谷川
#バングラデシュ #南アジア #賃金労働 #男女格差