医薬品部門は15%の成長予測

医薬品部門は15%の成長予測
新たな調査によれば、バングラデシュの医薬品部門は国内市場の拡大や新たな輸出先の開拓による恩恵を受け、今後5年間は15パーセントの成長を遂げることができるとされる。

「インドの医薬品産業と同様の道をたどるのであれば、驚くようなことではないだろう」
資産管理企業のLRグローバルは、バングラデシュの医薬品部門に関する報告書の中で述べた。

報告書によれば、隣国インドの医薬品部門は20年間で30倍に成長したとされる。

現在バングラデシュの医薬品部門は国内需要の98パーセントを満足しており、125か国以上に輸出を行っている。

報告書の中では、社会経済的最貧層の経済力向上や疾病構造の変化が、バングラデシュにおける健康管理支出の拡大を後押しすると予測している。

バングラデシュの疾病構造は主に2つの点で変化すると予測される。非伝染性疾病の増加と、急性疾病から慢性疾病への漸進的な移行だ。

国内の高齢人口も増加している。2036年には50歳以上の人口が全人口の約25パーセントを占めるだろう。

加えてバングラデシュは中所得国の仲間入りに向けて前進しており、収入の継続的な拡大により薬剤の購買力が上昇する見込みがあると分析される。

医薬品部門は世界の舞台でも成長する機会があり、衣料品に次ぐ主力部門として浮上するには十分な環境だ。

「後方統合や品質調査、そして熟練した人的資源により、バングラデシュの医薬品産業は特許切れジェネリック医薬品の製造において世界のリーダーとなれる」

健康管理事業者らは世界的にジェネリック医薬品を受け入れるようになりつつあり、バングラデシュはこの傾向を活かし米国やドイツ、フランス、英国、日本の市場に進出することができるだろう。

2013年時点で、ジェネリック医薬品は全世界で1,680億ドル(18兆5,400億円)相当と評価されており、2021年には3,800億ドル(41兆9,400億円)に達すると予測される。

新興市場もバングラデシュの輸出先として見込みがある。これらの市場における医薬品支出は2015年時点で2,490億ドル(27兆4,800億円)であり、2020年には3,450億ドル(38兆700億円)から3,750億ドル(41兆3,800億円)に達すると予想されている。
「低~中収入国の新興市場の大部分では多国籍の医薬品企業が支配的だが、バングラデシュの企業はこれらの市場に参入できる可能性を秘めている」

過去10年間、バングラデシュの医薬品産業は広大な消費基盤に後押しされる形でふた桁成長を遂げ、健康に対する認識や支援的な規制の枠組みを改善してきた。

部門の成長は2つの方針によって後押しされた。その片方は1982年の薬剤統制布告であり、外国企業による国内での輸入医薬品の販売を禁止したものだ。

もう片方は世界貿易機関(WTO)による知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)の緩和であり、これによりバングラデシュは特許が取得されたジェネリック医薬品の解析を許可された。後発発展途上国を対象とするTRIPSの緩和は2032年まで延長された。

2015-16会計年度の医薬品の年間売上額は1,560億タカ(2,133億円)だった。
「1982年には産業規模がわずか17億タカ(23億2,400万円)であったため、大きな飛躍と言える」

医薬品の輸出は2011年から2016年にかけて14.6パーセントの成長を記録しており、2016-17年度の輸出額は9,030万ドル(99億6,500万円)を記録すると予測されている。

「ある意味では、医薬品部門はバングラデシュで最も成功した部門です」
ベキシムコ製薬営業責任者のリズヴィ・ウル・カビル氏は話す。また現在の地位を得るために、品質への妥協はなかったとリズヴィ氏は補足した。

市場の成長に伴い、標準を国際水準まで引き上げるべく皆が品質や研究設備、人的資源への投資を行い、これにより国内の企業が先進的で高度に規制された市場に参入できるようになったとリズヴィ氏は話す。

例えば、ベキシムコ製薬は世界で最も規制が強い薬剤市場の一つである米国に対し、すでに昨年から商品の輸出を開始している。ベキシムコは高血圧に対する処方薬の一種であるカルベジロールを輸出した。

バングラデシュの医薬品産業では国内の業者が支配的だ。調査によれば、トップを走るスクウェア製薬は市場シェアの18.8パーセントを掌握しており、その後ろにはインセプタが10.2パーセント、ベキシムコが8.5パーセント、オプソニンが5.6パーセント、レナタが5.1パーセント、エスカイエフが4.5パーセントで続くとされる。

レディアントやノボ・ノルディスクなどの多国籍企業の市場シェアは特化した製品に的を絞っており、10.5パーセントの市場シェアを抱えている。調査によれば、現在がん治療薬は輸入に頼っているが、レナタやアクメなど一部の国内業者はこの分野に大きな投資をしているという。

「国内企業が良質な製品を手ごろな価格で製造できるという事実を踏まえれば、がん分野は将来的に魅力的な成長分野として浮上するといえる」

だがバングラデシュは、原材料を輸入に頼っている。

毎年、470億タカ(642億6,000万円)に相当する原材料の90パーセント以上が輸入されている。そのため、この産業は外国からの衝撃に脆弱であると報告書には述べられている。

政府はこの問題に対処するべく、ムルシゴンジ(Munshiganj)で原薬工業団地の建設を開始した。2018年までには、団地内の区画を取得した企業の半数以上が稼働を開始すると見込まれる。

とある製薬企業の上級役員によれば、原薬工業団地の完成後は原材料の半分以上をこの団地から仕入れられるようになり、輸入への依存が減少するという。

工業団地はバングラデシュに国際原薬市場への道を切り開きうると報告書には記されている。

バングラデシュニュース/The Daily Star Jul 06 2017
http://www.thedailystar.net/business/pharma-sector-grow-15pc-year-study-1429024
翻訳:長谷川
#バングラデシュ #ニュース #医薬品