バングラデシュの魚革命

バングラデシュの魚革命
ここ30年、養殖魚市場で25倍の成長を遂げたバングラデシュは、静かな魚革命を経験している。

国内では年間200万トン近くの魚の養殖が行われ、養殖業者の75%が卸売業者に販売している。

80年代半ばには養殖魚生産量12.4万トンのうち60%(7万5千トン)が市場で取引されていた。現在養殖魚200万トンのうち90%以上が商業販売されている。

バングラデシュの養殖魚文化の発展に関する国際的な研究はこのデータをもとにしており、養殖魚は主に自家用という伝統的な見方を否定している。


最近、国際食品政策研究所(IFPRI)と米国ミシガン州立大学の研究者によって行われた調査研究が国際誌アクアカルチャー(養殖)に掲載された。

市販されている養殖魚の42%は都市部で消費され、そのシェアは急速に拡大しているという。

ワシントンに本拠を置く世界的シンクタンクIFPRIは、「バングラデシュの魚の価値連鎖はすべての分野で急速に成長し、変化している。魚の価値連鎖の静かな革命が国内市場で進行している。養殖魚の94%は国内消費を目的とする」と指摘している。

バングラデシュの年間養殖漁獲高約200万トンは中国、インドネシア、インド、ベトナムに次いで世界第5位の内陸水産物生産国だと、国連食糧農業機関(FAO)“世界の漁業、水産養殖2016年”報告は述べている。

「養殖はバングラデシュ経済の重要な推進要素で、衣料品産業同様多くの雇用を生み出し、国内で成功事例も増えています」
IFPRIの研究コーディネーターで調査研究の執筆者リカルド・ヘルナンデズ氏は話した。

わずか10年前、地方の養殖業者は魚を地元商人に売っていた。だが、今では3分の2を市街地に拠点を置く大規模卸売業者に販売している。

調査研究ではこの10年でバングラデシュの漁獲量が3倍になったことも指摘する。

バングラデシュ漁業局(DoF)の統計にも、国内漁獲量の急激な変化が表れている。

この10-12年間、漁獲量に占める養殖魚の割合は43%から56%へ増加した。これは内陸で養殖された魚が、川や海などの自然界で捕獲された漁獲量を追い越したことを意味する。

DoFの統計によると、バングラデシュの年間漁獲量は通常370万トンで、56%ほどが養殖魚、26%は捕獲魚、残りが海洋魚だという。

「調査結果で一番驚いたのは、地方や都会の商人、仕入れ業者、飼料工場といった多くの非生産部門分野の成長です」
ヘルナンデズ氏はいう。

「主に中小養殖業者が急増したため、より競争的な環境が生まれました。その結果、新技術の採用が進められ、生産性が向上しました。これは貧困層と低所得層の消費者に多大な利益をもたらしました」

需要の増加や技術、通信、インフラの改善、数百万の養殖業者や中小起業家の投資で急速に成長したと、ヘルナンデズ氏は補足した。

「初期段階では政府が魚卵生産や電気・道路などのインフラ投資、事業としての見通し、土地利用、魚種の選択などに重要な役割を果たしたにも関わらず、NGOや政府の行動が変えたのはわずかに過ぎない」
調査研究は述べる。

研究者たちは飼料工場や孵化場、農家、取引業者、雇用労働、養殖設備への投資の増加を見出した。
「地方と都市部両方の貧困世帯が、米以外の供給源からより多くのタンパク質や微量栄養素を摂取することができました」
ヘルナンデズ氏はいう。

DoFによると、漁業はバングラデシュのGDPの3.69%、農業GDPの23%以上を占めるという。 1人1日あたりの平均魚摂取量は53グラムで、今では全人口のタンパク質摂取量の60%を占めるようになった。

それに加え、常雇い、臨時雇い合わせて1780万人が漁業部門で働いている。

ここ10年、漁業全体の平均成長率5.4%と比較して、養殖業は8.2%の堅調な伸びを示した。

IFPRIが主導した調査によれば、魚の価値連鎖は飼料の使用、養殖池や設備、工場、孵化場の建設、自動車購入などへ、何十万もの人が資本投資することで高まってきたという。

これらの投資は連鎖を通じて、小規模養殖業者や中小起業家にチャンスを提供した。

調査研究はまた、鯉以外で生産量を高めたティラピアやナマズなど、養殖魚の多様性と専門性について言及した。

バングラデシュニュース/The Daily Star Aug 9 2017
http://www.thedailystar.net/frontpage/fish-revolution-1445770
翻訳:吉本
#バングラデシュ #養殖魚 #革命 #価値連鎖