2.7万人が新たに避難

2.7万人が新たに避難
【Prothom Alo】バングラデシュ国境警備隊はこの2日間、沿岸部で24人の遺体を回収した。5年以上に渡って巻き込まれている最悪の暴力から逃れるため、ミャンマーの少数民族ロヒンギャ数万人が必死の逃亡を試みているためだ。

米国国連大使ニッキー・ヘイリー氏はミャンマーの治安維持部隊に対し、罪なき市民への攻撃を止めるよう訴えた。

ヘイリー氏はアラカンロヒンギャ救世軍による最近の攻撃を批難したが、次のように補足した。
「ビルマの治安維持部隊は更なる暴力を防ぐために動いていますが、罪のない市民や人道活動者への攻撃の禁止などを盛り込んだ国際人道法を守る責任があります」

Hindu people who fled violence in their village pass time at a temporary internally displaced persons (IDP) camp in Maungdaw, Myanmar 30 August, 2017. Photo: Reuters


さらに治安維持部隊に対し、必要としている人々に支援を届けるとともに全てのコミュニティの権利を保証するよう訴えた。

3つの国連筋によれば、こん棒やナイフ、爆弾で武装したロヒンギャ反政府部隊がラカイン州の警察駐屯地や陸軍基地を襲撃したことで武力衝突が発生し、少なくとも117人が死亡した。それに伴い、8月25日以降、2万7400人のロヒンギャがミャンマー国境を越えてバングラデシュに入ってきたとされる。

ミャンマーは、治安維持部隊はラカイン州北部で"過激派テロリスト"から防衛するための掃討作戦を展開中だとした。監視団によれば、逃亡したロヒンギャから、陸軍とラカイン州の仏教徒自警団員がムスリムの排斥のため、放火+αキャンペーンを始めたとの報告が入っているという。

New Rohingya refugees wait to enter the Kutupalang makeshift refugee camp, in Cox’s Bazar, Bangladesh, 30 August, 2017. Photo: Reuters


バングラデシュに駐在中のロイター通信の記者団は31日、ナフ川のミャンマー側で大きな火の手が上がっているのを目撃した。

ラカイン州のマウンドー(Maungdaw)タウン付近では多くの村人が火災に巻き込まれていた。森からは塵や煙が押し寄せていた。

バングラデシュの国連筋によれば、2国間の無人地帯には2万人近くのロヒンギャが取り残されているという。31日には、この数字は3万人まで増えるとの予測も出た。

ミャンマーの人権に関する国連特別報告者である李亮喜(イ・ヤンヒ)氏は、人道情勢が急激に悪化しているとした。

「数千人の人々が、重大な人権侵害の危険にさらされつつあります。暴力の悪循環は(中略)速やかに断たねばなりません」
李氏は声明で述べた。

New Rohingya refugees wait to enter the Kutupalang makeshift refugee camp, in Cox’s Bazar, Bangladesh, August 30, 2017. Reuters


ミャンマー政府は衝突が始まって以降、数千人の仏教徒をラカイン州から避難させた。この衝突では主にロヒンギャの反政府部隊が死亡したが、治安維持部隊にも死者が出ているという。

指導者アウン・サン・スー・チー氏にとって、ミャンマーにおよそ110万人いるロヒンギャの扱いは最大の課題だ。長きに渡って迫害を訴えてきたロヒンギャについて口を開かないことで、欧米諸国から非難を受けている。

バングラデシュ国境警備隊司令官のアリフル・イスラム氏によれば、31日にロヒンギャの子ども11人と女性9人が乗ったボートが転覆し、20人の遺体がナフ川のバングラデシュ側に打ち上げられたという。

A body of a Rohingya refugee child who died as the boat capsized while crossing the border through Bay of Bengal at Shah Porir Dwip near Teknaf, Bangladesh, 31 August, 2017. Photo: Reuters


また、30日にはロヒンギャの女性2人と子ども2人が乗ったボートがミャンマーの国境警備隊に銃撃され、4人の遺体を回収した。バングラデシュにいるロヒンギャ指導者は、生存者はどちらのボートも超満員だったと話したという。

2016年10月以来、同様の暴力が広まりつつあったため、コックスバザール(Cox's Bazar)のバングラデシュ国境地帯にはロヒンギャのための仮設キャンプが設けられた。

避難者の一人、モハメド・ラシドさん(45歳)は眼の下に包帯を巻いていた。ミャンマー陸軍がロヒンギャ集団に発砲した際、銃弾の破片でけがを負ったという。

This August 29, 2017 photo shows Rohingya refugees fleeing from Myanmar resting at Kutupalong refugee camp along the Bangladesh-Myanmar border near the Bangladeshi town of Ukhiya. AFP


ラシドさんによれば、一緒に国境を超えたのは100人ほどで、爆発や人の死ぬ場面を目撃したという。

「私たちは森の中に2日間隠れ、その後国境で足止めされましたが、どうにかなりました。村にある家は焼き払われたと聞きました」
ラシドさんはロイター通信に語った。

「燃える、燃えている」

ロヒンギャ監視団体であるアラカンプロジェクトのクリス・レワ氏によれば、ミャンマーの治安維持部隊はロヒンギャの大部分を排斥しているようだという。ラカインの自警団員らは"村の焼き払いに参加していた"とクリス氏は話す。

「我々に聞こえるのは燃える、燃えているです。これは南から北へと広がっているようです」

Rohingya children cross the Bangladesh-Myanmar border fence as they try to enter Bangladesh in Bandarban, an area under Cox`s Bazar authority. Reuters


ミャンマーには自国を襲撃から防衛する権利があり、治安維持隊は罪のない市民を守るように言われている。ミャンマー側は主張する。

ミャンマー陸軍は、継続的に政府部隊に奇襲を行う反政府部隊と闘っていると話す。監視団によれば、25日の最初の襲撃以降に報告された反政府部隊による襲撃はごくわずかだという。

昨年10月、ロヒンギャが警察駐屯地に同様だがはるかに小規模の襲撃を行ったことが、軍の残忍な報復を招いた。権利侵害の訴えが伴うようになってから、衝突は劇的なエスカレートを見せている。

ロヒンギャはミャンマーで数世紀前まで遡るルーツを主張するが、市民権を否定され、不法移民とみなされている。1990年代初頭以降、バングラデシュにはミャンマーから逃れてきたロヒンギャが40万人以上住んでおり、バングラデシュもロヒンギャに対して敵対的になりつつある。

Rohingya people look on at a makeshift shelter in No Man’s Land after crossing the Bangladesh-Myanmar border fence, in Cox’s Bazar, Bangladesh, 29 August. Photo: Reuters


国境警備隊によれば、国境地帯では数千人が仮設キャンプを設けたが、バングラデシュは30日に国内に入ろうとした366人のロヒンギャを追い返したとされる。

国際移民機関は国連のアントニオ・グレーテス事務総長を迎え、国境で足止めされている人々を受け入れるようバングラデシュに呼びかけた。バングラデシュは受け入れのためのリソース不足を主張している。

支援員によれば、予備物資のストックが少ないこともあるが、最大の問題は仮設住居の極度の過密状態だという。

バングラデシュニュース/Prothom Alo Sep 01 2017
http://en.prothom-alo.com/bangladesh/news/158171/27000-Rohingya-enter-Bangladesh
翻訳:長谷川
#バングラデシュ #ロヒンギャ #難民