牛乳を捨てざるを得ない農家

牛乳を捨てざるを得ない農家

【The Daily Star】酪農家のモハマド・ラジブさんは5日、14頭分の牛乳が入ったペール缶を、重い心のまま空にした。

すべてのスイーツショップは閉鎖され、常連客のほとんどは国内で164人が感染し、17人が死亡した伝染性の高いウィルスを恐れて、牛乳の消費を控えている。

「たくさんの牛乳が入ったペール缶をどうしたらいいですか?」
クミラ(Cumilla)県にある納屋のなかで、ラジブさんは尋ねた。

彼一人ではない。

コロナウイルスパンデミックのさなか、基本的な食品需要は急増しているが、液体牛乳は備蓄する製品の1つにならない。その結果、毎日半分以上の牛乳が売れ残る。

酪農家の問題を複雑にしているのは、全国的指示として出されたスイーツショップやレストラン、ホテル、学校の閉鎖だ。すべては新型ウィルスを拡大させないためで、加工業者は購入を控えている。

現在、国内の1日当たりの牛乳生産量は約2200万リットル。そのうち、加工会社が140万トン、残りはスイーツショップや消費者が購入する。

ナラヨンゴンジ(Narayanganj)のスイーツショップ『プラン・バロフ・ミスタンノ・ヴァンダル』は、国内にコロナウィルスが発生する前、毎日400~420リットルの牛乳を買っていた。

今では購入量が50リットルになったと、経営者のポリモル・ゴーシュさんは話す。
「店が閉まっているのに、同じ量の牛乳を買う必要がありますか?」

需要が落ち込んでいるため、一部の農家は大幅に割引して近所の人に販売するが、クリームやバターに加工、保存する人は限られている。

そして、ラジブさんのように牛乳を捨てているだけの人もいる。バングラデシュ酪農家協会(BDFA)のシャー・エムラン事務局長は話した。

農家や農業エコノミスト、食品流通業者によると、酪農業界の苦境は、世界的な食品サプライチェーンにおいてより広範な問題を示しているという。

牛乳は魚のように凍らせたり、穀物のようにサイロで保存できずに腐りやすいため、他の農産物より早く、より大きな打撃を受ける。

だが、加工会社は、牛乳を粉末やクリーム、バターに処理し、貯蔵能力を持たせることができるため、酪農家を助けられるとエムラン氏。加工会社が粉ミルクを粉末処理すれば、農家は救われ、国が毎年粉ミルクの輸入に費やす2千億タカ(2643億円)を節約できるとした。

国内で粉末牛乳を生産できる設備を持つ企業はわずか3社で、毎日の処理能力は35万リットルだ。彼らは国内生産牛乳の6~7%を買っている。

一方、牛乳加工会社は、移動管理命令が出される中、限られた保存や需要の見極め、輸送の混乱という独自の問題に取り組む必要がある。

「政府は乳製品産業をロックダウンの視野から遠ざけているが、我々は現場にいる法執行機関の問題に直面しています」
大手農産品加工業者プラン(Pran)-RFLのカムルッザマン・カマル販売部長は話した。

だが、牛乳の需要は全体的に急落している。

ブラック・デイリー&フード社のモハマド・アニスル・ラーマン部長によると、売上は50%急落したという。
「市民はこの時期、長く保存の効く必需品や食料品を購入します」

大学卒業後、職業として農業を選択したラジブさんのような酪農家にとって、この状況が長く続けば続くほど、より悲惨になる。

「現状が続くなら、牛を売って農場を閉鎖しなければならないでしょう。どうやって食べていけばいいのですか?」
ラジブさんが尋ねた。

毎日のエサ代は、牛1頭あたり160~250タカ(198~330円)かかるが、BDFAは餌やりに苦労する農家のため、短期的、長期的な措置を政府に求めた。また、農家に対し、無利子ローンを融資すべきだとした。

さらに、粉ミルクの輸入に高い関税を課すことで、国内の牛乳加工産業を保護し、飼料価格を下げることを求めた。

Bangladesh News/The Daily Star Apr 8 2020
https://www.thedailystar.net/business/news/what-will-i-do-so-many-pails-milk-1890721
翻訳:吉本

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