低所得者層に深刻な打撃

低所得者層に深刻な打撃

【Financial Express】新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために行われる厳格なロックダウンは、低所得者層、特にインフォーマルセクター*の人に大打撃を与えている。

実際、人の移動や交通機関、企業への規制は、彼らの生活に影響を与えるだけでなく、再び貧困へと追いやっている。

このような状況から、多くの低所得者層や限界層の人は、貯蓄が尽きたり、尽きる寸前のため、友人や親戚、NGOからお金を借りざるを得ない。

彼らの中には生き延びるための戦略として、職業を変えたり、食費などの支出を減らす人もいる。

クヒルガオン・タルトラ地区で紅茶やタバコ、ベーカリー製品、石鹸などを販売する小店舗を経営するアブル・ホサインさんは本紙に対し、規制があるにもかかわらず店を開いたのは、店の収益以外、家族を養うすべがなかったからだとした。

ホサインさんは7月26日、政府の規制を無視して店を開いたために警察に捕まり、裁判所へ出頭。その後、保釈された。

「他に生きていく方法がないので、今でも規制に背いています。私にはわずかな貯金しかありませんでしたが、以前のロックダウンで使い果たしてしまいました。最近、あるNGOから借金をしました。もし私が店を閉めていたら、誰がそれを返済してくれるのでしょうか」

ニルケットの書店で販売員をしていたMdロジョブ・ミアさんによると、パンデミックのため、経営者は4月に書店を閉めたという。その結果、ロジョブさんら従業員は仕事を失ってしまった。

ダッカのような物価の高い都市では希望が持てないとして、規制の対象外となっている人力3輪車を引き始めた。

「しかし、人の移動が少ないため、収入は激減しています」

特派員は、市内の東ラムプラ地区のガレージで、10台近くのCNG三輪車が保管されているのを見つけた。

CNG運転手のスモン・カーンさんによると、ロックダウンが再開されてから仕事がなくなり、4人家族で暮らしていくのが厳しいという。数日前、貯金が尽きて、義父から6万タカ(7万7340円)を受取った。

「ロックダウンが延長されたら、このお金でいつまで生きていけるのでしょうか」

政府の支援については、テレビで聞いたことがあると答えた。

「でも、その支援はどこにあるのですか? 私は何ももらっていない。厳格なロックダウンの初日に食料を一包みもらっただけです」
スモンさんは不満をぶちまけた。

ラムプラ・スーパーマーケットにあるジュイ靴ギャラリーの経営者Mdラナ・ハミドさんは、第2波が襲ってくる前は、希望を持って営業していたという。来るべきイード・アル・アドハに向けて融資の再投資を行ったところ、今回のロックダウンが発生した。

「私はどうなってしまうのでしょう。どうやって家族の要求にこたえ、返済していけばいいんでしょう? OMS(オープン市場セール)に並ぶ列を見れば、あなたも現実の姿が見えてくるはずです」

バングラデシュ・ドカン・マリク・サミティ(BDMS)のMdヘラル・ウディン会長は、今回の封鎖は店主とその従業員にとって大打撃だと述べた。

ウディン氏によると、店舗経営者の多くは新型コロナウイルスの状況が落ち着いた1月、新たなビジネス環境で営業を再開するため、正式な融資を受けた。だが、4月から状況が悪化し、感染抑制のためのロックダウンが始まった。

「店舗経営者や従業員のことを考えてみてください。どうやって生き延びているでしょう。多くの人が店舗で働いていましたが、今では失業しています。ロックダウンで失業率は確実に上昇し、貧困が発生するでしょう」
ヘラル氏は補足した。

政策対話センター(CPD)のトウフィクル・イスラム・カーン上級研究員によると、新型コロナウイルスの状況が落ち着いた1、2月には多くの人が仕事に戻ったという。パンデミック前に比べて収入が10~12%減少したものの、順調に回復していたと、調査を引用して述べた。

4月から始まった第2波は、低所得者や社会から疎外された人々の回復に大きな影響を与え、経済界に「ニュー・プア(新貧困層)」と呼ばれる新たなセグメントを生み出した。だが、可決されたばかりの2021-22会計年度予算では、新貧困層の出現が無視されており、残念なことだとトウフィクル氏。

政府は、困っている人が電話することで食料支援を受けられる「333コール」という新しいプラットフォームを立ち上げた。
「しかし、広報が不十分なため、対象となる人の大部分はそのことを知らず、割り当ても不十分でした」

政府は、特に都市部に住む新貧困層の窮状を認識し、早急に彼らを特別な社会的保護の対象とすべきだと、トウフィクル氏はいう。さらに、CPDの前回の調査報告書に触れ、第2波前のロックダウン中に受けた融資の返済には18カ月かかるとの情報が市民から寄せられたと述べた。

「今回のロックダウンで、彼らはさらに融資を受けなくてはならなくなりました。そのため、返済にはもっと時間がかかるでしょう」
トウフィクル氏は指摘し、これらのコミュニティを保護するために中央銀行による信用保証制度を早急に導入するよう提案した。

*経済学用語の一つ。経済活動が行政の指導の下で行われておらず、国家の統計や記録に含まれていないようなものをさす。発展途上国の経済活動で多く見られる形式であり、貧困層とされる者によって行われている。

Bangladesh News/Financial Express Jul 31 2021
https://thefinancialexpress.com.bd/economy/lockdown-dealing-a-severe-blow-to-low-income-people-1627699360
翻訳編集:吉本

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