なぜラマダンを選ぶのか

なぜラマダンを選ぶのか
日曜日、バグダッドで発生した恐るべき襲撃により、160人以上の死亡が判明した。これは過去1ヶ月間、イスラム暦のラマダン月に実行された"イスラミックステート(IS)"によるものと思われる8件の襲撃事件のうち1つに過ぎない。

オーランドやダッカ(Dhaka)、イスタンブールなどで起こったこれらの残虐行為により、合わせて300人以上が亡くなった。

ラマダンは苦行と節制の時であり、伝統的にはイスラム暦における最も神聖で神秘的な1ヶ月とされる。

ムスリム(イスラム教徒)たちは30日間、日中の飲食を禁じ、神の赦しを願う。

だからモスクには神の慈悲と加護を求める礼拝者たちが詰めかけ、普段以上の人であふれかえる。

一方で禁欲的な厳格主義者は、ラマダンを征服と略奪の月とみなす過激思想を持っている。

彼らはラマダンを、対文明千年戦争で倍賭けするチャンスだと信じているため、普段以上に多くの襲撃を仕掛けるのだ。

実際、シリアにあるアルカイダ公式支部のヌスラフロントでは、ここ最近ラマダンを"征服の月"と呼んでいた。

ラマダンの到来に伴い、ISスポークスマンのアブ モハメド アル アドナニ氏は世界各地の支持者に対し、次のように話しかける。
「異教徒たちにとって災厄の月とするための用意を行い、準備を万全にするのです」

アブ バクル アル バグダディ氏への忠誠を誓った後、フロリダ州オーランドにあるゲイバーで宴会中の49人を殺害したオマル マティーン氏のような、一匹狼たちを奮い立たせる高らかな呼びかけだ。アル バグダディ氏は現在シリアやイラクのかなりの部分を支配し、カリフを自称している。

"アッラーの道"

ラマダンを戦争月とみなす信条はイスラムの歴史そのものに由来する。

預言者ムハンマドは624年のラマダン月に、バドルの戦いとして知られる最初の侵略的なジハードを遂行した。

ムハンマドはこの8年後のラマダン月にメッカを制圧し、これによりイスラム最高聖地の一つであるカーバ神殿を擁するメッカを獲得することとなった。

これらの事を背景に、ジハードそれ自体が単なる過激行動以上のものであるという急進的な信念は強められている。ジハードは一般的な儀式と同等の崇拝行動であるとみなされており、"アッラーの道の下(フィ・サビル・アッラー)"戦われているのだ。
Group mourn victims of Orlando Pulse nightclub shooting (20/06/16). Photo: Reuters

Group mourn victims of Orlando Pulse nightclub shooting (20/06/16). Photo: Reuters

アブドゥラ アザム氏は"ジハードを怠ることは断食と祈りを放棄するようなものだ"と主張した。同氏は1980年代にアラブの外国人部隊を率いてアフガニスタンに向かっており、しばしば"近代ジハードのゴッドファーザー"と位置付けられている。

「ジハードは崇拝の最も優れた形態であり、ムスリムはこの方法によって(楽園の)最高位に達することができる」

"過激派の解釈"

一般のムスリムはジハードやラマダンとの関連性に対するこれらの解釈に、当然ながら絶望している。

彼らにとってラマダンは自制と内省の月である。過激派の解釈が規範的な理解から完全に離れてしまっていることは、近代イスラムにとっての危機だ。

過激派はこう思う。ラマダンで普段以上の祈りや施しが奨励されるのであれば、普段以上の流血も奨励されるはずだと。

こういった観点で見れば、今年になって陰惨で恐ろしい殺人がなぜ増えてきているのか、その論理の繋げ方を正しく理解できることだろう。

The Daily Star July 05 2016
http://www.thedailystar.net/world/middle-east/opinion-why-so-called-chooses-bomb-during-ramadan-1250614
翻訳:ハセガワ

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