50億ドルファンド設立へ

バングラデシュは大型プロジェクトへの資金提供を目的に、資本金50億ドル(5914億円)の政府系ファンド(SWF)を設立する。

バングラデシュ銀行(BB)SKスール・チョウドリー副総裁が率いる7人のチームは昨日、AMAムヒト財務相に報告書を提出した。このチームは昨年、ファンド設立の見込みを査定するために結成されたものだ。

政府系ファンドとは、一般には中央銀行の準備高や石油やガス、鉱物といった天然資源による収益で設立する、政府または国が運営するファンドのことだ。

「ですがバングラデシュにはそのような天然資源が全くありません。しかし我々には人という天然資源があるのです」
ムヒト財務相は毎年バングラデシュに多額の現金を送る在外バングラデシュ人の貢献に感謝の意を示した。

政府は当初、かなりの規模を持つ外貨準備高を直接大規模プロジェクトに引き入れようとしたが、財政赤字管理の問題があるため、SWFの設立が検討されていた。

「政府系ファンドはバングラデシュにとって新しい概念です」
ファンドを設立する前、他の法律を制定する必要があるとムヒト大臣はいう。

ファンド設立案は来月内閣に提出され、承認後に法律の制定作業が開始される。

「内閣の承認があれば、法案は次回の国会で審議されると考えています。全ての手続きは3~4か月で完了するでしょう」

ファンドの資本金は、最初はBBの外貨準備高で賄われる。報告書では10億ドル(1183億円)の初期資本金を提言している。

政府は後に各種の債券を発行し、市場から国内通貨を集めることになる。集めた通貨はSWF向け外貨に変えられる。

SWFの資金利用には制約があり、経済的に健全なプロジェクトのみが利用できるとムヒト氏。全てのプロジェクトにSWFの資金を使うことはできない。

12月14日現在の外貨準備高は317億5千万ドル(3兆7556億円)で、これは8か月分の輸入額を十分に賄える金額だ。BBはこの準備高を収益性のある地域に投資し、そこから大きな収益を得ている。

だが最近の世界市場は金利が急落し、多くはゼロ金利の状態だ。結果、BBが投資から得る収益は減少している。このため政府は、準備高を経済成長目的で利用する方法を立案する必要があった。過去10年間、経済はインフラ不足を主な理由に6%成長で停滞している。SWFが設立されれば、政府はそこから資金を調達し、パドマ橋のような大型インフラプロジェクトに使うことができるようになる。

近年、多くの国の中央銀行は流動資産や為替レート管理の過剰な需要の中で準備高を蓄積しており、その多くは短期流動資産以外に分散している。

米国に拠点を持ち、公共資産保有者の分析を行う企業"政府系ファンド研究所(Sovereign Wealth Fund Institute)"によれば、2016年9月時点での世界全体のSWF資産総額は、昨年よりも0.76%ト多い7兆4千億ドル(875兆円)だとされる。

SWFの規模はノルウェー政府の年金ファンドが1位。トップ5は中国投資有限責任公司、アブダビ投資庁(アラブ首長国連邦)、SAMAフォーリンホールディングス(サウジアラビア)、クウェート投資庁が名を連ねる。

バングラデシュ/The Daily Star Dec 16 2016
http://www.thedailystar.net/business/govt-mulls-5b-sovereign-wealth-fund-1330552

翻訳:長谷川
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