ボイサカタの水上市場

ボイサカタの水上市場
親愛なる読者の皆様、私は数日前、バングラデシュの南部地方に行ってきた。ピロジプール(Pirojpur)県ボイサカタの水上市場では農産物や苗木、燃料さえ売っていて、とても驚かされた。

その日は寒く、濃霧がかかった冬の日で、思った以上に危険な旅だった。フェリーは遅れてやってきて、ようやく旅が始まった。

私たちはベーカー運河のディルガターミナルに着いた。小さなボートに乗り換えてガオカリ運河へ、また別のボートに乗り換え、ボイサカタの水上市場へ向かった。

午前7時、バングラデシュの川の中でも独特な風景を持つボイサカタへ到着した。ここの生活は川と深く関わっている。

ボートに乗っていると、この地域の農業と農産物の多様性がよくわかる。遠くの村からやってきたボートが、ボイサカタの水上市場に集まってくるのだ。

「何を積んでいますか?」
「ポン菓子です」
「手作りですか?」
「ええ」

別の農家がボートの前を横切った。彼とも少し話した。

「こんにちは、あなたは市場に何を持ってきていますか?」
「ユウガオです」

ふと川面や堤防を見ると、ホテイアオイで覆われていた。川が生命と生活の中心で、人々の最も効果的なコミュニケーション手段なのだ。私は懐かしさを覚えた。

川や運河の水位に直接影響する干満は、地域に住む人々に重大な影響を与える。

「これは唐辛子の種ですか?」
別の農家に尋ねた。
「ええ、そうです」
「あなたはいつから浮かぶ市場で商品を売っていますか?」
「今、75歳ですが、子どもの頃からずっとです」
「本当に昔からやってるんですね。ナスも持ってきてますね」
「ええ、ナスの種もありますよ」
「1つだけでなく果物から野菜から、そのうえ種までも売っている。おもしろいですね~」
「ええ、これが伝統的な水上市場ですから」

だが寒く曇った天候のため、さほど多くの売り上げはないようだ。

ボイタカタの水上市場は1962年からずっと続いている。 1971年の解放戦争中、パキスタン軍が市街地の攻撃を開始したため、たくさんの人がここへやってきた。多くの人がその時からビジネスを始め、徐々にそれが広がっている。

この水上市場に構造物はない。ボートの群れが川に到着し、市場はバイヤーと売り手のやり取りで賑やかになる。販売は昼には終わり、ボートは帰っていく。川はいつもの風景に戻る。そして毎週土曜と火曜、同じ場所、同じ時間に市場は再び始まるのだ。

バングラデシュ南部地方は自然や生物の宝庫だ。川がすべての多様性の中心となっている。世界中の多くの国で、川を中心とした伝統的な取引がある。オーストラリア、中国、タイ、ベトナム、ミャンマーでさえも、水上市場目当ての観光客は増えている。つい最近、私は中国の商業都市上海の、国境近くの水辺の村を訪れた。1千年も続く水上村は、とても魅力的な場所だった。

私は南部地方の伝統的な水上市場をアグリツーリズムの一環とすることを、政府と民間機関に呼びかけたい。

2015年、FAO(国連食糧農業機関)のGIAHS(世界重要農業遺産)運営委員会によって、バングラデシュの一部が、伝統的農業システムによる世界重要農業遺産として認められたことを読者の皆様はご存知でしょう。理由はバングラデシュの農家が、ホテイアオイや藻類、他の植物残渣の有機浮遊層で生育させる、独自の水耕栽培システムを持っていたからだ。

水上市場は農家の資源とスキルを活用し、農産物をほぼ1年に渡って販売することで、社会や経済、農業、生態学的利益を地元住民にもたらす。

私たちの川や運河を、文化や生産性、繁栄の真の目的地にしようではありませんか。

バングラデシュ/The Daily Star Dec 29 2016
http://www.thedailystar.net/country/boithakata-floating-market-adds-spice-life-1337104
翻訳:吉本
#バングラデシュ #ニュース #水上市場 #世界重要農業遺産