政治・治安問題が投資の妨げ

政治・治安問題が投資の妨げ
世界銀行(WB)はバングラデシュの今会計年度の成長を政府の目標よりも低い数字である6.8%と予測した。政治や治安の課題が付きまとい、投資の信頼を損ねているためだ。

さらにWBの報告書によれば、石油が豊富な湾岸協力会議(GCC)経済圏での減速が送金収入の減少につながり、民間の消費や投資を鈍らせているとされる。

「バングラデシュでは2016年の資本形成は弱いままだと推定される。政治的緊張や治安面での懸念の高まりが理由の一部である」
WBは火曜日に公開した報告書「世界経済展望:不安定な時代の投資弱化」においてこのように記した。

報告書では、賃金が公共部門では上昇し他では低下していることによる、財務の安定に関する不確かさは短期の信頼を損ねる可能性があると警告している。

前暫定政府の顧問を務めた経済学者のホサイン・ジルール・ラーマン氏は、安定性があるにもかかわらず投資の信頼性が不足している現状を「新たなサプライズ」と呼んだ。統治の問題があったにもかかわらず発展していた以前の「矛盾」状態から転換があったと氏は話す。

「強制された安定があり、競争相手からの強烈な挑戦はありません。そして、政府は赤字を抱えています。これらは経済成長にとって好ましくありません」
ホサイン氏は言う。

ホサイン氏は投資の低調を念頭に置き、公共投資を増加させよとの主張やその成長への寄与も注意深く見直す必要があるとした。
「公共投資は実際には投資ではなく膨張したプロジェクト費用であり、資金の流出なのです」

WBの報告書では、銀行の不良債権率の高さが「銀行を金融ストレスに対して脆弱にしており、新しい貸付を鈍らせている」としている。国内の不履行債権の額は最近1兆タカを超えた。

さらに報告書は、電力不足や輸送基盤の弱さが投資や生産性に影響を与えてきたとも指摘している。

WBの成長予測6.8%は昨年度の成長率7.1%や、政府の今年度の成長予測7.2%よりも低い数字だ。

WBは「送金収入の低下及び消費の抑制」の観点から、2017-18会計年度はさらに成長率が低下し6.5%になるとの予測を立てた。

だが予測によれば、インフラ支出や輸出の回復に後押しされ2018-19年度には成長率が6.7%、さらに次年度には7.0%にまで復帰するとされる。
「治安状況の改善により、民間投資及び外国直接投資(FDI)が呼び込まれると期待される」
報告書にはこう書かれている。

2014年や2015年の動乱の後、政治的には比較的安定していたにもかかわらず、投資はさほど大きく伸びなかったと財務相は認めた。だが2016年には、外国人やブロガーへのテロ攻撃、そして最も犠牲者を出したホーリーアルチザンベーカリー襲撃事件があった。

バングラデシュはインフラの質において地域の他国に後れを取っており、必要なインフラを整えるには2015年の国内総生産(GDP)の2倍の規模となる4,100億ドル(47兆円)の資金が必要である。報告書には第7次5カ年計画の見積りに基づきこう記された。

さらに、経常支出の多さや歳入対GDP比の停滞がインフラ整備に必要となる資金提供の妨げになっているとされる。

南アジアにおいては、治安や地理政治的な緊張が衣料品部門を含む地域の統合を頓挫させうるという。
「治安への支出増加は財政の脆弱性を悪化させる可能性がある」
報告書ではこのように懸念されている。

南アジアは「国際統合が限定的」であるにもかかわらず、バングラデシュを含む各国は米国やユーロ圏での政治不安定の高まりや予期せぬ金融引き締め、エネルギー価格の高騰、主要輸出市場における長期の低迷に直面する可能性がある。

南アジア地域全体の成長はインドの強い成長に継続して支えられ、2017年にはやや上向きの7.1%になると予測される。

2017年の世界経済の成長はやや加速して2.7%となり、先進国の経済成長は僅かに上昇して1.8%となるとされる。

WBチーフエコノミストのポール・ローマー氏は、新たな資本が世界を接続するインフラに繋がるようにするため、民間部門に信頼できる投資の機会をより多く提供する必要性があると強調した。

「新たに道を作らなければ、民間部門には新たな建物に投資する動機が生まれません。新たな居住地に接続された新たな仕事場がなければ、現代経済に参加しようとしている数十億の人々が人的資本に投資する機会を失うでしょう」
ローマー氏は言う。

バングラデシュ/Prothom Alo Jan 11 2017
http://en.prothom-alo.com/bangladesh/news/135629/Political-security-risks-dampen-Bangladesh
翻訳:長谷川
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