20台後半のモハマド・ビラリさんはここ7年、ミニバスや荷運びトラックの専門ドライバーをしている。そして今、運転免許証を申請している。
ビラリさんは3月30日に、バングラデシュ道路交通局(BRTA)から運転免許証を取得することになっている。
免許なしで運転していたため、少なくとも20回は罰金を取られたとビラリさん。だが一度も収監されなかった。
ビラリさんは市の公共交通機関の運転手として雇用されているが、それはプロのドライバー不足を証明している。
そもそも登録された車両台数と、運転免許の数に大きな差があるのだ。
2017年2月のBRTA統計によると、登録車両は290万台あるが、運転免許証を持っているのは190万人しかいないという。これに加え、プロの免許証を持つのは100万人で、90万人は普通の免許証しか持たない。
商用バスとトラックには複数の運転者が必要だと考えると、運転者比率の不一致はさらに広がる。
わずかなスキルしか持たない人や偽造免許、無免許の人が運転席に座っているのは全く不思議ではないのだ。
最近政府が実施した調査によると、1日に約64人が交通事故で亡くなっているという。
一方、運送業者や労働者はノシモン(耕運機の後ろに板を渡してある乗り物)やコリモン(発動機付き自転車)、イージーバイク、その他手作り違法車両などはBRTAに登録されていないため、実際の車両はデータ以上に多いと話す。
多くの車両は運転免許証を持っていない人や、偽造免許証を持つ人が運転していることを、すべての利害関係者は認めている。
「我々は何人が偽造免許を持ち、何人が無免許なのか把握していません。4つの移動裁判所で市全体を監視することは難しいですが、厳密に監視しています」
BRTAのナズムル・オーサン・マズゥムダー局長は話す。
「先(2)月、移動裁判所は運転免許証を持たない60人の運転手を収監しました」
偽造免許証や無免許の人へ注意を払わず車両を渡すオーナーには責任を取ってもらうと、マズゥムダー局長は話した。
「オーナーは安価な運転手を好み、質についても妥協します」
有効な免許を持つ人や、スキルを持つ経験豊富な運転手に運転させることはオーナーの責任だ。
だが専門家らは適切な免許制が導入されるまで、道路の安全性を確保することはできないと指摘する。
2011年、衝突事故に巻き込まれてタレク・マスダさんとアシュファク・ムニエル・ミシュックさんを死亡させたバス運転手ジャミール・ホサインさんは、免許証を持っていなかった。
道路安全活動家のイリャス・コンチョン氏は運転免許システムは混乱しているという。多くの運転手は運転免許証を持っていないか、正式な手続きを経ずに入手しているからだ。
「誰かが運転免許を取得しようとすると、書面によるテストを受けなければなりません。しかし専門運転手のほとんどは読み書きができないため、テストを受けるのを嫌がります。そこで違法な手段を使って入手するのです」
スキルや免許のない運転手の車は、すべての乗客が危険にさらされるということを意味する。
「運転手ですら安全ではないのです」
登録車の最大30%は段階的に廃止されただろうというBRTAの主張に関して、交通安全キャンペーンに関わる俳優は「バングラデシュで車が無くなることはない」と話した。
バングラデシュサラク・パリバハン・サミティのカンドコル・エナヤトゥラ事務局長は、毎日新しい車が道路を走るが、多くの運転手が訓練を受けているわけではないという。
「実際は偽の運転免許証や運転免許証なしに車を運転する機会が与えられているのです」
大型車両運転免許を専門で取得するプロセスを作るのは難しいと、エナヤトゥラ氏。
「誰もが運転免許の取得に力を入れる必要があります。しかし専門運転手として訓練を受けた人はほとんどいません」
「自動車教習所へ行くと、ほとんどの人が小型車両の訓練を受けていることがわかります」
通常、長距離運転手は専門の運転免許証を持っているのに対し、都市を走る多くの車両は運転免許を持たない人が乗っているという。
バングラデシュ/The Daily Star Mar 05 2017
http://www.thedailystar.net/frontpage/ghosts-driving-10-lakh-vehicles-1371037
翻訳:吉本
#バングラデシュ #ニュース #運転免許
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