ガラスの天井を打ち破る物語

ガラスの天井を打ち破る物語
先進国を含め、世界の多くの地域ではあまり一般的でないが、バングラデシュの女性は政治において最高の権力を握っている。バングラデシュは1991年の民主化から26年、3年間を除き、シェイク・ハシナ氏とカレダ・ジア氏の2人の女性首相が国を指導している。それだけでなく現議会のシリン・シャルミン・チョードリー議長と、野党のロウシャン・エルシャド党首も女性だ。

また350人の国会議員のうち、20%以上の71人が女性議員だ。世界最大の民主主義国家、お隣インドでは、全543議員のうちの11.4%、62人が女性議員だ。

クォータ制になったことでユニオン議会や郡議会、県議会の女性議員も増加している。大まかにいえば、全国の様々な地方の政府組織で1万4千人の女性が働いている。

各省庁の幹部や金融機関の経営者など、公共・民間問わず“ガラスの天井”を打ち破る女性が増えている。

様々な省庁に少なくとも8人の女性次官がいるが、これは一昔前にはほとんど考えられなかったことだ。

ある女性は上訴裁判所の裁判官に任命され、別の1人はバングラデシュ史上初めて選挙委員長になった。

民間企業の経営者として、女性の存在感は著しく増加している。例えばファウミダ・カトゥーン氏は、南アジアで著名な市民シンクタンク“政策対話センター”の執行取締役に任命された。

ルパリ・チャウドーリー氏は世界最大の塗料製造業者の1つ“バーガーペイント”のトップを長年務め、ファルザナ・チョードリー氏は国内最大の保険会社“グリーンデルタ保険”を率いている。ソニア・バシール・カビール氏は世界の主要コンピュータ会社、マイクロソフトバングラデシュのトップだ。

他にも多くのプロフェッショナルな女性が、銀行や保険、金融会社、その他法人で強固な足場を築いている。少なくとも39の民間商業銀行の取締役に、59人の女性が就いている。

たくさんの衣料品労働者と地方の女性が取り組んできたことを考慮しなければ、女性の成功物語は不完全に終わるだろう。

調査によると、地方では農業に従事する男性が60%なのに対し、女性は71%が従事しているという。地方に住むほとんどの女性が家畜や家禽、野菜栽培、加工、保存などの経済活動に携わっている。

大事なことを一つ言い忘れたが、経済の中心であり、2015ー16年度、輸出で約300億ドル(3兆4187億円)を稼いだ衣料品部門は、約500万人の女性を雇用している。

世界銀行の報告書は2014年度末のバングラデシュの女性労働参加率を34%とした。インドは27%、パキスタンは25%未満、ネパールは80%前後だった。

この報告書によると、バングラデシュは女性労働参加率を82%へ引き上げることにより、毎年GDP成長率に1.8%を追加することができるという。

ここ数年間の努力により、バングラデシュは学校へ通うことのできる女子を増やした。それにより、全体の識字率が約70%まで上昇した。

だが多くの地域の女性の見通しはバラ色ではない。大半の女性が家事に励むため、表立った経済活動から遠のくのだ。

多くのバングラデシュ女性は1人で外へ出るのは危ないという理由で、夫や家族の年長者の許可が必要なのである。

バングラデシュ/The Daily Star Mar 08 2017 
http://www.thedailystar.net/business/stories-breaking-the-glass-ceiling-1372558
翻訳:藤重
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