首都ダッカ(Dhaka)ライエルバザール(Rayer Bazar)にあるシティコーポレーション・バザールを通りかかった人は、店先に陶器製の象や馬、虎、猿のミニチュアが数多く飾られていることに驚くかもしれない。
一つ一つ手作りで、鮮やかな色が塗られている。ライエルバザールの陶芸家たちは、数日後に迫ったベンガル新年ポヘラ・ボイシャクに際し、水差しや皿、コップ、花瓶、玩具、虎や象や馬など動物の像といった陶器製品を店先に飾るのだ。
かつてパウル・パラあるいはクマル・パラ(陶芸家の近所)として知られたこの場所は、今は買い物客でにぎわっている。
「パウル・パラには陶芸家の物語があります。かつてこの辺りはイード(断食明け祝祭)やドゥルガープージャ(ドゥルガー女神祭)、ボイシャクなどの時にはお祭りムードになりました」
アクラ・マンディル(Akhra Mandir)に店を構えるゴシャイ・ダス・パウルさん(57歳)は話す。
独立戦争の直後でさえ、陶芸家たちは西ダンモンディからモハマドプールバス停に至るまで、洒落た陶芸品作りに精を出していたという。
「しかし今では陶器の店が5、6軒あるだけです」
「かつてパウルの人々は陶芸品を作っていました。彼らはライエルバザールを流れる川から粘土を集めていました。しかし今では多くの家が陶器作りをやめてしまいました。今、私たちはタンガイル(Tangail)やガジプール(Gazipur)、ボリシャル(Barisal)から品物を集めています」
市場にはプラスチックやアルミニウムの製品があふれたことで儲けが出なくなったために、多くの家は昔からの仕事をやめたのだという。
同じく商人のゴシャイ・ダスさんはこう話した。
「(陶芸品作りは)儲からない仕事ですが、私たちのルーツへの愛着からこの仕事を続けています」
「今も私たちの伝統文化を心配してくれる人のお陰で、ダッカ各所で陶器の店を見かけることができます」
ダンモンディ8号道路で商売するフィロジさんによると、ポヘラ・ボイシャク前にはパンタ=イリッシュ(伝統的な大皿料理)の盛り付け用に陶器の皿の売り上げが急増するという。
「今、人々は家の飾りつけのために粘土製品を大々的に使うため、(陶器製品の)売り上げは上々です」
アサドゲート交差点付近に拠点を構えるアーロングの販売責任者はデイリースターに話した。
シシュアカデミー(Shishu Academy)近辺で陶芸品を買っていた、バングラデシュベタル(国営ラジオ局)勤務の女性は、長い間陶器の皿やコップ、水差しを使っていると話した。
The Daily Star Apr 11 2017
http://www.thedailystar.net/backpage/tale-lost-tradition-1389427
翻訳:長谷川
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