輸出促進局(EPB)のデータによれば、バングラデシュの今会計年度当初11カ月間の輸出額は317.9億ドル(3.51兆円)で、目標額の370億ドル(4.08兆円)を4.68%下回った。
輸出額は前年度の同期と比較して3.67%伸びたものの、伸び率は過去10年間で2番目に低い数字だった。
輸出業者によれば、2013年から15年にかけての長期的な政治混乱や2013年のラナプラザ崩落事故の影響で、2014-15年度は輸出成長率が3.4%に落ち込んだという。
輸出の80%以上を占める衣料品は過去10年間に渡って平均13%の成長率を維持してきた。
バングラデシュ銀行のデータでは、今年度の輸出額は輸入額の3分の2をわずかに上回る程度で、貿易赤字は今年度当初10カ月間で81億ドル(8938億円)に増加したという。
EPBのアビジト・チョウドリー局長代理によれば、今年度の輸出は主に4つの要因に影響を受けたという。
ブレグジット(英国のEU離脱)とこれに伴う為替レートへの影響、米国における政治的転換と現在の不景気、中東諸国における石油製品の価格低下、バングラデシュ・タカの対ドル為替レートの上昇の4つだ。
輸出業者はこれらに加えてさらに2つの要因を指摘した。電子機器への支出が増加したことによる衣料品消費の減少と、バイヤーと国内製造業者両方による不健全な価格競争が輸出成長の減速につながったという。
バングラデシュ単独の輸出先としては最大手の米国への衣料品輸出は7-4月期に6.8%落ち込み、3番目の規模である英国市場への輸出はブレグジットの影響で5.91%落ち込んだ。
衣料品輸出業者によれば、4つの主要国で今年行われる総選挙の影響で、欧州の主要輸出先では静かな不景気が進んでいるという。
フランスとオランダは既に選挙を実施し、英国は今日投票を行う。ドイツは9月24日に実施する。この間、小売業者や消費者は新政府の政策決定を待つことになる。
アビジト氏によれば、バングラデシュから英国やドイツへの直通貨物便が昨年に廃止されたことも輸出減速につながったという。
バングラデシュタカは米ドルに対して8%近く高騰し、このため輸出業者は輸出収入が減っているという。
「今年度は目標を達成できないかもしれませんが、おそらく近い数字には達するでしょう」
輸出の82%以上を占める衣料品の輸出は7-5月期さらに減少し、2.16%増の256.2億ドル(2.82兆円)にとどまった。
7-5月期のニットウェア輸出額は対前年比4.91%増の125億ドル(1.38兆円)で、織物輸出額は0.33%減の131.1億ドル(1.45兆円)となった。
バングラデシュ衣料品製造輸出業者組合(BGMEA)のマームード・ハサン・カーン・バブ副会長は、衣料品輸出の減少傾向が過去10年間の成長記録を破ったと話した。
バブ氏によれば、7-5月期の衣料品の輸出量は9%近く増加したが、収入の増加が伴わなかったという。
「世界的にはバングラデシュ製衣料品の価格がそれ以上に低下しているということです」
加えて、欧米の消費者は衣料品よりも電子機器により多くのお金を使うようになったため、衣料品消費が2015年には約8%、2016年には約7%低下したとバブ氏はいう。
さらに、バイヤーと国内製造業者の両方による不健全な価格競争を批判した。
「このような価格の低下傾向が続けば、近いうちに輸出成長はさらに落ち込むでしょう」
アコードとアライアンスによる検査に不合格となったことで、過去数年で多くの中小工場が閉鎖したとバブ氏。
衣料品以外では、冷凍魚や鮮魚の輸出額は1.89%減の4.73億ドル(522億円)、テリー織りタオルは8.6%減の4041万ドル(44.6億円)だった。
バングラデシュニュース/The Daily Star Jun 08 2017
http://www.thedailystar.net/frontpage/export-growth-dips-1417042
翻訳:長谷川
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