首都ダッカ(Dhaka)の東部を開発することにより、市内全域で人口密度と交通渋滞を減らすことができ、活気ある都市であり続けるとともに都市の生産性を向上させ、速やかな経済成長に貢献できるだろう。
「東ダッカでのプロジェクトにより、間違いなく住宅や雇用が生み出され、市の総面積が増えます…今のダッカ市から圧迫感を取り除いてくれるでしょう」
オックスフォード大学経済学部のアンソニー・ヴェナブルズ教授は20日、デイリースターの取材に応じた。
ヴェナブルズ教授は国際貿易学や空間経済学、経済地理学といった分野で幅広い実績を上げている。教授は先週、2035年に向けてのダッカの開発計画に関する会議(世界銀行主催)に出席するためダッカを訪れていた。
教授はダッカが2035年までに取りうるシナリオについての論文を発表した。論文はヴェナブルズ教授と3人の研究者が共同執筆した。
ヴェナブルズ教授はダッカについて、"素晴らしく活気があるが、乱雑な都市である。ダッカにはより広い空間が必要である。ダッカ東部には間違いなく都市の空間を増やす機会がある"とした。
世界銀行によれば、ダッカの都会化は中央部北側の回廊で始まり、西側に進行していったという。ダッカ東部はほとんどが農村地帯だが、急速な発展を遂げる可能性がある。
ダッカ東部はダッカ全体の面積の40パーセントを占め、グルシャン(Gulshan)など栄えている地区が5キロメートル圏内にあるという優位性を備えているため、資本や人的資源の投資を通じた成長の助けとなるだろう。
また世界銀行南アジアチーフエコノミストのマーチン・ラマ氏は会議において、ダッカ市に編入された16のユニオンのうち12ユニオンは東側にあり、新しい都市を組み込めると話した。
ヴェナブルズ教授は論文において、2035年までのダッカで想定される現在の動きに応じた4通りのシナリオを提示した。
これらのシナリオは、事業や洪水防壁の建設、堤防の設置、そしてダッカ東部での交通インフラや公共設備への投資によるものだ。
ヴェナブルズ教授とその研究チームは、ダッカ東部に洪水防壁を建設することで租付加価値(GVA)に直接的に大きな効果を与えうるとした。GVAは一つの地域や産業、分野で作られた商品やサービスの価値を示す指標だ。
だが発展は、"さらなる並行戦略がなければ非公式の居住や製造になる"だろう。
道路や公共輸送を増やすことで交通渋滞を減らし、ダッカ東部の接続性を増すとともに市内の他の場所でも交通が改善されるとヴェナブルズ教授は話す。
「政府が(ダッカ東部に)堤防を設けるならば、この地域において確実に計画的な開発が行われるようにする必要があります。東部が開発されれば、地価は大きく上昇するでしょう」
と教授。
政府はさらに、必要なインフラに対する資金援助の際に、価値の上昇を記録する方法を用意する必要があるとヴェナブルズ教授はいう。
「土地には税を掛けられます。土地の利用には規制を掛けられます。開発を行う土地を取得するため、開発公社を設けることができます。これらは国によって、政府によって行えることです」
ヴェナブルズ教授は話した。
現在のダッカは極度の渋滞や公共設備の今日中における問題に悩まされており、また多くの住民は適切なインフラが適切な場所に配置されなければダッカが人の住めない場所になるかもしれないという恐れを抱いている。
交通渋滞により毎日320万労働時間が浪費され、毎年数十億ドルの損失を経済に与えている。ダッカにおける平均運転速度は10年前には毎時21キロメートルだったが、今ではその3分の1の毎時7キロメートルに低下した。
世界銀行の推定では、現在の傾向が続けば平均運転速度はさらに低下し、歩きよりも遅い毎時4キロメートルになるとしている。
こういった欠点はあるものの、ダッカはバングラデシュの国内総生産(GDP)の20パーセントを占め、長きにわたって事業や産業活動が拡大を続けていることもあり、生計を立てようとする国内中の人を引き寄せ続けている。
ダッカでは経済活動により、多くの雇用が創出されたとヴェナブルズ教授はいう。だが中国や他のアジアの都市に比べて、インフラの質では負けている。
「この都市(ダッカ)は生産的ですが、求められているほど生産的ではありません。本当に欠けている物はインフラや輸送、市内を動き回る手段といった公共の資産であると考えています」
第2に、十分に計画された都市拡大のための土地が不足しているとヴェナブルズ教授は話し、政策立案者らに対し都市領域の拡大に取り組むよう提案した。
「全体としては、バングラデシュの都市部人口はこの先大きく増加するでしょう。ダッカでも同じことが起こります」
世界銀行によれば、ダッカの人口は2035年には現在の1,800万人から2倍近くの3,500万人になると見込まれているという。
「都市は成長を続けるでしょう。全人口に対する都市部人口の割合も同様に増え続けます。都市は雇用機会のある場所だからです」
とヴェナブルズ教授。
「あなたが着手したのは何が都市を抑制しているかの分析を行うことだと私は考えています。国内第2の都市はチッタゴン(Chittagong)市よりもはるかに広いものを期待している事でしょう。ですから、第2第3第4の都市は小さすぎるように見えるでしょう。これらの都市が速やかに成長するために重要な事なのです」
バングラデシュニュース/The Daily Star Jul 22 2017
http://www.thedailystar.net/frontpage/congested-dhaka-city-needs-more-space-1436923
翻訳:長谷川
#バングラデシュ #都市計画 #都市開発
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