地域連携強化でリスク回避

地域連携強化でリスク回避
【The Daily Star】アジア開発銀行(ADB)は最新報告書で、アジア太平洋地域における貿易や投資の連携拡大は、世界の経済政策環境や貿易政策環境の不安定に対する地域の経済的な強靭さを改善させる上で役に立つと述べた。

ADBは本日公開した"アジア経済統合報告(AEIR)"の中で、最近の地域統合の傾向を分析し、地域統合の新たな指標を導入した。さらに特別な章を設け、金融が相互に結合している今の時代、アジアはどのようにして金融の強靭さを強化できるかを述べた。

地域内の強力な貿易や投資は、世界の貿易や経済成長の不安定性に対する緩衝材として作用していると報告書は述べる。2016年、アジア地域内貿易の価値ベースによる割合は、過去最高の57.3%に上昇した。2010年から15年の平均値は55.9%だった。

2016年、アジアへの対外直接投資(FDI)の世界全体からの流入額は6%減少したにもかかわらず、アジア内部のFDIは絶対額で2720億ドル(30兆9691億円)に増加した。アジアのFDI総額に対する地域内FDIの割合は、2015年の44%から2016年の55%へ上昇した。アジア内部のFDIが世界や地域内の価値連鎖の発展を強める上で果たす役割をみれば、世界的な貿易成長を後押しすることが期待できる。

アジア経済は世界的に存在を拡大させ続けている。アジア由来のFDIは2016年には11%増の4820億ドル(54.7兆円)となった。再生可能エネルギーや天然資源、半導体、情報技術への投資が中心だ。

「アジア太平洋地域は国際貿易の復調を先導し、世界的な経済や貿易政策の不安定さの中でこの地域が強い成長の勢いを保つ助けとなっています。アジアの統合と協力の継続は、地域の経済成長や金融の強靭さを支えてくれることでしょう」
ADBチーフエコノミストのサワダ・ヤスユキ氏は話す。

今回のAEIRでは、"アジア太平洋地域協力統合指数"という新たな複合指標が導入された。この指標は"貿易と投資"、"貨幣と金融"、"地域の価値連鎖"、"インフラと接続性"、"人の移動"、"機関や社会の統合"の6分野に渡って地域統合の度合いを測る。政策立案者がより大規模な地域統合と協力の方策を理解し、評価する助けとなることを目指す。

さらに報告書では特別な章を設け、金融の相互接続時代、アジアがいかにして金融の強靭さを高められるかについて取り上げた。アジア通貨危機から20年経った現在、アジアはより健全な金融制度とより強力な規制、地域のより良い金融協力の仕組みを備え、強い状態にあることを述べている。

だが、金融市場や金融システムの弱みは解消されておらず、大きな課題として残る。規制政策の格差が残っていることは、過度のレバレッジやリスクを取り、地域のリスク影響度や金融的脆弱性を高めることになる。

報告書では、"健全なマクロ経済基盤の維持"、"国の規制や監視の枠組み"、"機関の地位の更なる強化"、"国内の通貨債券市場の更なる開発"、"相互結合した地域内の銀行を解決する制度などの地域内の規制協力"、"波及効果や漏出効果に対する既存の金融セーフティネットの見直しと強化"といった将来の危機に対する強靭さを高める提案を地域内各国に行っている。

ADBはマニラを拠点に持ち、包括的な経済成長や環境面での持続可能な成長、地域統合を通してアジア太平洋地域の貧困削減に取り組んでいる。1966年に設立され、50年に渡って地域協力を発展させてきた。地域内48カ国の67会員が所属している。2016年には140億ドル(1.59兆円)の相互融資を含む、総額371億ドル(4.21兆円)を支援した。

Bangladesh News/The Daily Star Oct 26 2017
http://www.thedailystar.net/business/asia-wards-risks-rising-trade-linkage-adb-1481776
翻訳:長谷川
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