作家のブロック

作家のブロック
[The Daily Star]アシフは白紙を見つめ、あの馴染み深い恐怖に胸が締め付けられる。カーソルは落ち着いて、平静に彼へと瞬き返す。「また夜が来た」と、舌の上で古臭い言葉がこぼれながら呟く。「また白紙だ」。彼はペンの先を噛む。プラスチックのペン先はザラザラとザラザラと音を立てる――まるで失敗作、過去の試みの埃のように。ナイトスタンドのデジタル時計は冷たく光る――午後11時47分。

すぐ。

彼の隣で、シェファリはぐっすりと眠っている。深いいびきのシンフォニーが、リズミカルに上下する。普段なら、彼女の存在が彼も眠りに誘う。今夜は、彼女の眠りが、彼には届かないもの――平穏、静寂、休息――を改めて思い出させてくれる。

「彼女はどうやってやっているんだ?」と彼は考えながら、彼女の胸の柔らかな上下を目で追った。「さっきまで話してたのに、次の瞬間には消えてしまう。まるで別世界に飛び込んだみたいに。」彼は彼女の気楽さ、逃避行を羨ましがった。

彼はあらゆることを試みた。ありきたりな最初の一行、絶望的な冒頭、「一匹のオオカミが月に向かって吠えた。」「老女の目には、時と同じくらい古い秘密が隠されていた。」、さらには「鳩が瞬きした。」のような不条理な表現まで。

どれもうまくいかない。どのフレーズも借り物みたいで、まるで他人の靴を履いているみたい。窮屈。間違っている。

彼の視線は寝室のドアに移る。古びた無垢材のドアは、かつてはクリーム色だったが、今ではまるで疲れた骨のような色に色褪せている。表面は剥がれ、時の流れによる傷跡が刻まれている。他人には目立たない場所だ。しかし、アシフはもっと深いところを知っている。

その扉には何かが隠されている。秘密。儀式。

午後11時58分。

空気が重くなる。かすかだが紛れもない、ざわめきが感じられる。彼の脈拍が早まり始める。耳にドラムの音が響く。

「聞いてくれ、アシフ」彼はヘッドボードに寄りかかりながら呟いた。膝の上にノートが置かれた。

「聞いてくれ」彼はペンを強く握りしめた。指の関節が青ざめた。

夜中。

チクチク…チクチク…チクチク…

始まり。柔らかく、繊細に。まるで針でできたささやきのように。シェファリのいびきを切り裂くように、鋭く澄み渡る音でありながら、捉えどころがない。

彼は息を止めている。

「どこだ?」と彼はささやいた。「ドアの上? 取っ手の近く?」

しかし、音はまるで見つからないように変化する。木の表面からではなく、木の内部から聞こえてくる。まるで何かが生きていて、閉じ込められ、内側から叩いているかのようだ。

リズムが一定しない。時には素早く、時には激しく動き、時には長く深い呼吸のように続く長い休止。気が狂いそうになる。

彼は、その原因を見つけられると確信してドアを勢いよく開けた夜のことを覚えている。

ただの廊下。誰もいない。静まり返っている。

「アシフ、そこには何もない」と彼は心の中で呟いたが、静寂の中でその声は空虚に響いた。しかし、心の奥底では分かっていた。鍵をかけたり、取っ手の下に椅子を挟んだり、バリケードのように本を積み重ねたり、あらゆることを試した。それでも、その音はまるで彼を嘲笑うかのように聞こえた。

今、彼は奇妙な、静かな畏敬の念を抱きながら耳を澄ませている。「モールス信号だろうか?」と彼は訝しむ。「メッセージ?それとも警告?」飢えた想像力が、荒唐無稽な仮説を次々と紡ぎ始める。幽霊か、宙ぶらりんの霊か、何か古代の記憶を持つ建物の意識を持つ部分か。音が脳裏に忍び寄り、頭蓋骨の付け根が疼く。ペンは手から滑り落ち、忘れ去られる。意識はドア ― ただドア ― と、しつこく挑発するようなリズムへと絞られる。

その時――衝動が。突然に。大胆に。

彼は再びペンを手に取った。

「いや」と彼は声に出して言った。「負けるわけにはいかない。完璧な一文を待つつもりはない。本当のことを書くんだ」目を閉じ、音に身を委ね、静かな心の空間を満たす。そして、書き始める。

最初の一言は雷鳴や予言のようには聞こえない。まるで雑音のように。静かだ。正直だ。

「最初の電話は聞こえなかった。聞こえたのはドアから断続的に聞こえるチクチクする音だけだ。」

彼は言葉を止めた。口角の片隅に微笑みが浮かんだ。深い意味はないが、真実だ。そして、まるで永遠のように感じられたこの時間の中で、初めて、始まりのような気がした。

チクチクする感覚は続く――途切れることなく、奇妙な――そしてアシフはついに書き始める。しかし、その勝利の瞬間は長くは続かなかった。

次の夜、チクチクする音がまた聞こえる。そしてその次の夜も。いつも真夜中。いつも、内側から聞こえるあの静かなノック。かつては謎だったものが、苦痛へと変わる――カチカチという音。滴る音。ゆっくりと正気が蝕まれていく。毎朝、目の奥にこびりつくような頭痛とともに目覚める。汗が肌に張り付く。暑さではなく、不安から。日中でも、その音は彼を追いかける。骨の髄まで、想像の中で聞こえる。オフィス、バスルーム、冷蔵庫など、ドアを見つめながら、また同じ音が聞こえてくるのではないかと半ば予期している。

ある朝、シェファリは彼の頬に触れ、声を和らげた。「アシフ、疲れているみたいね」と彼女は言った。彼女の手のひらは、彼の熱を持った肌に冷たかった。「大丈夫?ずっと…静かだった。怖いわ」

彼はたじろいだ。「ただの作家のスランプだよ」とつぶやいた。「もう…大変だよ」

でも、それだけじゃない。彼はそれを分かっている。彼女は真実を知るべきだ。でも、どう説明すればいい?ドアに憑りつかれたと誰かにどう伝えられる?彼はそれを見ている――彼女の目に浮かぶ哀れみを。

かわいそうなアシフは、またしても自分の世界に閉じこもった幽霊のようだ。あの表情が嫌だ。文章は萎縮していく。かつては期待を抱かせたあの一文が、今や彼を嘲笑う。「最初の一文が出てこなかった…」。ただそこに留まっている。行き止まりだ。

彼はもっと書き続け、音を物語に形作ろうとする。しかし、言葉は彼から遠ざかっていく。思考はもつれ合い、ほつれていく。物語は浮かんでこない。まるで扉が開かないかのように。

そして、ある夜、それは早く始まります。

午後11時03分。

もっと速く。もっと大きく。まるで小さな拳が頭蓋骨の内側を叩いているようだった。彼は両手で耳を押さえたが、効果はなかった。音はますます強くなる。

「やめろ!」彼はかすれた声で叫んだ。目に涙が滲んだ。

「私に何を望むんだ?」息が荒くなり、心臓が激しく鼓動した。

その後-

沈黙。

耳をつんざくような音。

幅が広すぎる。重すぎる。

彼はシェファリの方を向く――彼女は眠っていて、何の心配もしていない。彼女はそれを聞いていない。いつものことだが。

彼は孤独だ。ただ彼に囁く扉だけが、彼と二人きりで。

「僕は気が狂っているのだろうか?」彼は空っぽの部屋に向かって囁いた。返事はなかった。

「それは私でしょうか?私の心が自分自身をチクチクさせているのでしょうか?頭蓋骨の内側に影を作っているのでしょうか?」

身震いが走った。どんなそよ風よりも冷たい。扉が見張っている。待っている。もはやただの扉ではなく、存在感がある。忍耐強い敵だ。

そして、真夜中のタップごとに、彼が現実を把握する能力は少しずつ失われていく。

ハルーンザマンは翻訳家、小説家、詩人、研究者、エッセイストです。リビアとカタールで約12年間英語を教えたほか、バングラデシュ独立大学(IUB)で20年間、英語言語学と英語文学を教えてきました。


Bangladesh News/The Daily Star 20251101
https://www.thedailystar.net/books-literature/fiction/news/writers-block-4024066