【Prothom Alo】市民権の保障など安全対策のない強制帰還との懸念がある中、国連難民機関などの団体は故郷での虐殺を逃れてバングラデシュに避難してきたロヒンギャムスリムの難民を、ミャンマーに帰還させようとする計画の再考を訴えた。
バングラデシュが帰還予定者の名簿作成と検証手続きを完了できなかったため、23日に始まる予定だったロヒンギャのミャンマー帰還は先送りされたが、これを受けて呼びかけがなされた。
「帰還が正当で、持続的で、実現可能なものとなるためには、私たちが今まで何も耳にしてこなかった数々の問題に真摯に対応する必要があります」
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のフィリッポ・グランディ高等弁務官は、市民権などの問題が対応されていないことを指摘した。
ミャンマー軍は昨年8月25日の過激派による治安部隊の襲撃に対してラカイン(Rakhine)州北部で弾圧を行ったが、それ以降、65万5千人以上のロヒンギャがバングラデシュに逃れた。現地では殺害や略奪、レイプの目撃報告もある。
仏教徒が多数派のミャンマーでは、ロヒンギャをバングラデシュからの違法移民とみなしている。国連はミャンマーによる弾圧をロヒンギャへの民族浄化と呼んでいるが、ミャンマーはこれを否定している。
帰還者のため、ミャンマーラカイン州に監視の仕組みを設けることが重要だ。だが、現在UNHCRは現地で自由に移動できず、その役割を果たすことができないとグランディ氏は指摘する。
ミャンマーとバングラデシュは今月、難民の自発的な帰還を2年以内に完了させることで合意した。到着者を受け入れるため、ミャンマーはラカイン州の国境付近に2カ所の収容所と1か所の仮設キャンプを設置した。
非政府組織ヒューマン・ライツ・ウォッチは23日、この計画は"難民の安全と福祉を脅かす"ものであり、バングラデシュは計画を全面的に保留するべきだとの声明を出した。
バングラデシュ国内の難民キャンプでは、安全の保障が不足しているにもかかわらず、強制的に帰還させられるのではないかという懸念が生じている。
関係者によれば、22日、ロヒンギャ男性が帰還の抗議をしたことでバングラデシュ軍に拘束され、23日には警察に連行され、今も取り調べを受けているという。
「彼は暴力を扇動したため、拘束されました。現在、取調べ中です」
地元警察のアブル・カイエル署長は電話でロイター通信に話した。
難民は平和的な抗議をしただけで、この拘束は次回のバングラデシュとの会合で議題に出すつもりだと、UNHCRは話した。
一方、23日開始予定だった計画が遅れているというバングラデシュの発表を受けたグランディ氏はロイター通信に対し、ロヒンギャ難民を帰還させるにはもっと準備に時間が必要だと話した。
「私たちが今まで何も耳にしてこなかった数々の問題、市民権やラカイン州でのロヒンギャの人権、移動の自由、サービスや雇用へのアクセスなどに対応する必要があります」
Bangladesh News/Prothom Alo Jan 23 2018
http://en.prothomalo.com/bangladesh/news/169948/Rohingya-safety-citizenship-important-before
翻訳:長谷川
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