音の誘い(前)

音の誘い(前)
気だるい午後、水田のそばで眠そうな家畜の群れが尾を揺らしている。ダッカ管区ガジプール(Gazipur)県には、ココナッツとマンゴーに囲まれた小さな村がある。

スリープール(Sreepur)郡ガラロン(Gararon)村に入ると、鳥のさえずりと一緒に、郷愁を感じる甘く切ないメロディが聞こえた。

そのメロディに誘われて訪れたのは、モザファール(Mozaffar)モンダルさんの家だった。

60歳のモンダルさんが木のそばに座り、バンシ シュネイ ル カジ ナイ(Banshi shuney r kaj nai)を演奏している。著名な音楽家サチン デブ ブルマン氏によって作られたこのメロディはバンシ(横笛)によって奏でられる。多くの人がこの楽器に心を奪われたので、歌の中でバンシは"泥棒"と呼ばれる。

モンダルさんも遠い昔、バンシに心を奪われた一人だ。

モンダルさんが作る横笛は国境を越え、チュニジア、フランス、オーストラリア、シンガポール、パキスタン、インドにまでもたらされた。

私は14歳で演奏を始めた。両親はたびたび私を叱ったが、ほとんど注意を払わなかった。最初の先生は、後にインドに行ってしまったトゥク(Tuku)ミアさんだった。それからラジオ芸能人のアブドゥル ラーマンさんからレッスンを受け、今ではマンスール アリ ラーマンさんが先生だ。モンダルさんは言う。

モンダルさん歌手と一緒にしばしばコンサートを開いた。演奏する一方、横笛を作る方法を学んだ。当初趣味で横笛を作ったが、本業が時計や万年筆修理をするモンダルさんの横笛は趣味の範囲を超えていた。1971年に結婚した後、販売を始めた

携帯電話の出現で本業の収入が少なくなった。モンダルさんは1992年から定期的に横笛を作り、販売し始めた。 

The Daily Star June 9 2016
http://www.thedailystar.net/city/melodious-success-1236757