ピロジプールの船市場

ピロジプールの船市場
岸に沿って停泊している船の列を見れば、ボリシャル管区ピロジプール(Pirojpur)県スワルプカティ(Swarupkathi)郡クリアナ(Kuriana)カル(Khal)(運河)は、一見波止場のように見えるかもしれない。だがよく見ると波止場ではないことはすぐわかる。

多くの小型船が大型船舶に載せられて市場に到着する。値段交渉をしている。並べられた船やパドル、オールを含む装備品を点検しながら、船が入ったり出たりする。

一般にはノウカルハート(NoukarHaat:船市場)として知られるここは、国内最大の船販売市場だ。ボリシャル(Barisal)県バナリパラ(Banaripara)郡とピロジプール県スワルプカティ郡の間を流れるクリアナ運河沿って、2キロにわたって伸びている。

アシャル(Ashar)とアシュウィン(Ashwin)と呼ばれるベンガル月雨季の毎週金曜日、市場は開く。

洪水が起こるモンスーン中、ボリシャル、ピロジプール、ジャラカティ(Jhalakathi)の広大な内陸水路では、船は低コストで便利な交通機関だ。

浅瀬を行き来するのに適した小型で軽い船は、グアバ農家にも人気がある。

グアバ農家は雨季にその地域で豊富に育つグアバを収穫、運搬、販売するため、これらの船を使用する。

「果樹園からグアバを収穫する時期です。様々なタイプの小型船がグアバを収穫、販売するため、普通に使われます」
スワルプカティ郡サタダス(Satadas)カティ村のグアバ農家ニルモル(Nirmol)ハルダーさんはいう。

船は木製で、チャミ(Chami)、ボイタ(Boitha)カタ、ドゥビ(Dubi)、カタリ(Kathali)村の職人によって作られる「パンシ(Panshi)」型だ。

船の製作は木材を乾燥させることが重要で、タールとマンゴスチン(ガアブ:gaab)のタンニンは船をコーティングし、耐水性をつけるために使われる。自分が作った船を売るため市場にやって来た船大工はいう。

これらの船は一般的にコロイ(Koroi)、レインツリー、ジャルル(Jarul)、シャル、スンダリ、マホガニーの木が使われる。

「モンスーン時期に浅瀬でも容易にグアバや穀物、そして他の育児用品を運べるタイプの船を作るのに、主にレインツリー、チャムバル(Chambal)、スンダリ、マホガニーを使います。各船の価格はデザイン、サイズ、仕上げ、コーティング、使用材料に応じて、1200タカ(約1577円)から5千タカ(約6571円)の間です」
チャミ村の船大工モハマド・ハンナンさんはいう。

「これらの船は通常、浅瀬に適した平らな船底で、スプーン型にはなっていません。船は20%~25%の利益率で販売されています。船は長さ13.5~18フィート、幅は3~6フィートで、1人か2人の船頭で簡単に操作できます」
ボイタガタ村の船大工アノワル(Anowar)ホサインさんはいう。

船市場で入手した船は、船の製作時に使用された木材、樹脂コーティング、その他の材料に応じて、1~2シーズンの間、良好な状態で浅瀬を航行できる。
チャミ村のアンワル・ミストリ(Mistri)さんはいう。

「深海上や長距離ルートで使用される木製船は、鋼板やエンジン付きの船が出てきたため、市場で需要が急速に低下しています。その結果、バングラデシュで世代から世代へ受け継がれる豊かな伝統、文化的遺産、そして船作り技術のノウハウが失われているのです」
ドゥビ カタリ村の船大工ハリパダ(Haripada)ハルダーさんはいう。

このことは地域で船作りや偽装に関わる500世帯以上の生活に影響を与えていると、船市場のイザラダル(izaradar:賃貸人)サルワル(Sarwar)チョードリさん。

かつて国の巨大な川を支配していた大型木造船が急速に消えゆく一方、小型木造船を商品として扱う、特定の季節だけに開かれるノウカル ハート(船市場)は、伝統的な船作り産業を存続させるために奮闘している。

The Daily Star July 12 2016
http://www.thedailystar.net/backpage/boat-market-pirojpur-1252363
翻訳:アラトモ

#バングラデシュ #ニュース #船市場