障がい者向けトイレ

障がい者向けトイレ
フォーマン アリさんにとって人生は楽なものではなかった。2001年にSSCに合格した後、退学し、家族を支えるために三輪車のドライバーを始めなければならなかったからだ。

困難に立ち向かい経済状況の改善を追い求める中、人生の転機が訪れた。結婚して2人の子どもを設けたのだ。

2010年、フォーマンさんは再び不幸に見舞われた。彼は大事故に遭い、脊髄を損傷した。経済事情で病院の治療を続けることができず、植物薬に頼ることになった。フォーマンさんは歩けなくなった。

「事故以来、多くの苦しみを経験しなければなりませんでした。誰かの助けがなければ何もできませんでした。それまでは常に自立していたので、この状況は受け入れがたいものでした」
フォーマンさんは現在31歳、ファリドプール(Faridpur)県ナガルカンダ(Nagarkanda)に住んでいる。

「一番の問題だったのはトイレのときです。いつも妻に頼らなければなりませんでした」

政府のプログラムの一環で、車椅子の提供を受けていた。そのおかげで移動の困難は大きく減少していたが、トイレの窮状は大問題のままだったとフォーマンさんはいう。
sanitation_2
2013年、フォーマンさんはADD(障がいや発達に関するアクション)を知った。ADDは障害を持つ人の地位向上のため、12県で活動しているNGO(非政府組織)だ。ADDはフォーマンさんの状況を把握したのち、敷地内にフォーマンさんが使いやすいトイレを作ってくれた。

「私にとって大きな変化がありました。自分でトイレができることで自立感が得られ、将来の見通しが変わる助けになりました。過去に戻ることはできませんが、もう他の人に依存する必要がありません」
現在フォーマンさんは自宅で、地元の子どもたちの先生として過ごしている。

「ADDインターナショナルは支援を必要とする障がいを持った人を助るため、率先して動いています。私たちはプロジェクト基金を使い、4タイプの家庭用トイレを提供します。その家からは土地やいくらかの労働力を提供してもらっています」
ADDインターナショナルのバングラデシュ担当、シャフィクル イスラムさんはいう。

障がい発達センタ―(CDD)によると、国内全人口のうち10%(1600万人)は身体に障がいを持っており、トイレへのアクセスが大きな問題の一つだとシャフィクルさん。

トイレを使う際に何か困ったことはあるかという質問でフォーマンさんはこう答えた。
「貯水タンクは手作業で水を貯めるようにしてほしい。ポンプがあればさらに楽になる」

これに対し、今回はウォーターポンプを設置する計画はないとシャフィクルさんは話した。


「息子の事故の知らせを聞いた時、昏倒しました。目が覚めた時、私は目がよく見えませんでした。数日後、私は失明しました」
ファリドプール県ゲルダ(Gerda)ユニオンに住むサイエド アクリマさんはいう。

「いつも義理の娘に頼らなければなりませんでした。ADDが障がい者に使いやすいトイレを家の中に作ってくれたので、自力で使えるようになりました」
アクリマさんは感謝する。
「障がいを持つ人のトイレへのアクセス問題は、政府が必要な手続きを踏めば改善されることでしょう」
シャフィクルさんはいう。

ADDが設けるトイレは、家庭用以外に2種類あるという。室内用便器は特に子ども向けに設計されたもので、コミュニティトイレには2つの個室がある。

社会的な不名誉、衛生施設や認知不足で、コミュニティトイレ用の土地確保が最初の困難だったという。僻地沿岸沿地域での建設も困難だったが、これらの困難は克服できたとシャフィクルさんはいう。


「トイレを使うとき、自分の足を曲げることすら大変でした」
バゲルハット(Bagerhat)県ランパル(Rampal)に住むシャヒダ ベグムさんはいう。シャヒダさんは子どもの時に熱を出し、それ以来上手く歩けなくなった。ADDは最近、シャヒダさんの家に高い便座とレンガ作りの階段が2段備え付けられたトイレを設置した。

ADDは障がい者に優しいトイレを約480件の家庭と9個のコミュニティ、1つの学校に設けている。そのうつの1つはバゲルハット県ムカイル小学校にあるコミュニティ兼用トイレで、近くのバザールの人もこのトイレを使う。もう1つはランパルのバシュトリ ポッリ ウンナヤン ニムノ マダミック スクールにある。

ムカイル小学校のシャモリ ミトラ校長によると、同校には約181人の生徒が在籍している。2年前、ADDがコミュニティトイレを設けたという。このトイレには2つの個室があり、1つは身体障がい者用、もう1つは健常者用だ。

モーター制御の貯水タンクがあれば、とても使い勝手がよくなるだろうとシャモリ校長は言う。いつもタンクは手作業で水を満たさなければならないからだ。
「トイレはセメントで作られていて、掃除が大変です。タイルを使ってくれれば、この問題もなかったはずです。私たちはADDにそのことも伝えました。きっと何か対応してくれることでしょう」
シャモリ校長はいう。

「私たちはそのことを考慮に入れ、将来のプロジェクトに取り入れようと試みます。ただ時には人手や金銭面の問題で全ての課題を解決できないこともあります。私たちは障がい者へより良い衛生施設を提供するため、第一歩を踏み出したにすぎません。大規模な導入が必要です。政府はこの問題を拾い上げ、支援を行うべきです。衛生製品や流通ビジネスに関連する人もその一端を担い、これらの種類のトイレを作り始めるべきです」
シャフィクルさんは話した。

The Daily Star July 14 2016
http://www.thedailystar.net/city/accessible-sanitation-challenged-people-1253497
翻訳:ハセガワ

#バングラデシュ #ニュース #障がい者向けトイレ