家禽産業の新段階

家禽産業の新段階
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家禽産業は新たな発展段階にある。鶏肉や卵を市場に売り込むため、集約型農場に移行する大手業者が増えているのだ。

アフタブ・バフムキ・ファーム、CPバングラデシュ、カジ・ファームズの参入後、別の大手飼育業者パラゴンは、自分の農場で生産される卵や捌いた鶏肉、加工済み鶏肉、鶏肉ベースの下ごしらえ済み調理製品を販売する契約を行った。

評論家はこの傾向を、業者間に家禽製品の安全と衛生を確保する競争を生み出すだけではなく、多くの小規模農家を撤退させかねないものだという。

「良い点は品質の保証です」
チッタゴン(Chittagong)獣医学・畜産学大学の前副学長ニティシュ デブナス氏はいう。

製品が水準に達していない場合、その出所を容易に特定することができる。多くのプレイヤーが価値連鎖に関わっているため、現時点では特定が困難であるとデブナス氏は話す。

しかしその一方、多くの小規模農家や小売業者、鳥の屠殺に関わっている人々の生計に影響が出る可能性がある。

従来、孵化したばかりの初生雛や飼料の販売に重点を置いていた大手業者たちは、ブロイラーの鶏肉や卵の需要が増加してきたため、最終生産物の製造を行う契約を行った。

業者によると、現在のバングラデシュにおける1人当たりの家禽肉消費量は年間約4キログラムで、2年前の3キログラムから上昇しているという。

一人当たりの卵の消費量も2~3年前の年間40個から年間約50個にまで増加した。バングラデシュ家禽産業調整委員会(BPICC)のモシウル ラーマン議長はいう。

衣料品産業労働者による消費量の増加や、農村部の収入増加に伴ってライフスタイルが次第に変化しつつあることが需要を引き上げた。

鳥インフルエンザ防止のために政府がワクチン接種を許可したことで生産性が増し、結果として供給の安定性も向上した。
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2007年から2011年にかけての鳥インフルエンザの大流行で家禽業界は損失を出した。ワクチン接種の導入後、家禽部門は調子を取り戻した。

BPICCによると、現在の家禽部門で国内の鶏肉や卵の需要をほぼ全て賄えるという。

家禽産業の集約度向上により、消費者は家禽製品を低価格で手に入れられるようになるとラーマン議長。

「これにより、(家禽)産業は新たな高みへと昇ります」
ラーマン議長はパラゴングループの社長でもある。

パラゴングループでは捌いた鶏肉や生きた鶏、卵、加工した鶏肉や鶏肉ベースの製品販売を行う。

昨年は卵の販売を行い、現在はパックされた冷凍鶏肉や鶏肉ベース製品の販売を開始している。

「計画の一環として、まもなくダッカ(Dhaka)やチッタゴンの様々な場所で展示場を開きます」
展示場では生きた鶏も販売する。飼料に皮なめし工場の廃棄物を使用しているという安全性の懸念から、多くの人は自由市場でブロイラーの鶏肉や卵を買うことをためらうため、生きた鶏の需要はあるだろう。

ブロイラーがどこで飼育され、どのような飼料を与えられたかを知る事は現在では不可能だとラーマン氏はいう。大農場での集約性向上は小規模農家に影響を与えると、バングラデシュ家禽産業協会(BPIA)のMM カーン事務局長はいう。

「大農場では死亡を防ぐために科学的飼育手法を取り入れており、このため小規模農家が生き残るのは大変でしょう。大農場では生産のある段階での損失を、別の段階で利益を出すことで埋め合わせることもできます」

だが消費者にとっては良いニュースだ。各ブランドは品質で競合する必要が出てくるため、消費者はより健康的で品質の良い鶏肉を手に入れられるようになるとカーン事務局長。業界関係者によると、消費者は宗教上の理由もあって生きた鶏を好むため、パック詰めの鶏肉や冷凍鶏肉の需要は低いままであるという。

とはいうものの消費者が安全で便利な食べ物を求めるようになるにつれ、冷凍鶏肉や半調理鶏肉の需要は成長していくと関係者は期待する。
「少なくとも加工済み鶏肉に関しては、将来性は非常に高いと言えます。近代的な思想や教育を備えた若者たちは生きた鶏よりも加工済みの鶏肉を好むでしょう」
バングラデシュにおける集約型農場の草分けであるアフタブ・バフムキ・ファームズの戦略計画・マーケティング責任者のタリクッザマン氏は話す。

アブダブ社では従来、1日当たり5千羽の鶏を屠殺していた。現在、その数は7千羽に増えている。食品安全性の事情により、家禽の小売市場はこの先変容を遂げるだろうとタリクッザマン氏はいう。

生きた鶏と冷凍鶏肉の価格差が縮まれば、捌いた鶏肉や半調理の鶏肉製品の需要は上昇するだろう。世界家禽学協会バングラデシュ支部の前長官ムド ラフィクル ホク氏はいう。生きた鶏は生鮮市場において不衛生な方法で屠殺されるため、病気の大きな原因となる。
「ですが集約型農場では安全で衛生的な生産が確保されます。これは良い進歩です」

だが小規模農家が競争に生き残るのは大変になるだろう。ラフィクル氏は他の人々の主張を繰り返した。
卵を生産するため、産卵鶏の飼育に大きな投資が行われてきた。

現在大部分を占める小規模農家を支援するため、BPIAのカーン事務局長は政府に低コスト金融やその他の動機付けを行うよう訴えた。アフタブ社のタリクッザマン氏は農家協会の設立を提案した。
「協会を形成することで、農家は市場で役割を持つことができるようになるでしょう」

デブナス氏は政府や地方行政体が共同屠殺場を設け、消費者が生鮮市場よりも安全な鶏肉を手に入れられるようにするべきだという。デブナス氏によれば東南アジア諸国では生きた鶏が特定の場所で屠殺されているという。

品質競争が必要であり、共同屠殺場があれば小規模な業者も競争で張り合えるようになるとデブナス氏はいう。一方で政府に対して食品の安全保障のため、屠殺に関する法律を設けるように訴えた。

The Daily Star Aug 17 2016
http://www.thedailystar.net/business/poultry-industry-moves-next-step-development-1271005
翻訳:長谷川

#バングラデシュ #ニュース #家禽