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イード アル アドハー(Eid-ul-Azha)の時、ダッカ(Dhaka)中の肉屋は引っ張りだことなる。その日、本職の肉屋を見つけるのは難しいため、自分たちで作業をするか、本職でない人を探すことになる。
当然だがこの時期本職の肉屋の需要が高いのは、彼らが信じられないほど手早く作業をしてくれるからだ。
熟練した肉屋の多くはイードの日だけで10万タカ(13万1000円)ほど稼ぐ。ムンナ カーンさんはその一人だ。
スーパー肉屋
ムンナさんは一見普通の若者に見えるが、中型牛を誰の手も借りず、わずか45分で解体できる。
この27歳の肉屋はムンナ コシャイ(肉屋ムンナ)として広く知られており、ジャトラバリ(Jatrabari)の近くにあるシャニール アクラ(Shanir Akhra)バザールでささやかな精肉店を経営している。
「そうです。1頭の牛を頭から尾まで45分以内に解体できます」
ムンナさんは自信満々に話した。
Munna Koshai with his five-man team busy chopping meat on Eid day, Tuesday. Photo: Naeem Rahman
15年間この仕事をしているムンナさんにとって、イード アル アドハーは待ちに待った機会だ。
「イードは私たちにとって特別な機会です。例年イードで15~20件の仕事をこなし、2日間で15万タカ(19万7千円)以上手に入れます」
ムンナさんとその仲間は解体する動物の価格に応じて料金をつける。ヤギの場合は1千タカ(1310円)ごとに200タカ(263円)で、最低でも600タカ(790円)からだ。大抵はある程度の値引き交渉をしてから合意になる。
ムンナさんはイード中、5人で解体を行う。
「彼らはパートタイマーで、イードの日だけ肉屋をします。イードの日、彼らは私のアシスタントをします」
ムンナさんはチームメイトについて話す。
彼らは前もってイードに向けた準備を始めるのだという。
Munna Koshai with his five-man team busy chopping meat on Eid day, Tuesday. Photo: Naeem Rahman
「私たちはイードの1ヶ月ほど前から準備を始めます。ナイフや刃物を研ぎ、顧客のリストを作成するといった基本的な所からです」
「イード当日と翌日しか仕事をしないので、20件以上の予約は受けられません。当日は平均で8~10頭を切り分け、残りは翌日に回します」
ムンナさんとチームメイトの典型的なイードの日は、午前8時にあるイードの祈りの後に始まる。
Munna Koshai with his five-man team busy chopping meat on Eid day, Tuesday. Photo: Naeem Rahman
「普通は中型の牛1頭を1時間で解体し終え、大型は1時間15分~30分かかります。アスルの礼拝(Asr=午後の礼拝)の時間が来るまでひたすら仕事をします。そのままマグリブ(Maghrib=日没直後の礼拝)まで続けますが、もうその時には疲れ果てています」
「私たちの本当のイード(祝い)はイード日の2日後からです」
ムンナさんは自分のイード祝いについてこう話す。
「バンドルボン(Bandarban)やコックスバザール(Cox's Bazar)といった国内の観光地へ出かけることもあります。ただくつろいで、何もせずに過ごすこともあります。イード後の1ヶ月ほどは店を閉めているので、それに備えていくらかのお金を貯めています」
ムンナさんはいつの日か実業家になりたいと話す。
「衣料品か、パッケージングの工場を開きたいです。そのために長い間お金を貯めてきました。年を取れば今のような仕事はできなくなりますから」
組織が無い
ムンナさんによると、国内には肉屋の組織が無いという。
グリスタン(Gulistan)のカプタンバザール(Kaptan Bazar)には精肉店経営者協会がある。
「ですがこの協会は店舗経営者の利益を追い求めるもので、経営者は肉屋ではありません」
Kamal, a tea vendor in occupation who turns ‘seasonal butcher’ on Eid-ul-Azha, in action with teammates. Photo: Imam Hossain
ムンナさんは動物解体の料金を調整する、本職とパートタイマー両方を対象とした組織を欲している。
「自分たちのことを本職だと言い張り、高い料金を請求する詐欺が多くあります。何らかの組織があれば、その料金を是正できるでしょう」
期間限定肉屋
カマルさん(25歳)は本来ダニア(Dania)郵便局の近くで茶を売っている。カマルさんはかなりの収入を得ているが、イードの日には肉屋になる。カマルさんと4人の仲間は毎年、地元住民ラフィク アーメドさんの犠牲動物の解体と切り分けを行う。
Kamal, a tea vendor in occupation who turns ‘seasonal butcher’ on Eid-ul-Azha, in action with teammates. Photo: Imam Hossain
この3日間の犠牲祭の間、数百人がカマルさんのように職業を変えるのだ。
「イード中に仕事にありつけない多くの労働者は、手っ取り早く稼ぐため、暫くの間、肉屋になります。彼らは1頭の動物を解体するのに何時間もかけますが、適切な解体ができていません」
ムンナさんは話す。
「彼らはめったに解体をしないので、肉を加工する時に関節を見逃したり散らかしたりします」
"外来の"肉屋
臨時肉屋だけではなく、市外の多くの肉屋も仕事を求めてダッカに集まってくるとムンナさんはいう。
「ダッカ市では数千頭の動物が解体されるので、市外から来た肉屋たちは良い収入目当てにパートタイマーたちと手を組みます」
Kamal, a tea vendor in occupation who turns ‘seasonal butcher’ on Eid-ul-Azha, in action with teammates. Photo: Imam Hossain
毎年イードになるとナルシンディ(Narsingdi)からダッカに来て肉屋になる2人の兄弟がいるという。
「ダッカの精肉店で一年中働いている本職の人たちは人気が高く、なかなかやって来ないので、イードで生贄を捧げる人たちはこのようなパートタイマーを歓迎しています」
公務員のモシャラフ ホサインさんは話した。
無料解体を提供する会社
ある会社は今年、イードで1台以上の冷蔵庫を購入した顧客に対し、無料で解体作業を提供した。
"コシャイ ハジル"と銘打たれたこの広告はテレビの視聴者たちを驚かせ、楽しませた。
このようなアイデアを考え付いた会社はこれが初めてではない。
数年前にはあるソフトドリンクの会社も"コパ シャムス"キャンペーンと銘打って、顧客に無料解体サービスを提供した。
Prothom Alo Sep 13 2016
http://en.prothom-alo.com/bangladesh/news/120763/Butchers-in-business
翻訳:長谷川
#バングラデシュ #ニュース #肉屋
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