SARRCは解散する?

SARRCは解散する?
2152字

「私たちが南アジア地域協力連合(SAARC)に関して話すと、大抵2つの反応が返ってきます。皮肉と懐疑です」
2012年開催予定が2014年に延期された第18回カトマンズ会合で、インドのナレンドラ モディ首相が話した。
「しかし、南アジアはゆっくりと団結しています」
モディ首相は補足した。
会合が延期されたのが1985年にSAARCが結成されてから9度目であることを考えれば、この地域連合が瓦解しつつあるのではないかと疑う人もいるだろう。

11月10日、11日にイスラマバードで開催予定の第19回のSAARC会合は、バングラデシュとインドがSAARC事務局に出席できない旨伝えたことで延期になった。伝え聞くところによると、ブータンとアフガニスタンも現在の議長国であるネパールに留保を伝えたという。SAARC規則では首脳会合を開く際には全加入国の出席が必要とされているため延期は不可避で、会合がいつ開かれるのか、そもそもパキスタンで開かれるのかわからない。だがインドは先日、イスラマバードで開かれた反汚職会合に中央警戒委員会(Central Vigilance Commission)の長が率いる高位の代表団を出し、一部の者を驚かせた。それにもかかわらず、多くの人々は以前にもウリで同様の事態を見ている。これはパキスタンの外交的孤立を狙うインドによる、さらなる戦略的行動なのかもしれない。

インドが正当化することは予測できる。その説明はこうだ。
「この地域で国境を超えたテロリストの襲撃増加や、ある国による加入国への内政干渉が大きくなってきたため、イスラマバードの第19回SAARC会合を無事に開催できるような環境ではなくなった」
戦犯者の処刑を受け、パキスタンが差し出がましくも繰り返してきた内政干渉を理由に、バングラデシュは棄権を決定した。

だがSAARC会合が延期されたのはこれが初めてではなく、1度は津波による不可抗力の延期があった。今回の1回を含む残り8回の延期は全て治安の懸念であるか、地域の気難しい1つ、もしくは2つの国を含む2国間の緊張によるものであるか、準備不足によるものだ。バングラデシュが最後に主催したSAARC会合は第13回会合で、この不吉な数字のせいなのか、2度延期された後、2005年11月に開催された。

SAARCは非常に数奇な運命の中、インドとパキスタンが相互に放ってきた数々の浮き沈みや敵意、不信に遭遇してきた。狂詩曲のようにも聞こえるかもしれないが、実際の所この連合設立の背景には"集団的な自立"が動機としてある。この動機は内部で生み出され、成功へのニーズが一層必須なものになった。だが残念なことにその勢いは地域の安全を脅かす開発により失速し、ある国が行ったと疑われる共謀とほう助によって悪化してしまった。

バングラデシュとパキスタンの関係には確実に凍結同然の状態があり、これが戦犯者の裁判に関するパキスタンの立ち位置に影響した。SAARCの後援による省レベル、事務局レベルでの会合はスキップされ、あるいはより地位の低い代役を立てられることになった。パキスタンの内政干渉に対するバングラデシュの憤りは、現在イスラマバードで開かれている反汚職会合に欠席していることにより明らかだ。

バングラデシュの態度は、現在イスラマバードで開催されているいくつかの非常に重要な会合、つまりSAARCエネルギー規制会合と財相会合に出席する代表者の地位を下げていることでも明らかだ。実際、パキスタンによる外交規範の不快な侵害は、特に戦犯者の裁判と処刑に関しては非常に明白だ。しかし最近では、パキスタンは反バングラデシュの姿勢を強めており、英連邦閣僚行動グループ(Commonwealth Ministerial Action Group)の機会を利用し、バングラデシュに対する非難を通そうとした。これは当然却下された。

SAARC加入国の一部が、パキスタンをこの地域におけるテロリズムの推進者とみなしているのも事実だ。今までの所バングラデシュは何らかの国際フォーラムでこれを明言することはなかったが、最近の国連総会ではインドとアフガニスタンがこれを非常に明白にした。

インドなどの治安専門家は、SAARC会合ボイコットは地域の協力に関して悪いアイデアだが、加入国の1つが近隣2国に対する越境テロリズムに精を出している状況では協力が得られることはほとんどなく、会合ではますます刺々しい言葉が飛び交うだけだと考えている。
これは私とはまさに違う所だ。SAARCはパキスタンの行動と対決することができた。会合をボイコットするのではなく、パキスタンに対して厳然たる事実を突きつけるべきだったのだ。過激主義やテロリズムはもはや2国間の問題ではなく、地域のほぼ全ての国に影響するものであり、地域的に対処する必要がある。
課題にするべきは会合のボイコットではなく、地域の問題に対処するために会合を利用することだ。それにはSAARCよりも適した機会が存在し得るだろうか。

ボイコットの決定を考え直すことが順当であると私は思っている。

(著者はデイリースターの共同編集者。)

The Daily Star Sep 29 2016
http://www.thedailystar.net/op-ed/politics/saarc-coming-apart-1291219

翻訳:長谷川
#バングラデシュ #ニュース #SAARC #延期