貧困削減モデル、バングラ

貧困削減モデル、バングラ
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世界銀行のジム ヨン キム総裁は昨日、バングラデシュの国民や指導者に対し、多くの苦難に直面しているにもかかわらず貧困削減のモデルになったとして惜しみない称賛を与えた。

「バングラデシュは数々の苦難を乗り越えられることを世界に示しました」
キム総裁はダッカ(Dhaka)のオスマニ記念ホールで行われた討論会で発言した。

経済関係局と世界銀行は、"2030年までに世界の貧困をなくす:バングラデシュの経験を共有する"と題した討論会を共同開催した。

「事実この国の人々は技術革新や献身、目標の設定、明確なビジョンを持ったリーダーシップにより、ほとんどの人が想像だにしなかった功績を成し遂げられることを示したのです」

キム総裁はバングラデシュに対する世界銀行の強い貢献を明言した。
「我々は未来を掴むため、あなた方と共に取り組みます。この先何が起ころうとも」

バングラデシュは既に他国に先駆けて、人々に多くの投資を行っている。
「あなた方は我々に、子どもを下痢による死から守り、結核に対処し、女性の健康管理を改善する方法を教えてくれました」

「あなた方がこの支援を受け取り、人々にさらなる投資を行えば、この先何があってもそれに対する備えができていることでしょう」
キム総裁は昨年の世界貧困デーの折ガーナを訪問し、そこである衣料品工場の持ち主に会ったという。

持ち主は生産性を72%向上させたことを誇りにしている。これはバングラデシュ人アドバイザーのお陰だった。

「これは良いことです。彼女たちはまだバングラデシュ程の生産性水準には達していませんが、いつの日かたどり着くでしょう」

世界銀行は世界中で技術革新やより良いアイデア、大きな成果を求めており、バングラデシュは多くの重要な技術革新の源であるという。

キム総裁は出身地の韓国について話し、発展の道のりにおけるバングラデシュとの類似点を導き出した。

キム総裁が生まれた1959年、世界銀行は韓国を絶望的な国であるとした。返済が不可能だと思われたため、韓国は世界銀行から借款を受ける適格がなかったのだ。

当時の韓国で起こったことは現在のバングラデシュで起こっていることと幾らか似通っている。人に投資し、生産性を上げ、製造業に投資をした。

だが韓国は今もなお、40年前と同様、経済発展の次の段階がどうなるか不安を持っているとキム総裁。

「あなた方と共にそのような集団的な建設的偏執を切り抜けるために、我々世界銀行グループはここにいるのです」

「我々は資金を提供します。ですが我々の事はあなた方の偏執にお供するパートナーだと考えてください。あなた方のパートナーは次に何が起こるかを疑問に思いながら、未来を見ています」

先日、キム総裁は"貧困撲滅デー"の開幕式で演説を行った。この式典にはシェイク ハシナ首相がチーフゲストとして参加した。

バングラデシュは極度の貧困を撲滅する努力のただ中で、多くの基本的なものを得たとキム氏。

2000年以降バングラデシュの経済は平均して年6%で成長している。これにより、数百万人が貧困から救い出された。

今月初め公開された世界銀行のデータは、1991年から2010年にかけ、2050万人のバングラデシュ人が貧困から脱出したとする。

貧困率の割合でいえば1991年の44.2%から、2010年の18.5%まで低下した。

だが、バングラデシュには多くの為すべきことがあるとキム総裁はいう。最新の家計調査によれば、2010年時点で2800万人の貧困者がいたとされる。

バングラデシュは数十年前、極度の貧困撲滅には女性の地位向上が欠かせないと認識した。
「あなた方の指導者は、人口の半数が経済へ完全な参画ができなければ、経済は決してその可能性を完全に発揮することがないという論理的な結論にたどり着きました」

世界銀行がバングラデシュに見出したもう1つの教訓は一見明白だが、実践している国はほとんどいないとキム総裁は話す。すなわち極度の貧困を撲滅する過程を促進するため、複数のパートナーがいるという教訓だ。

「世界中で知られているBracやグラミン銀行など、大手の非政府組織や民間企業は、少額金融や女性が所有する小規模ビジネスへの投資、貧しい人々に力を与えるその他の試みをもたらしました」
AMA ムヒト財務大臣は公開討論会で、政府は2009年、社会部門に十分な投資を保証することを決定したと話した。

政府は農村部や社会基盤に投資をして仕事を生み出したとムヒト大臣。AHM ムスタファ カマル計画大臣はムヒト大臣の発言を支持し、政府は農村部と都市部を差別しないとした。

議会のシリン シャルミン チョウドリー議長は、政府は中小企業の発展により重点を置いていると話した。女性がその生活をより良いものに変える機会が生まれるためだ。世界銀行チーフエコノミストのポール ローマー氏は、経済が成長を維持するためには政府を必要としなくなると話した。

「政府は経済の妨げとなる可能性があるため、経済は政府との関わりを減らす必要があります。ですがバングラデシュや、同様な状況の国の本当に大きな問題は、政府の種類があまりにも少ないため、市場がより多くの洗練された仕事を生み出し続ける必要があるということです」

新しいアイデアに学ぶ機会を全員に確保できるのは政府だけだ。経済が発展するにつれ、この類のアクセスはより一層困難になっていくとローマー氏。アクションエイド・バングラデシュ担当長のファラー カビル氏は非政府組織や市民社会の組織、有志の集団は、過去40年間、健康や教育、女性の地位向上といった分野で、政府の補完をしてきたと話した。

「この多面的なパートナーシップを通して、我々は政府を補完します」

モハマディグループ最高経営責任者のルバナ ホック氏は、政府が社会基盤の開発や政策支援に重きを置いたお陰で、数えきれないほどの困難があったにもかかわらず、バングラデシュは確固たる地位にあると話した。

The Daily Star Oct 18 2016
http://www.thedailystar.net/business/bangladesh-model-poverty-reduction-wb-chief-1300186
翻訳:長谷川 
#バングラデシュ #ニュース #貧困削減モデル #世界銀行