世界で急速に発展しつつある他の都市と同様、ダッカも数千人の熟練土木作業員や未熟な土木作業員たちによって建設された。残念ながら規制機関による監督や監視が欠けていたことで、これらの作業員の安全や福祉が保障されていないことが度々ある。適用される安全措置はその会社の指針だけに依っているためだ。
バングラデシュ職業安全健康環境財団(OSHE)が2010年に作成した報告書で、バングラデシュの建設現場で年間110人の作業員が死亡していることが明らかになった。より憂慮すべきなのは、この統計が新聞15紙で報じられた内容に基づいているということだ。つまり実際は報じられていない事故で、死亡者数はさらに増えるかもしれない。
建設業界は全体として是正措置を取り、現場の安全事情の改善を誓う必要がある。
以下の3つは現場の安全事情を改善するため、各建設会社が取れる基本的な安全措置だ。
(1)建設現場の周囲を囲う
多くの建設現場では、近隣住民に迷惑を掛けず、通行人がホコリや瓦礫の落下による危険にさらされないようにするために現場を囲うことが不可欠だ。境界フェンスを立て、安全ネットと天蓋の付いた足場を付け足せば簡単にできる。
建設中の建物の周囲に安全ネット付きの足場を組めば、瓦礫が落下する危険性や周囲に吹き飛ばされるホコリの量を減らせるだろう。建物の様々な高さの所に天蓋を設置すれば、物体が落下する危険性をさらに減らせる。歩道天蓋も通行人を瓦礫の落下から守るために欠かせない。
(2)建設現場を清潔かつ安全に保つ
維持管理に関しては様々な面があるが、大きく4つに分けられる。
維持管理:
転倒や滑りの危険を減らすため、建設現場は清潔かつ整然としている必要がある。水詰まりを防ぐため、下水道や下水設備の定期清掃、適切な照明の確保、電気や火、その他の危険についての適切な警告、そして全ての消火器具を指定した場所に保管し、適切に動作するように保っておくことが重要だ。
建設廃棄物の処分:
清掃や処分の体系だった仕組みが無ければ、現場には建設ゴミや瓦礫がすぐに積み上がり、後に転倒やその他の危険につながることになる。
落下の危険:
落下事故の予防措置として、開けた全フロアや板渡しの狭い通路、空中作業台にガードレールを立てる必要がある。
電気事故:
建設現場では度々、電気を使う一時的な作業が多数行われる。これらで使う仮の電線を柔らかい配管に通しておけば、絶縁面で費用対効果が良い。
(3)労働者の福祉
バングラデシュ国家建築基準法(BNBC)やバングラデシュ労働法(BRA)で一定の義務付けが行われているにもかかわらず、土木作業員の福祉は度々無視されている。適切な研修を受けた健康な作業員がいなければ、建設の安全が保障されることは決してないだろう。導入されなければならない要素には次のようなものがある。
個人用防護具(PPE):
建設会社または契約者は、建設作業の全ての段階で作業員の安全を守るため、必要となる全てのPPEを提供しなければならない。
安全研修と危機対応研修:
作業員にはPPEの正しい使い方を把握するため、研修を施さねばならない。建設の各段階で異なるPPEの使用が求められるため、作業員は建設作業の種類に応じた適切なPPEや、何らかの段階で安全上特別な注意が求められることがあるのかを把握する必要がある。
その他の福祉施設:
BNBCには、明確に表示され便利な場所に設置された飲料水の供給源や、正しく管理されている衛生施設や洗浄施設を建設現場に設置することを要請する条項がある。これに加え、BLAでは作業員に適切な休憩室や食堂を提供する必要性を強調している。これらの要請事項はごく基本的なものであり、提供する際にもそれほど困難であったり高くついたりはしないはずだ。
統計では、建設現場で安全が無視される面があることや、作業員の安全と福祉を推進するために建設業界の刷新が必要であることが示されている。会社が実施できる安全措置は数えきれないほどあるが、基本的な措置は少しの計画で経済的、効果的に実施できる。基本水準の安全が達成された後は監視システムを導入し、約束した安全指針が確実に守られるようにするべきだ。
各会社は現場の安全改善には一定の投資が必要であること、これらの投資が作業員の健康ややる気、効率、熱心さといった面で指数関数的な恩恵として返ってくることを常に肝に銘じておく必要がある。
バングラデシュ/The Daily Star Nov 10 2016
http://www.thedailystar.net/business/how-ensure-safety-construction-site-1312162
翻訳:長谷川
#バングラデシュ #ニュース #建設 #安全性
関連