銀行やノンバンク金融機関は女性にお金を貸したがらないため、女性の中小起業家の少なくとも60.2%は金銭面の需要を満たせずにいることが調査で明らかとなった。
世界銀行グループの一機関、国際金融公社(IFC)によると、2014-15会計年度で充足されなかった金銭需要は600.7億タカ(856億円)だと推定されたという。
調査は7つの管区本部を含む12県で、中小の女性起業家500人を対象に実施された。
加えて政府機関や金融機関、女性ビジネス協会、その他起業家の生態に詳しい利害関係者へ、40の定性面接が行われた。
今日、ダッカ(Dhaka)で開催されたプログラムで、報告書"バングラデシュにおける市場ポテンシャルの描写及び女性中小起業家に対する資金提供の加速"が公開された。
報告書によれば、女性の中小起業家のうち、ビジネスに必要となる大部分で資金提供が受けられたのは、わずか31%だという。地域ではラジシャヒ(Rajshahi)が資金提供の格差が1企業当平均106万7千タカ(152万円)と最大で、これにクルナ(Khulna)が続く。格差が最も小さいのはボリシャル(Barisal)だった。
女性が経営する企業はバングラデシュの変化の経済的要素として見なされているが、資金源へのアクセスが限られている事が社会文化的な障壁と合わさり、彼女たちの経済活動参加を制約している。政府やバングラデシュ銀行による種々の取り組みでさえも、貸し手を刺激し、女性起業家に貸し付けの手を広げさせることはできなかった。
バングラデシュ銀行による"中小企業金融指針及びプログラム"では、女性の中小起業家に対する金利は10%を超えてはならないとしている。
個人保証は最大250万タカ(356万円)の貸し付けが認可されている。バングラデシュ銀行の先導に従い、銀行では女性起業家専用のデスクの設置が進められている。調査結果によれば、女性中小起業家の76%は政府や銀行がバングラデシュの女性中小起業家向けに設けた枠組みについて認識していなかったという。
「これらの試みは様々な理由により、女性中小起業家の金融アクセスに対し、意図した効果を上げられていない」
報告書にはこう書かれている。
多くの女性起業家は事業を拡大しようとしているが、銀行は貸し付けによる成長支援を行っていない。世界銀行グループ金融部門専門官で、この調査を主導したアナンヤ ワヒド カデール氏はデイリースターに話した。
銀行家たちは女性起業家への貸し付けは返済を期待できるか、不良債権となるのかの情報がないと話す。
バングラデシュの女性起業家の70%近くは農村部の小規模企業のため、市場や情報へのアクセスが制限される傾向にある。調査結果によれば、女性経営の中小企業が持つ需要は、全体で約997.5億5万タカ(1421億円)だと推定されるという。
この49%に当たる485万1千タカ(691万円)は日々の操業のため、運転資金として必要とされている。調査対象の女性中小起業家のほぼ3分の2は、ビジネスに必要な資金の75%以上を調達することができていなかった。
過去5年間(2010~2014年)、女性が経営する企業への貸し付けの中小企業ポートフォリオ全体に対する比率は3~4%あたりを推移している。
女性中小起業家の約88%は、貸し付け申請手続きに対して不満を表した。
平均すると、女性中小起業家は貸し付けの承認を得るまで、13回近く銀行を訪れていた。
平均137日という長い承認期間は、女性にとっての大きな困難であることが示されたと報告書には書かれている。
調査を行った女性企業経営者は成長中心的であり、平均で年収160万タカ(228万円)を生み出し、27万タカ(38万円)の限界利益を得ている。
さらに事業拡大のため、中小女性起業家の約80%は公式貸し付けを求めた。
1企業当たり収益額が最大だったのは農産品・食品サービス部門で、この後に健康管理と医薬品産業が続く。IFCの報告書には女性の中小起業家の金融アクセスを加速するため、幾つかの提案が伴う。
提案の焦点は国内銀行が責任ある金融所作を取り入れることで、女性中小起業家へのサービス提供力を改善することにある。
この調査では、女性向けに特化設計された商品の開発や、女性中小起業への到達に必要となる特定要素の取りまとめの枠組みが描き出された。
女性起業家の教育も不可欠であると報告書には書かれている。
バングラデシュ/The Daily Star Nov 24 2016
http://www.thedailystar.net/business/60pc-women-sme-entrepreneurs-struggle-get-loans-survey-1319449
翻訳:長谷川
#バングラデシュ #ニュース #女性 #起業
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