事件の直前

グルシャン79通り5番地の建物は通常の夕方より静かだった。

グルシャン湖のすぐ右に位置する、手入れの行き届いた芝生を持つ二階建ての建物、ホーリーアルチザンベーカリーとオーキッチンに足を踏み入れると、ダッカの別世界に入り込んだような気分になる。

屋外のテーブル席、この国の他の場所では決して味わえない美味しい地中海料理、丁寧なスタッフ、ゆったりとした雰囲気、金曜の夜を過ごすのに最適な場所だ。駐在員や高級料理を食べる余裕のある富裕層に人気の高いこの場所で何かが起こるなんて、誰も想像できなかっただろう。

週末、ここは特に賑やかになる。午前中は駐在員や地元の人がのんびりと朝食を食べるためにやってくる。多くの人はペットを伴い、小さなピクニックを楽しむためのラグや芝生で戯れる。太陽が沈む頃にはランタンが辺りを照らし、庭は魅惑的に変化していく。

金曜日、特派員はいつもより一時間も早く、友人たちとディナーを取ろうとレストランを訪れた。午後7時45分に着いたとき、薄暗い照明を浴びたレストランはいつも以上に魅惑的に見えた。振り返ってみると、これは嵐の前の静けさだったのだ。

店内にはにぎやかなグループの欧米人、アジア人、地元の人が、まだいた。おそらく40人ぐらいだっただろう。焼けつくような暑さのため外に出ていたのは数人だけで、大部分は室内に座っていた。BGMは快適な音で、会話は静かに流れていた。

お客が少なかったので、サービスはとてもスムーズに行われた。15分もかからないうちにテーブルに注文したビザが置かれた。見た目が素朴なパリパリしたビーフピザはあっと言う間になくなった。特派員は午後8時半前にはレストランを後にし、友人たちと一緒に次の場所へ移動した。

午後8時45分、武装集団は、ピザを焼く薪オーブンあたりに配置されていたキッチンスタッフを最初に襲った。彼はイスラム教徒であることを証明し、そこから逃れることができた。

The Daily Star July 03 2016
http://www.thedailystar.net/frontpage/dhaka-attack/moments-the-terror-attack-1249462