日本企業の対応

金曜日に起こったダッカ(Dhaka)襲撃事件を受け、近年バングラデシュに製造業の拠点や市場としての依存を強めていた多くの日本企業は見直しを迫られている。

月曜日、バングラデシュに事務所や工場を持つ日本企業240社のうち一部は日本からの従業員派遣を延期し、現地の従業員に外出を禁じたと話した。イスラム過激派による襲撃事件では襲撃者6人を含む28人が命を落とした。被害者のうち7人は日本人だった。

ユニクロを経営するファストリテイリングは従業員に対し、仕事でバングラデシュに入国することを7月末まで制限しているという。

現地には工場の衣料品製造を監督する従業員が、日本人6人を含め40人いる。またバングラデシュ国内で展開する9店舗には、日本人4人を含む100人の従業員がいる。従業員は全員安全が確認されたと担当者はいう。
「バングラデシュは我々にとって、製造と販売の両方において重要な拠点です。事業計画への大規模な変更は検討していませんが、従業員と顧客の安全を最優先します」

店舗営業は続けるものの、製造管理を担当する従業員は全員、7月10日のイードアルフィトル休暇が終わるまで自宅で待機するよう指示したという。イードアルフィトルはラマダンの終わりを祝って行われる宗教行事だ。

「日本人スタッフの一部はイード休暇中に帰国するかもしれません」
それぞれの従業員は今後バングラデシュに戻るかどうかを決めることができるという。

バングラデシュは近年、賃金水準が上昇して労働力不足が目立ってきた中国の代替、もしくは補助となる大規模工場拠点"中国プラス1"として名前が挙がっている。
日本貿易振興機構(JETRO)は言う。

「安い賃金を背景として、特に縫物のような労働集約型産業において多くの企業が工場を設けました。さらに1億6千万の人口を持つバングラデシュは消費市場としても魅力的であり、多くの消費者向け企業が拠点を構えるようになりました」

昨年6月、バングラデシュに事務所を開設した製造業の東芝は、全従業員に対してバングラデシュへの訪問を7月10日まで制限した。

「バングラデシュに配属されている従業員は数名だけです」
東芝の担当者、チダ・ユキヒト氏はいう。現段階では彼らを日本に戻す計画はない。

バングラデシュで火力発電所を建設する計画を持っている大手貿易会社丸紅によると、日本人従業員は全員公私に渡る計画を上司に報告するよう義務付けられていたため、襲撃後すぐ従業員9人全員の安全が確認できたという。現在は従業員に休暇の旅行先についての助言も行っていると担当者のハナダ・カズオ氏はいう。

「バングラデシュだけでなく世界中で様々な事件が起こっていますので、従業員の安全確保のため、考えられるあらゆる手段を取っています。最悪のケースは彼らと連絡が取れないことです」
ハナダ氏は言う。

一方、主に国内労働者によって運営されるダッカの工場で製造されたバッグを東京で販売するマザーハウスでは、従業員全員の安全が確認された。

「工場長からスタッフは全員無事であり、製造ラインも通常通り稼働しているとの知らせを受けました」
マザーハウスのイナバ・ジュンキ担当はいう。

マザーハウスは商品の80~90%をバングラデシュで製造しており、製造した商品を日本や台湾、香港で販売する。

バングラデシュ北部で日本人の星さんがイスラム過激派によって殺害された昨年10月から、マザーハウスは従業員に対し、テロリストの攻撃に注意を呼び掛けているとイナバ氏はいう。

バングラデシュは長い間アジアの最貧国であり、自然災害を受けやすい国と思われてきていたが、近年では著しい経済成長を見せ、2015年には6年連続で年6%の国内総生産(GDP)成長を記録した。

先月、ニューヨークを拠点とする大手広告企業のオグルヴィ・アンド・メイザーはバングラデシュを今後10年間で消費が大幅に成長する見込みがあるとして、インドやパキスタン、マレーシア、インドネシア、フィリピンとともに、12の"速度のある"市場の一つとした。

2015年、日本は鉄鋼や自動車、機械などの製品13.7億ドル(1398億円)相当をバングラデシュに輸出した。前年輸出額は11.6億ドル(1184億円)だった。

日本はバングラデシュから10.8億ドル(1102億円)相当の輸入も行っている。輸入は衣類や靴が大部分を占める。

東京の外務省によると、昨年時点で986人の日本人がバングラデシュに住んでいるという。

The Daily Star July 05 2016
http://www.thedailystar.net/business/japanese-firms-assess-work-prospects-after-attacks-1250383
翻訳:ハセガワ

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