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親愛なる読者の皆さんへ。
私は数日前、北部地方のガイバンダ(Gaibandha)県ジャクアパラ(Jhakuapara)を訪れた。ここの風景はよそとは一味違い、高地もあれば低地もある。比較的高い土地の農家はパリジャの名で知られているアウス米のローカル種を栽培している。ここの農家は年に4品種を栽培する。
一方、低地は雨季の間ほとんど何も育たない。皆さんご存じのように北部県は洪水が頻繁に起こりやすく、その影響を最も受けるのが低地だからだ。
収穫量の多いボロ米の栽培が始まってから、何もかもが変わった。生産勘定は完全に変化した。研究者によれば、現在バングラデシュではアマン米が48%の農地で栽培されており、ボロ米の割合は45%だという。アウス米はわずか9%の土地でしか栽培されていない。しかし生産量はボロ米がトップなのだ。
今のモンスーン季、多くの土地が水没したままだ。
現在北部高地では1年を通して円滑な栽培が行われる。まさに今の時期、熟れた(あるいは熟れかけの)黄金の稲穂が田んぼで揺れ、うっとりするほど自然の美を見せてくれる。
農家のシャムスル ホクさんは、ガイバンダ県ラクスミプール(Laxmipur)ユニオンのコレゲパラ(Collegepara)にある家のすぐそばにパリジャの農地を持つ。私は8月4日、シャムスルさんの農地を訪ねた。この時期、農家は水没した農地を眺めながら、手持無沙汰になる。
しかしそのシナリオは良い方向に変化していた。
シャムスルさんや他の多くの農家は、収穫まで90日しかかからないパリジャを栽培するようになった。技術がこの革命的変化をもたらしたのだ。
私はシャムスルさんにこんな風に聞いてみた。「どうしてパリジャはこれほど人気になったのか」と。
「育つのに90日しかかからず、非常に費用対効果が良いからです」
シャムルさんは答えた。
文字通り何もかもを変化させた"4輪作"という魔法がある。一般的に農家では3~4月にリョクトウを育てる。収穫後の5~7月、パリジャを90日間で育てる。8~10月にはアマン米を、さらに11月から1月にかけて冬撒き春穫り作物を栽培する。つまり今は同じ土地で年に4種の異なる作物を簡単に栽培できるのだ。
中高地はパリジャの栽培に理想的だ。北部16県にはこのような土地がおよそ60ヘクタール存在する。国内全体ではさらに180ヘクタールの中高地がある。これらの土地では容易に4種の作物を栽培できる。
パリジャ栽培に喜ぶ農家ノヤ ミヤさんに話を聞いた。
「パリジャは栽培しますか」
「私はしていますし、他の家族もしています」
「何か生活に変化はありましたか」
「かなり改善されました。毎年4つの作物を生産し、以前よりも稼いでいます」
開発組織RDRSが、ボンゴボンドゥ・シェイクムジブルラーマン農業大学(BSMRAU)と共同でこの4輪作を実施する。
北部地方では、農業はどうにか生きるためのある程度専門的な職業だった。しかし4輪作技術の導入後、今や農業は農家たちにとって非常に利益のあるものとなった。
全体としてこの地域全域の社会経済的シナリオは変化した。今、全ての農家は有意義な体験をしている。
パリジャ栽培の促進に農業普及局(DAE)は不可欠な役割を担っている。
農業専門家MG ニヨギ博士は、8~10年前にパリジャの研究を始めた。現在ニヨギ博士は世界銀行のプロジェクト顧問として働いている。ニヨギ博士はこの4輪作技術を国の計画に取り入れることを提案した。
BSMRAU農学部のマイヌル ホク博士も、4輪作は長期的な食料安全保障に良い役割を果たせるという。
同じくパリジャを栽培する農家のコルシェド ミアさんにも話を聞いた。
「1ビガ(1/3~1エーカー)の土地からどれだけ収穫できますか」
「12~14モーンドです」
「他の稲よりも生産費用は低いですか」
「とても低いです」
コルシェドさんは潅水にお金を使う必要がない。雨で水を調達できるからだ。パリジャは他の品種に比べ、必要肥料が非常に少ないとコルシェドさんはいう。同じ土地でリョクトウを育てていたからだ。
「この土地は既に十分に肥沃です。だからパリジャの栽培がとてもうまくいくのです」
「以前私たちは年に1種類だけ、作物を作っていました。2014年からは年に4つの作物を作っています。これは本当に素晴らしいです」
同じく農家のラーマンさんはいう。
ラーマンさんの土地では1ビガの土地に4つの作物を栽培するときの年間費用は1万4070タカ(1万8060円)だが、その土地から得る収入は2万9130タカ(3万7400円)になる。つまり1ビガの土地につき、1万5060タカ(1万9340円)を稼いでいることになる。
ラーマンさんは合計25ビガの土地を持つ。だからおよそ37万5千タカ(48万1千円)の収入を得ているのだ。たった1年で。
親愛なる読者のみなさんへ。
バングラデシュ北部地方は農作物の宝庫と思われている。だがこの地域は季節的な食料不足による飢餓状況"モンガ"があり、貧しい人々や、切迫した人々の多くを苦しめている。願わくばこの状況は近年、大きく改善されたと思いたい。繰り返すようだが、バングラデシュ北部地方に豊かになれる展望が浮かび上がってきたのだ。
今こそ4輪作を国中に導入する時だ。土壌の健康保全も同じく重要だ。
関連する政府事務所や開発組織が、地域にある知識や農家の経験を用いて事に当たれば、北部地域の高地で生まれた革新的な栽培方法は国中に広がることだろう。
The Daily Star Aug 25 2016
http://www.thedailystar.net/country/four-crops-yr-boon-farmers-1275103
翻訳:長谷川
#バングラデシュ #ニュース #4輪作
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