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今夜は満月だ。
兄は川で小舟に乗り、月の光を浴びてくつろいでいる。だが彼女はバルコニーから月を眺めようと苦戦している。
この話はバングラデシュの多くの女性の人生に感銘を与える。冒険小説のページをめくりながら森を越え、山を越え、思いを外の青空に馳せる女性はとても多い。だが実際はそういう女性の多くが、研修旅行に参加する許しさえもらえない。
外は危険なので女性は一人旅ができない、女性は大旅行家になるように創られていない。これらはバングラデシュ社会で今まさに疫病のごとく広がっている、長きにわたって存在する男性優位の考え方だ。
バングラデシュ人女性の中には、人生を町中の狭い通りに押し込めることを拒む者もいる。彼女たちは一人で旅に出て世界を探検するのだ。
ナジア ショロニーさんは技術者だ。旅への情熱は子どものころに始まった。まだ行ったことがない新しい場所を地図帳で見つけるのが、ナジアさんお気に入りの遊びだった。バングラデシュの他の多くの女性と異なり、彼女の新しい場所への探求は地図帳だけに納まらなかった。
多くの親は娘に対し、一人旅は言うまでもなく、友達との旅も許してはくれないとナジアさんは指摘する。結婚するまで我慢し、夫と旅をするよう、娘に提案する親もいる。
バングラデシュ人は女性の一人旅について否定的な考えをあまりに多く持ちすぎているとナジアさんは考える。そのため多くの女性は一人旅をする勇気がないのだ。
「一歩踏み出すだけでいいんです。そうすれば両親も娘の自信を壊すようなことをするべきではないと気付くはずです。女性は一人旅の際に自分を守る術を学ぶ必要があります」
ジャーナリストのクアジ シャーリーン ホクさんは旅の機会を逃さない。一人旅でも友人との旅でも、旅はいつもシャーリーンさんを元気にしてくれる。
シャーリーンさんは初め、人々が車の旅について否定的な意見を出すことから独り立ちしなければならなかった。
女性の自由な行動を妨げようとする人はいつも存在するが、女性は闘い、自分の権利を勝ち取らなければならないとシャーリーンさんは考える。
安全は女性だけの問題だろうか。一人旅の意思を曲げない女性に対し、いまだに社会は頑なであり続けるのだろうか。
「安全の事でどうしてこれほど騒ぐのか、私は納得できません。新しい場所へ旅する時、男性も女性も安全に関して気を配る必要があります。親は女の子の一人旅は阻止しますが、男の子の場合は問題にしません」
アシタ スルタナ チョウドリーさんは米国やイタリア、スウェーデン、ネパール、デンマーク、マレーシアなど、13ヶ国を訪れたことがある。
パラグライダーにハイキング、トレッキング。アシタさんはこういった類の冒険が大好きだ。だがアシタさんは安全の確保を忘れない。
鞄には緊急連絡先情報を保管し、予約前にはホテルについての情報を電話で確認し、雇ったガイドのこれまでの記録をくまなく調べ、友人や故郷の家族には近況報告を行い、車の旅を始める前は行き先について可能な限り調べておく。アシタさんはこれらのことを勧めている。
ナジアさんにとって旅とは単なる楽しいひと時ではない。自然の中で過ごすことで、生活にも良い変化が表れるとナジアさんは考えている。
ナジアさんはある逸話をプロトムアローに話した。
「インドのグワハティ(Guwahati)を旅した時、私はオーストリア人のシングルマザーに会いました。5時間のトレッキングの後、世界でただ一つの生きた木の根っこの橋を見に行きました。当時は人生のつらい時期でした。この旅で私は自分自身を再発見しました」
ナジアさんは話す。
アスリートのゾベラ ラーマン リヌさんも旅に夢中だ。女性は一人旅に自信を持つべきだとリヌさんはいう。10代の少女は一人旅の許可を得られないかもしれないが、大人の女性の一人旅ついてはリヌさんは問題はないと考える。
一人旅をするバングラデシュ人女性たちは掟を破り、道を切り開く。大旅行家を志し、旅行への情熱が本やテレビ番組、映画、インターネットだけでは収まらないような女性たちみんなのために。
Prothom Alo Sep 28 2016
http://en.prothom-alo.com/lifestyle/news/122961/Women-travelers-break-rules-and-go-solo
翻訳:長谷川
#バングラデシュ #ニュース #女性 #一人旅
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