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中国は長きに渡って保持してきた低価格衣料製造の優位性を次第に失っているため、バングラデシュは今後10年で世界第1位の衣料品輸出国になれるかもしれない。評論家らは昨日話した。
シンクタンク"バングラデシュ企業研究所"のファルーク ソバーン所長によると、中国は工場を経済特区に設けることで、衣料品や織物を始めとした産業の多くをバングラデシュに移転しようとしているという。
「バングラデシュが世界ナンバー1の既製服輸出国となる上で、中国自身が大きな役割を持ち得ます」
「我々が手札を適切に切っていけば、今すぐではないにしても、今後10年以内にはそうなると見ています」
ソバーン所長はダッカ(Dhaka)のデイリースターセンターで開催された討論会で話した。
"バングラデシュと中国の関係:2つの経済圏を繋ぐ"と題されたこの討論会は、中国の習近平国家主席のバングラデシュ訪問を前に、デイリースターが企画したものだ。
世界貿易機関(WTO)のデータによれば、2015年の世界全体の衣料品消費額は4450億ドル(46兆700億円)だという。
最大の輸出国である中国は世界市場の39.26%を占め、バングラデシュのシェアは5.9%だ。
バングラデシュの昨会計年度の衣料品輸出額は280億ドル(2兆9千億円)だった。バングラデシュは2021年までに輸出額を500億ドル(5兆1800億円)へ引き上げる目標を立てている。
一方、中国は製造費用の上昇と熟練労働力不足が主な原因で、市場シェアを次第に失っている。
世界的な巨大小売業たちも良質で手頃な価格の衣料品の注文量を増やしており、バングラデシュの衣料品輸出は増加している。多くの物事がバングラデシュの履行能力にかかっているとソバーン所長はいう。
「中国からの貸し付けに関する条件や、速やかに履行を行うためのバングラデシュ自身の設備供給能力といった、対処を必要とする課題もいくつか存在します」
ムンシ ファイズ アーマド前在中国バングラデシュ大使は、バングラデシュは中国とインドという地域の2大巨頭の翼に乗って飛躍できるだろうと話す。
この事はバングラデシュの外交手段となり、これを成し遂げ、前進の妨げとなる障害や不信を取り除く役割を果たすことができれば、バングラデシュは南アジア全体の変革者となることができるとアーマド前大使は話す。
また中国に対する貿易赤字について、心配し過ぎるべきではないという。
「資本にしても消耗品にしても、中国から物を買っているのはそれが必要だからです」
だが中国はその格差について敏感になっていて、出来るだけ減らそうとしているとアーマド前大使。北京は5700種類以上の品目について、無関税アクセスを提案しているという。
「中国は他の品目についても前向きになってくれると期待しています」
バングラデシュ国際戦略研究所(BIISS)の会長でもあるアーマド前大使によれば、中国では製造基盤や労働力が高額になりつつあるため、しだいに製造が高くつくようになっているという。
「近い将来にはバングラデシュが中国に労働力を送れるようになることを期待します」
バングラデシュは水産の可能性を模索するため、友好国と協働する必要もあるとアーマド前大使はいう。中国は水産技術や海上作業の経験に関して秀でている国の一つだ。
BIISS研究責任者代行のマーフズ カビール氏は発表で、バングラデシュは中国にまで商圏を拡大するため、衣料品を含む大部分の品目について無関税アクセスを必要としていると話した。
衣料品や合成繊維、煙草などの17品目はでは無関税の市場アクセスが見込まれており、莫大な貿易赤字を減らす助けになるとともに、近い将来には2国間貿易はさらに拡大されるだろうとカビール氏はいう。
政策対話センター副研究責任者のコンダケール ゴラム モアッゼム氏は、バングラデシュは原産国規定(RoO)を緩和するため、中国との交渉を始めるべきだと話す。今後7~8年間で発展国となった後は、関税について恩恵を受けられなくなるためだ。
「中国から柔軟なRoOを得るため、交渉を行う必要があります。中国が現在提供している関税優遇と同様の措置を提供する準備ができていないのであれば、バングラデシュは中国との2国間交渉を始めるべきです」
RoOは製品の原産国を決定する際に用いられる基準であり、国ごとに異なっている。関税や規制が一部分輸入側に依存するという事実から重要性が生じる。
スタンダード・チャータード銀行バングラデシュ経営責任者代理のナセール エザズ ビジョイ氏は、バングラデシュは中国の要求が何であるかを特定する所から始めるべきだと話す。
ブラック大学のアイヌン ニシャト名誉教授は、バングラデシュ・中国・インド・ミャンマー(BCIM)経済回廊の理念が真に作用した場合の最大の利益の一つは、エネルギー協力であると話す。
「計画された経済特区(SEZ)には心配があります。バングラデシュは輸出加工区(EPZ)を設置した際、環境への懸念に一切の注意を払わなかったためです」
「EPZには排水処理設備がありませんでしたが、それは失敗でした。SEZが環境についての国内法に完全に準拠してくれることを願っています」
中国とバングラデシュの首脳間会合が、決定事項の規定時間以内の実施に繋がるだろうとニシャト名誉教授は話す。
バングラデシュ織物工場組合のタパン チョウドリー組合長によれば、衣料品産業はアコードやアライアンスの影響によって、世界で最も規制されている産業であるという。
「これまでになされた全ての改善作業は素晴らしいものです」
中国の衣料品メーカーは付加価値のある商品へと移行しており、これによってバングラデシュには機会が生まれるとチョウドリー組合長は話す。
「その機会を利用するため、我々は電力を必要としています」
シンクタンク"政策、アドボカシー及びガバナンス研究所(IPAG)"上級研究員のマクシュドゥル AM モンダル氏によると、バングラデシュは中国にとって戦略上重要であるという。
モンダル氏は例を示した。雲南省のような中国南部の内陸にある省が海港への簡便なアクセスを欲した場合、1700キロメートル離れた広州の港を選ぶことになる。だが雲南からチッタゴン(Chittagong)港までは約1千キロメートルなのだ。
「北京がバングラデシュの社会基盤(インフラ)建設を支援すれば、中国は接続性や貿易、市場アクセス、人対人の接触などで大きな恩恵が得られます」
IPAG研究院のアビア ナーレーン氏は、バングラデシュは中国との貿易格差を縮めるため、輸出品目を多様化するべきだと話す。バングラデシュは中国の海外直接投資の活用もすべきだという。
バングラデシュ工業技術大学、前化学工学教授のM ヌルル イスラム氏は、技術移転には注意を払うべきだと話した。
ダッカ大学国際関係学のライルファール ヤスミン教授は、中国は大国であると示すには軍事力や経済力を持つだけでは十分でない事を冷戦から学んでいると話した。
従って中国はインフラに数十億ドルを投資し、自国がインフラ大国であると示しているのだとヤスミン教授はいう。
ダッカ商工会議所会長代理のフマユン ラシド氏は、コルカタから昆明へと至るBCIM経済回廊の設立は、投資の誘致やビジネスの推進によりバングラデシュの助けになるだろうと話した。
The Daily Star Oct 11 2016
http://www.thedailystar.net/business/bangladesh-can-become-no-1-apparel-exporter-decade-1297279
翻訳:長谷川
#バングラデシュ #ニュース #衣料品 #輸出
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