権利のため奮闘する女子児童

権利のため奮闘する女子児童
5学年の女子生徒、ヒム アクテールさんは恥ずかしがらずに声を挙げた。

ラルモニルハット(Lalmonirhat)県テースタ川中州(チャー)地帯プルボダワバリマディーヤパラ政府小学校の生徒ヒムさんは、遠隔地の学校の生徒だからといって、不完全な教育施設を受け入れる必要がないということを明らかにしたのだ。

ヒムさんは多くの面でいたって普通の生徒だ。ハティバンダ(Hatibandha)郡のウッタールダワバリ(Uttar Dawabari)浅瀬に住むハミドゥル イスラムさんと妻のハゼラ バヌさんの子どものヒムさんは、毎朝砂だらけの土地を3キロ歩き、その後学校までたどり着くため、テースタ川を渡るボートに乗る。家は大変な状況だ。5年前に20ビガの土地を持っていたが、川の浸食で4ビガに減ってしまったからだ。

父親はヒムさんが人生で自分自身を確立するため、高等教育を修了することを望んでいる。今のところ、ヒムさんの成績は良い。だがヒムさんが大半の10歳の生徒と一線を画するのは、適切な設備を備えた学校の実現に向けて声を挙げ、積極的な活動を行っている点だ。

「チャーの学校はいつも放置されています。私たちは良い先生、机やいすのような基本的備品、スポーツ用設備、社会基盤(インフラ)、そして庭園さえもキャンパスに迎え入れる機会を逃しています。チャーの生徒は理想的な学習環境を奪われており、誰も私たちのことについて話してくれません」
ヒムさんはいう。

この5ヶ月間、ヒムさんは状況改善の助けになってきた。生徒たちの優秀なリーダーとしての名声を大いに得たヒムさんは、学校に衛生的なトイレや管井戸、庭園、さらに多くのベンチを確保することに成功した。
「私たちはこれらの設備を持っていませんでしたが、今や学校当局や、いくつかの非政府組織(NGO)がこれらを提供してくれています」

補助教員のアフロザ カトゥンさんによると、ヒムさんは仲間の生徒たちと共に多くの変化をもたらしたという。
「彼女たちの努力のお陰で私たちは教室で授業に専念できるようになりました。また学校のインフラは日ごとに改善されつつあります」

「今や私たちの学校は地域のどの学校よりも良い状態です。ほとんどヒムさんのお陰です」

ヒムさんの活動は、NGOのSKSが"セーフスクールプロジェクト"の一環として2016年3月に開催した1週間の特別セミナーに14人の生徒と共に参加したことから始まった。この研修の狙いは、生徒たちに学校で権利を勝ち取る取り組みを促すことだ。

「私たちは先生と一緒に毎週の会議に参加し、生徒たちの権利をどのように実現するか、どのように教育環境を改善するかを話し合っています。私は先生たちと方向性も共有し、他の生徒たちと何ができるかについて話をします」
ヒムさんは説明する。

「私たちは学校での権利について強く認識するようになりました」
同じく5年生のマイドゥル イスラムさんは話す。

「ヒム アクテールさんは私たちに対し、共に取り組み、権利を主張するよう励ましてくれました。ですから私たちは本土の生徒たちと同じ環境を享受できています」

「ヒムさんの活動のお陰で、既に生徒が登下校でテースタ川を渡る時に無料で使えるボートがSKSから提供されました。以前は川を渡るたびに10タカ(13円)を払う必要がありました」
マイドゥルさんは話す。

「以前はトイレや井戸、花壇が無く、ベンチも十分にありませんでした。私たちはほんの数ヶ月前まで沢山の問題を抱えていましたが、今や学校が上手に運営してくれています」
5年生のサルマ アクテールさんは言う。

SKSセーフスクールプロジェクトの調整役シャフィクル イスラムさんによると、ボートや衛生的なトイレはヒムさんの提案に基づいてSKSが寄贈したという。今や地域の他の学校の生徒たちもヒムさんの先導に伴い、自分たちの権利についての認識を形成しつつあるとシャフィクルさんは話す。

「ヒムさんは職員に対し、生徒を上手に教えることに対する責任をより認識させました。さらに後押しを受けた他の生徒たちも、学校を発展させる取り組みを始めました。私たちは生徒の要求を満足させるため、とても、とても慎重に取り組んでいます」
シャフィクル イスラム校長は話す。

現在4学年の妹のシム アクテールさんや、同じ学校に通う予定の2人の弟がいることもあり、この学校のさらなる発展を望む理由がヒムさんにはある。だがそれ以上に、浅瀬地帯に住む生徒全員が本土の生徒たちと同じ権利や設備を享受できるようになるという夢に、ヒムさんは突き動かされている。

バングラデシュ/The Daily Star Nov 02 2016
http://www.thedailystar.net/country/fifth-grader-strives-students-rights-1307911
翻訳:長谷川 
*1ビガの広さは国や地方によって違いおよそ1/3エーカー~1エーカー。1エーカー=40.469アール=4047平方メートル。
20ビガはおよそ270アール(2万6980平方メートル)~809.38アール(8万940平方メートル)。それが1/5の4ビガに減った。つまり54アール(5396平方メートル)~162アール(1万6188平方メートル)に減ってしまった。
#バングラデシュ #ニュース #チャー #学校 #権利