見守ってくれる家族との楽しい時間、学校の勉強に専念できる環境、それらに満たされているのが、理想的な子ども時代だ。悲しいことだが、多くのバングラデシュの子どもたちの現実と、この理想は大きくかけ離れている。
ラルモニルハット県サダー郡(Lalmonirhat Sadar)郡ファリマリ村の僻地中州に暮らす11歳の3人組、ミザン・イスラム、ソヘル・ナラ、デロワー・ホサイン君たちは学校へは行かない。学校へ通わせる余裕が家族にないからだ。だが理想と大きくかけ離れていても、3人は状況を最大限活用することを決めた。3人は非公式ながら漁業協同組合を作り、力を合わせて稼ぎ、家族に貢献している。
「小学校に入学しました。でも家が貧しかったため、クラスに別れを告げました。勉強はしたい、でも僕には不可能なのです」
ミザン君は話した。
3年前、ミザン君と友人2人は、2学年を終えたところで退学した。そしてそれぞれが家族から6千タカ(8566円)を集めた。3人で集めた1万8千タカ(2万5698円)で小舟を作り、網を買った。今では毎日ダーラ川で漁をし、その状況を楽しんでいる。
「僕たちは小さな頃から魚を獲ってきました。最近では川で小舟を動かすことに慣れてきました」
3人は漁を通し、それぞれ1日300タカ(428円)の収入を得ている。
「僕たちは朝早く川に出て、昼に一度帰ります。時々、村から7キロほど離れた場所で、夜に漁をすることがあります」
ソヘル君は3人で一緒に働くのが好きだという。そしてお金を稼ぎ、家族を助けることが嬉しい。
「商人が川で捕まえた魚を買ってくれます。市場に持っていく必要がないのです」と、デロワー君。
「僕たちに船長はいません。お互いを尊重しています。僕たちは毎日一緒にいます」
最も辛いのは寒い冬だと、デロワー君はいう。
「冬の朝、川に出ると、体の芯から震えます」
「家が貧乏で学校へ行けなかったのは本当です。でも一度も川で魚を捕まえてほしいと思ったことはありません。だけど息子は家族のためにお金を入れてくれる。それは丈夫ではない妻の毎日の薬代になっています」
ソヘル君の父親ナスルル・イスラムさんは話す。
ミザン君の父親ヌール・イスラムさんも同様に、息子にもっと勉強して欲しかったという。
「ですが息子は一度も学校がいいとは言いませんでした。今3人は貧乏から抜け出すため、漁で挑戦しています。彼らはうまくやっています」
3人の友情は村に感動を与える。
「3人から苦難の中で笑顔を忘れず生きる素晴らしさを教えてもらっています。彼らは誠意と愛と友情を見せてくれます。村には多くの子どもたちがいますが、3人は特別です」
近所の漁師アシュラフ・アリさん(48歳)は話す。
当然ながら地元の小学校教師スフィア・ベガムさんに感動はない。
「3人を学校に連れ戻そうと何度か挑戦しましたが失敗しました。彼らは漁でお金を稼ぐことに決めているようです。私たちは保護者に学校の重要性を認識してもらうため、個別訪問キャンペーンを実施しています」
県漁業局のラティフル・ラーマン氏は、漁師へ援助を行っているが、漁師になりたい子どもたちを教育するプロジェクトはないと話す。
今のところ、3人の心は漁が占めている。もっと小舟を作り、網を買って、事業を拡大したいと夢見ている。彼らは自分たちの友情が将来大きなチャンスをもたらすことを信じている。
バングラデシュ/The Daily Star Jan 26 2017
http://www.thedailystar.net/country/no-chance-school-partners-fishing-1350841
翻訳:吉本
#バングラデシュ #ニュース #漁
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