外国からの送金収入の鈍化傾向が続く中、今会計年度の当初10カ月間の送金収入額は対前年比で16%減少し、バングラデシュの外貨貯蓄や成長、貧困削減への取り組みを脅かしている。
バングラデシュ銀行(BB)のデータによれば、バングラデシュは2016年7月から2017年4月までに102.8億ドル(1兆1338億円)の送金収入を得たという。
バングラデシュにとって最大労働市場の湾岸協力会議(GCC)6カ国からの送金額の減少が、送金収入が振るわない主な原因だ。
今会計年度の7月から3月まで、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦からの送金収入額は17%減の52.6億ドル(5827億円)だった。
多数のバングラデシュ人がGCC6カ国で職に就いている近年の状況とは著しく対照的だ。
人材雇用訓練局によれば、2016年の6カ国への人材輸出は対前年比で52%増加し、57万2028人となったという。
政府の前顧問AB・ミルザ・アジズル・イスラム氏は、送金収入成長の不調が次会計年度も継続すれば、国内通貨タカの価値が下落すると話した。現在の経常赤字も拡大するいう。
対米ドルの為替レートは過去数年間平均で78タカ(107円)だったが、今年5月に80.5タカ(110円)を上回った。
今会計年度当初9カ月時点の収支は13.8億ドル(1,329億円)の赤字で、1年前の33.5億ドル(3,711億円)の黒字とは対照的だ。
「送金収入が減ったと言われてはいますが、それは正しくありません」
バングラデシュ経済協会前会長のアブル・バルカト氏は話す。
BBが示した数字は銀行取引のみによる金額で、公式・非公式両方の経路で金額を集計し、本当の送金収入額を算出するよう政府に訴えた。
だがイスラム氏はバルカト氏に反論する。
「非公式の送金額はかなり大きいとの主張はしばしばありますが、送金収入の成長率は実際に下落していると考えています」
石油価格の下落により、中東諸国の経済は低迷している。バングラデシュにとって大手労働市場であるサウジアラビアでさえも予算赤字に直面している。その結果、出稼ぎ労働者は解雇や賃金引き下げに遭い、送金収入の不調につながる。
世界銀行は先日、GCC諸国やロシアの石油価格の低下や経済成長の不振、緊縮財政が、南アジアや中央アジアへの送金収入に打撃を与えていることを明らかにした。
「現在の傾向が続けば、送金を受け取っている人たちの消費が縮小するでしょう」
イスラム氏は補足した。
BB前チーフエコノミストのビル・パクシャ・パウル氏は、送金収入成長の減速がタカの下落になり、為替レートへ圧力をもたらすだろうと話す。
だが、下落が経済に直接の悪影響をもたらすことはない。タカが下落すれば、送金者が正式な銀行取引を通じて送金を行うようになるためだ。
パウル氏はBBに遠隔地まで送金サービスを拡大し、外国居住者が正式な経路を通して故郷へより多くの送金を行うよう後押しすることを提案した。
在外バングラデシュ人労働者の送金額は2015-16会計年度でGDPの6%を占め、家計収入や消費に良い効果を与えることで経済成長を支えている。
2014-15年度には送金収入が経常収入の約30%を占め、貿易赤字を埋め合わせて余りあるものとなっていた。
The Daily Star May 31 2017
http://www.thedailystar.net/business/slow-remittance-flow-hurt-economy-analysts-1413379
翻訳:長谷川
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