迫りつつある気候変動の脅威によってバングラデシュは国土の多くは水没する可能性があり、2~3千万人が故郷を追い出されることになる。ヤフェス・オスマン科学技術相は18日に明らかにした。
バングラデシュはこのような気候変動に上手く適応し、事前の準備ができたままであり続けるだろう。そういった適応はこの国が気候変動の影響を撃退し、開発の道筋を軌道に乗せ続けるための助けになるだろうと技術相は話す。
技術相はダッカ商工会議所(MCCI)の事務所で行われた、ホライズン2020に関するバングラデシュの研究界隈や事業界隈の中での認識向上のためのセミナーにおいて講話を行った。ホライズン2020は2014年から2020年にかけて行われている欧州連合(EU)の旗艦研究革新プログラムだ。
ホライズン2020はEUの研究革新プログラムでは最大のものであり、欧州やバングラデシュを含む他の地域の研究者による共同研究プロジェクトへの資金提供として800億ユーロ(9兆9,600億円)を動かすことができる。
気候関連の支出はホライズン2020の予算の35パーセント以上を占めると予測されており、バングラデシュの企業が研究チームの一員として加わるための積極的な取り組みを行うべき時であると技術相は言う。
欧州企業との協力により、バングラデシュは気候変動や資源備蓄に関する経済についての理解を体系立った方法で深めることができ、影響を査定するためのツールや手法を改善させられると技術相。バングラデシュは近いうちに後発発展途上国を卒業すると予想されている。
中収入国に進級するためには準備やしっかりとした開発基盤が必要となるだろう。バングラデシュは"ホライズン2020"構想の下、気候変動から健康被害に至るまで、ほぼあらゆる種類の問題に焦点を当てた提案を示せるだろうと技術相は話す。
在バングラデシュEU大使のピエール・メイオードン氏は、バングラデシュを含む世界のあらゆる国の団体や研究者がホライズン2020のプロジェクトに参加できると話した。
通常の共同プロジェクトにおいてコンソーシアムを結成する場合には、複数のEU加盟国または関係国から3つの独立した団体を含める必要があり、これに加えて欧州内のものであるかどうかを問わず任意の数の団体を含めることができるという。
これにより、研究や革新におけるほぼ全ての分野をカバーすることができると技術相は話した。
ホライズン2020は2014年に立ち上げられ、現在はバングラデシュを含む複数の国で実施されている。
ホライズン2020はEUが欧州の事務局で運営を行っているという。ホライズン2020の終了後には同様の新しいプログラムがある。
「(ホライズン2020は)オープンであり、あらゆる部門からの提案を呼び込んでいます」
とメイオードン氏。ホライズン2020は世界最大の研究革新プログラムであるという。
「研究の成功は保健制度や教育、インフラの改善という形で反映され、更なる発展へとつながります。ですから、これらの重要性はどれだけ評価しても過大評価にはなりえません」
国会議長のシリン・シャルミン・チョウドリー氏は話す。
科学技術省のモハンマド・アンワール・ホサイン次官代理は、食糧やエネルギーの安全保障、強化食品や交雑種、トイレや衛生設備、農業の持続可能性や林業、漁業、水産、内陸の水資源研究、生物経済の分野では科学的な研究が必要とされていると話した。
「我々はかなり長い間デング熱に耐えており、もっと最近にはチクングンヤウィルスが現れました。我々はこういった病気の治療法を必要としていますが、ホライズン2020ではすでにエボラと闘うプロジェクトに資金提供を行っていますから、これらの病原菌に対抗するための研究資金を得ることができるでしょう」
とホサイン氏。
これに限った事ではなく、ホライズン2020では既に織物産業における廃水の再利用や農業廃棄物の再生可能なパッケージング、水の紫外線消毒など、他にも多くの同様のプロジェクトに資金を拠出している。
バングラデシュは2月28日時点で2つの無償援助協定に調印しており、合計で549万ユーロ(6億8,350万円)をホライズン2020から提供されているとホサイン氏は話した。
「ホライズン2020では成功した参加者に対し800億ユーロ以上を拠出することを目標としています。これは3つの柱を中心に構築されています。すなわち、卓越した科学、産業のリーダーシップ、社会的な課題です。これらの分野における研究開発は、どれも国の発展に貢献する可能性を秘めています」
MCCIのニハド・カビル会長は話した。
ホライズン2020は研究で生まれた素晴らしいアイデアを市場に取り込むという理念の下、科学やテクノロジーから官民双方が関わる社会的課題に至るまでの研究を世界中から誘致している。
バングラデシュニュース/The Daily Star Jul 19 2017
http://www.thedailystar.net/business/climate-change-displace-20-30m-bangladeshis-1435390
翻訳:長谷川
#バングラデシュ #ホライズン2020 #研究
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