【The Daily Star】モハンマド・ユスフさん(40歳)は先週金曜日から、カルワンバザールにある小さな鍛冶屋の店先にナタやナイフを並べている。
普段はこういった品物は売らない。バングラデシュの最大宗教行事の一つ、イード・アル=アドハー(犠牲祭)前は肉を加工する道具の需要が高まるため、これらが商品に加えられるのだ。
「私たちは一年中この時が来るのを待っています」
ユスフさんによれば、この時期だけで年間売上の半分を稼ぐという。
イードを目前にした家内工業業者全体にユスフさん同様の興奮が広がっている。犠牲動物の購入や祝祭参加者の輸送で経済が活気づくためだ。
Blacksmiths in Karwan Bazar of Dhaka are hard at work forging knives and other tools. The photos were taken yesterday. Photo: Sohel Parvez
「マクロ経済の観点ではこれは重要な行事です」
世界銀行ダッカ事務所リードエコノミストのザヒド・フサイン氏は話す。
イードの経済規模は約3500億タカ(4713億円)で、そのうち動物の販売だけで3千億タカ(4039億円)が発生していると考えられている。
イードは物品販売者だけでなく、バスや船舶事業者も大儲けさせてくれる。電化製品の販売業者によれば、この時期、冷蔵庫や冷凍庫の需要も高まるという。
中でも国内2番手の輸出部門である皮革・皮革製品では、原材料の年間需要の半分がイード時期に発生している。
家畜サービス局によれば、国内には雄牛445.7万頭を含む1150万頭の牧畜が飼育されているという。このうち地方の農家52.2万軒で334.2万頭がイード用に飼育されている。
「家畜部門の成長にとって重要な役目を持っています」
フサイン氏はいう。
バングラデシュの経済規模は約2500億ドル(27.3兆円)で、動物の飼育はこのうち1.6%を占める。バングラデシュ統計局によれば、この部門の昨年度の成長率は3.32%だったという。
「イードは収入の再分配によって貧困削減に大きな効果を与えています。この時期、農家が飼育した牧畜を販売して収入を得るため、都市部から農村部への現金移転の流れも強まります」
だが、中間搾取があり、農家は100%の恩恵を得られていない。
「これは再分配所得を減らします」
フサイン氏は統治の改善と価値連鎖における仲介者の介入減少を求めた。
牧畜商人や皮商人、なめし職人によれば、年6%を上回る経済成長で購買力が向上しているため、イード中に解体される動物の数は年々増えているという。
バングラデシュ皮革商協会のデルワール・ホサイン会長は、今年の牧畜解体数は昨年に比べて急上昇すると予測している。
理由の一つは2018年に予定されている国政選挙だ。立候補予定者が有権者に十分な施しを行って良い印象を与えるため、選挙区でより多くの支出を行う可能性がある。
政策対話センターのコンドカル・ゴラム・モアッゼム研究責任者によれば、今年は購買力の向上に伴って牧畜の解体が増えるという。
一方、バングラデシュ皮革協会のモハンマド・シャヒーン・アーメド会長は、北部で発生している洪水の影響で購買力が低下し、牧畜解体数は減少するだろう話した。
この感情は、国内最大の牧畜市場であるガブトリ市場において、これまでの来客者数に現れている。
「有望な数字ではありません」
ガブトリ牧畜取引株式会社のモハマド・アムザド・ホサイン事務局長は話す。
カルワンバザールでも同様の事が起こっている。ユスフさんは27日夕方時点でナタを2本売っただけで、期待をはるかに下回っている。
ユスフさんは洪水が今年の売上に影響を与えるのではないかと、強く懸念している。
「まだ私は望みを持っています。売り上げの多くはイード前の2日間で発生するからです」
バングラデシュニュース/The Daily Star Aug 28 2017
http://www.thedailystar.net/business/eid-economy-heating-1455052
翻訳:長谷川
#バングラデシュ #イード #犠牲祭 #市場 #牧畜解体
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