【The Daily Star】自然災害による作物被害を乗り切る助けとなるため、3県で試験運用されている作物保険が人気を集めている。
"気象指標ベースの作物保険"試験プロジェクトは2014年3月、サダーラン・ビマ・コーポレーション(SBC)によってラジシャヒ(Rajshahi)県、シラジゴンジ(Sirajganj)県、ノアカリ(Noakhali)県で始められた。
プロジェクト費用は2億1340万タカ(2.87億円)で、アジア開発銀行が1億6380万タカ(2.2億円)を資金提供し、残りを政府が負担する。
SBCは試験運用の最初の3フェーズで、5399件の保険契約に対し、請求額175.4万タカ(235万円)の決済を行った。各フェーズは3~4カ月けられた。
だが、5月に終了した第4フェーズでは、契約者数は25%以上増加して6772人となり、請求額は約2倍の330万タカ(443万円)になった。
SBC副支配人でプロジェクト責任者のワシフル・ホク氏によれば、農家は主に掛金の50%に相当する助成金に魅力を感じたため、プロジェクトが成功したという。
農家は200~300タカ(269~403円)の掛金を払うが、補償額の上限は1800タカ(2418円)だ。
助成金はプロジェクト費用の一部で、SBCが請求決済を行っている。
このプロジェクトを国内規模で存続可能なものにして農業部門を支えるには、政府による助成金が必要だと専門家はいう。
自然災害が頻発していることで請求総額が掛金総額よりも高くなる可能性があるため、民間企業はこのプロジェクトの推進に意欲的でないとホク氏。
現在、保険は雹や日照り、洪水などの自然災害による作物の損失を補償対象とする。
だが、鉄砲水による被害は補償されない。気象指標では鉄砲水の強さや損害を測定できないためだ。
バングラデシュの農家は気象の気まぐれに脆弱なうえ、気候変動によってさらに洪水やサイクロンの被害を一層受けやすくなった。
だが、従来の保険会社は適切な作物保険制度を提供することができず、農家は保護を得られていない。
作物保険制度はインドではとても人気があり、政府は掛金の70%を助成金として給付する。助成金付きの作物保険はスリランカやインドネシア、タイ、フィリピンでも導入されている。
バングラデシュでは1989年に作物保険が導入されたが、保険会社と加入者双方が損失算定を改ざんしたため、1995年に打ち切られた。
当時は気象状態の悪さを算定する科学的手法が無かったため、最終的に制度の失敗に繋がった。
だが現在は損失を科学的手法で算定できるため、作物保険には大きな可能性があるとホク氏はいう。
現在進行中の試験プロジェクトの下、郡議会の建物の屋根には気象を自動で観測する装置が合計20台設置された。
前バングラデシュ銀行副総裁のコンドカル・イブラヒム・カレド氏によれば、費用が農家にとって高額であるため、作物保険はまだ成功はしていないという。
政府は農家の掛金を減らすことに取り組む必要がある。カレド氏は先日開かれた行事の場で話した。
試験の第5フェーズは2017年12月に終了する。政府はプロジェクトの成功度合いや提言に基づき、作物保険を全国に展開するか決定を下すことになる。
バングラデシュニュース/The Daily Star Aug 29 2017
http://www.thedailystar.net/business/crop-insurance-gains-popularity-1455529
翻訳:長谷川
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