小さきものの苦しみ

小さきものの苦しみ
【The Daily Star】妊娠7カ月のヌール・アンキスさん(25歳)は青ざめ、疲れ、そしておびえていた。彼女は10日間、昼も夜もジャングルや丘陵地帯を歩き、ミャンマーから新たに逃げてきた人のキャンプがあるウキア(Ukhia)のボッグナ(Bagguna)に着いた。

「いくらか歩いては立ち止まり、少し休憩してまた歩き始めました。私は子どもを腕に抱え、もう一人の子は父が運びました」
ヌールさんは話す。

ヌールさんの子、タフラ・ビビさん(4歳)とマンスール・アリさん(2歳)は母親とボッグナ丘陵の斜面に座っていたが、見るからに具合が悪そうだった。最後に食事をしたのは6日の朝だという。

乳児や小さな子どもと共にバングラデシュへ避難した数万人の女性の多くは妊娠しており、ヌールさん同様、食べ物や治療、保護を今すぐ必要としている。

バングラデシュ政府や難民支援を行っている様々な支援機関の見積もりによれば、過去2週間、バングラデシュへ逃げてきた約16万4千人のロヒンギャのおおよそ半分は子どもや若者だとされる。

7日、国連児童基金(ユニセフ)アンソニー・レイク事務局長は、新たにバングラデシュへたどり着いたロヒンギャの約80%が女性や子どもだと発表した。

特派員団は昨日、コックスバザール(Cox's Bazar)-テクナフ(Teknaf)ハイウェイ沿いで避難所を見つけられないロヒンギャの女性や子どもが座りこんでいる姿を見かけた。

「ここで食べ物を待っています」
ザヘダ・ベグムさん(40歳)は9月3日に6人の子どもと一緒に国境を越えてきたが、住む場所が見つからなかった。

最初の2日間はクトゥパロング(Kutupalang)のロヒンギャキャンプのある一家が受け入れてくれたが、その後別の難民を受け入れることになり、ザヘダさんたちに立ち去るよう求めた。

ザヘダさんは道端で4人の子どもと一緒に昼を過ごした。10代の娘2人は安全のため地元民の家に置いてもらった。夜になると家族は再会し、寝床にできそうな場所を見つけて睡眠をとった。

ザヘダさんの娘イスマト・アラさん(10歳)は、朝、通行人がトーストとバナナをくれたと話した。

An exhausted Shukhtara, a class-II student, sleeps on a bed of bamboos in the open at Kutupalong yesterday. Photo: Anisur Rahman


昼ごろにデイリースターが話を聞いたとき、彼女は昼食が食べられるかが分からなかった。
「何かが手に入れば食べます。そうでなければ食べません」

ロヒンギャ難民を支援する非政府組織(NGO)によれば、子どもは多くの点でより大きなリスクにさらされているという。

「深刻な栄養不良に陥っている子どもがいます。多くは病気にかかった状態で発見されます。特別な治療を受けられなければ、これらの子どもは危険な状況になるかもしれません」
"飢餓に対する行動"コックスバザール支部の調整担当者、モハマド・マハディ氏は話す。

ミャンマーからバングラデシュまで長距離を歩いた子どもたちは途中で十分な食べ物が得られず、バングラデシュでもこうした子どもたちに食べ物を提供する取り組みがなされていないとマハディ氏。

8月25日以前、同団体は1千人に昼食と栄養強化ビスケットを配布していたが、現在ではクトゥパロングとウキアで1日あたり2万人近くに配布しているという。
「ですが、十分ではありません」

「これらの子どもの多くは暴力や殺人、拷問、銃撃を目撃して、心に傷を負っています」
同団体はできるだけ精神面の支援も行っているという。

両親を失った子どもは人身売買の大きなリスクにさらされるとマハディ氏は警告する。10代の少女は特にこの傾向が強い。

「多くのロヒンギャの子どもが風邪や熱で苦しんでいる姿を見ました」
国内NGO"ムクティ"の最高責任者、ビマル・チャンドラ氏は話した。

「これらの子どもたちの身元を明らかにし、より良いサービスや保護を受けられるのであれば、定住させる必要があります。それにはいくらかの時間を要します」

While Sadiya tightly holds her two-day-old infant. Shukhtara arrived from Myanmar two days ago and Sadiya yesterday. Photo: Anisur Rahman


ユニセフはこのような子どもを支援する取り組みを拡大しているとビマル氏は話す。

ロヒンギャ難民帰還委員のモハマド・アブル・カラム氏によれば、バングラデシュは子どもが必要としてるものについて認識しているが、突然の大規模な流入は想像を超えていたという。

「これほど多くの人々を支援するための人手もインフラもありません。それでも我々は人道的見地から彼らを助けようとしています。より良い保護を行うためにはいくらかの時間が必要です」
カラム氏はデイリースターに話した。

ユニセフのアンソニー氏は発表の中で、ラカイン(Rakhine)州にいる子どもたち、ミャンマーの暴力を逃れてバングラデシュに来た子ども、どちらも今すぐ支援と保護を必要としていると強調した。

国連のバングラデシュ事務所も同様の呼びかけを行った。

コックスバザールでは様々な国連機関が緊急避難所や食糧、浄水、栄養面の支援を提供している。報道発表によれば、各機関は清浄な水や衛生設備へのアクセスを強化するため、新たな井戸や仮設トイレの設置を急いだという。

移動医療班は新規到着者の健康ニーズに応えるために緊急医療サービスを提供し、医療機関は今回の流入で高まった需要を満たすためにサービスの拡大に取り組んでいる。

脆弱な子どもたちに心理社会面で適切な支援を提供するため、子ども用のスペースも設けたという。

アルジャジーラは国連職員の言葉を引用し、30万人余りのロヒンギャムスリムがミャンマー北西部での暴力を逃れ、隣国バングラデシュに来ることができたと報告した。

バングラデシュニュース/The Daily Star Sep 08 2017
http://www.thedailystar.net/frontpage/little-souls-distress-1459051
翻訳:長谷川
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