貧困減少率減速

貧困減少率減速
【The Daily Star】バングラデシュの貧困減少率は近年減速した。

2005年から2010年にかけて貧困減少率の年平均は1.7%だったが、2010年から2016年にかけて1.2%に低下した。

デイリースターに対し関係者は、平均貧困減少率はバングラデシュ統計局(BBS)が今日公開する報告書のデータから計算されたという。

専門家たちは農業の成長減速が貧困減少減速に大きく影響しているとの懸念を示し、貧困減少の取り組みを勢いづけるには速やかな政策介入が必要だと話す。

また、送金収入額の低下、雇用機会の不足、富の不平等、到達困難な場所にいる貧困者へのアクセスへの課題にも言及した。

BBSが実施した事前の家計収入支出調査(HIES)2016によれば、人口の24.3%が貧困状態で生活している。この数字は2010年当時の31.5%から減少した。

極度貧困者の割合も2010年の17.6%から12.9%へ低下した。

だが、貧困減少の動きはこれ以前の5年間の方が活発だった。これは2005年と2010年のHIES報告書を見れば明らかだ。

今日のHIES-2016の公開は"貧困撲滅のための国際デー"に合わせたものだ。この国際デーは国連が宣言したもので、今年で25回目となる。

今年の国際デーは"平和で包括的な社会の形成"を主題の中心に据えている。

包括的な社会を構築するという夢をバングラデシュで実現するには、農村人口の45%に雇用を提供する農業への投資拡大が必要だと専門家は指摘する。

HIESはBBSの中核をなす活動の一つだ。家計レベルの幅広い社会経済的な情報が含まれ、政府の政策決定に大きな影響を与える。

通常BBSは5年おきにHIESを発表しているが、今回は1年遅れとなった。

国際食糧政策研究所(IFPRI)バングラデシュの運営を主導するアクテール・アーメド氏によれば、貧困減少が減速した第一の原因は農業部門における過去数年間の成長減速だという。
アクテール氏によれば、2012年から2016年までの農業部門の成長率はわずか0.7%まで落ち込んだ。その前の5年間は4.8%と堅調な成長を記録していた。

「我々は継続的に良いGDP成長を記録しており、一人当たりの収入も増えています。それではなぜ貧困減少率が低迷しているのかを理解する必要があります。農業に更なる投資が行われ、少ない土地でより多くの米を栽培できるようになるとともに、米以外の高級作物の栽培でより良い収入を得るためには政策介入が必要です」

「貧困削減が進んでいるのは良いニュースですが、そのペースが遅くなったことは悪いニュースです」
世界銀行ダッカ担当リードエコノミストのザヒド・ホサイン氏は話す。

ザヒド氏は不平等の拡大と雇用機会の不足を理由に挙げる。氏はBBSによる労働力調査に言及し、2003年から2010年にかけて3.1%だった雇用率が、過去6年間では1.9%へ落ち込んだことを説明した。

バングラデシュのGDPと一人当たりの収入額が伸びている中、貧困減少が減速するのは奇妙なことだとザヒド氏は指摘する。
「これらの成長の果実は誰が得ているのでしょうか。富裕層に行ったに違いありません」

ザヒド氏は最新のHIES調査期間の送金収入低迷について言及し、送金収入は農村部の経済に直接的な影響を及ぼし、貧困者の収入増加に重要な役割を担っているとした。

だが、政策協議センター(CPD)のムスタフィズル・ラーマン特別研究員は減速が自然なものだと考える。貧困削減の弾力性により、減少率が低下する可能性があるという。

貧困減少の新たな領域として河川浸食の被害者や僻地に住む人など、より多くの弱者を対象にする必要があるとムスタフィズル氏は話す。

「更なる減少は次第に困難なものになるでしょう。到達困難な人々へのアクセスに的を絞ったプログラムや、社会セーフティネットプログラムの拡大が必要とされます」

ムスタフィズル氏は非常に良好な経済成長全体の指標に言及し、次のように話した。
「これらの成長の一部はテクノロジーが後押しした、労働者を駆逐する形の成長であることを頭に置いておく必要があります」

ムスタフィズル氏は不平等について、本日発表のHIESにどれだけ反映されているか興味があると話す。BBSの今回の調査は標本規模を3倍にしており、貧富の差や地域差、農村部と都市部の差をより知ることができると考えている。

Bangladesh News/The Daily Star Oct 17 2017
http://www.thedailystar.net/frontpage/poverty-reduction-rate-slows-down-1477468
翻訳:長谷川
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