
【The Daily Star】昨年12月、中国武漢から新型コロナウイルスが広がっていったことを受け、東アジア諸国に拠点がある多くの日本企業がバングラデシュやベトナムなど、影響の少ない国へ工場を移転するのではないかとみられていた。
だが、中国から移転を望む企業はごく一部であり、バングラデシュはさほど大きな利益を得ないかもしれないと、先週、日本貿易振興機構(JETRO)の高官が述べた。
一方、既に進出している日本企業の大半がバングラデシュでの事業拡大を検討しているため、投資の成果を享受できる可能性があるとした。
JETROは日本と世界の相互貿易や投資促進に取り組む政府機関で、日本の海外投資のすべてを監督している。
JETROの年次調査によると、中国で事業展開する日本企業の99%が、そのまま事業を継続をするとした。JETROダッカ事務所の安藤裕二所長は、今後数年以内に第三国や地域での事業の多様化を検討しているのは、わずか0.9%に過ぎないと述べた。
「確かに、日本企業が他国へ移転を始めたと言うことはできません。しかし、日本政府は、生産拠点の多様化を支援する計画です」
安藤氏は先週、本紙の取材に答えた。
2019年現在、中国に進出する日本企業は3万3050社に上る。
JETROダッカの統計によると、バングラデシュで事業展開する日本企業は過去10年で4倍に増加し、2020年4月現在310社に達した。また、日本からの海外直接投資(FDI)の累積額は約3.7億ドル(410.7億円)になった。
日本の投資はアパレルやITなど、労働集約型産業を好む傾向があり、こうした商品の調達先を中国からバングラデシュへ変える可能性はある。
COVID-19パンデミックより以前、企業がバングラデシュのような新興国に市場を拡大することを推し進めたのは、中国の労働コストの増加など、別の問題からだった。
JETROの調査では、バングラデシュに進出した日本企業の70.3%が、今後1~2年以内に事業の拡大を検討していることがわかった。この割合はアジアとオセアニアの19の国と地域の中で最も高い。
しかし、パンデミックが続いているため、企業は拡大計画を立てる前に損失を取り戻す必要がある。これは、これらの企業に対する政府の支援が、他の市場へ到達するという決定において重要な役割を果たすことを意味する。
同時に、日本の投資家は、バングラデシュで直面するさまざまな課題について不満があると安藤氏はいう。
「大きな課題は2つあります。第1に税金と外国為替、第2に投資環境の改善です」
企業は高い取引コストを負担し、輸入貿易にかなりの時間を費やさなければならないため、輸入のための電信為替の規制が最も象徴的だ。
バングラデシュ政府は親会社からの運転資金ローンに関する規制を一時的に緩和したが、適格性や任期の制限はさらに緩和されるべきだ。
「財政支援の予算は限られていることは理解しています。そのため、バングラデシュ政府が規制改革(規制緩和)を進め、とりわけ税や外国為替政策、投資環境においてFDIを促進する時が来たのだと強く信じています」
これは国内企業を支援し、世界銀行(WB)の『ビジネスのしやすさ(Ease of Doing Business)』指数の地位向上に直接貢献するだろう。投資家は、投資環境を改善するための政府の取り組みを常に注意深く見ている、と安藤氏は補足した。
Bangladesh News/The Daily Star Jun 1 2020
https://www.thedailystar.net/business/news/japanese-firms-eye-expansion-not-relocation-1907179
翻訳:吉本