[The Daily Star]世界貿易機関の使命は世界貿易を監視することだが、ドナルド・トランプ米大統領の関税攻勢により、世界貿易機関は行き詰まっている。
ジュネーブ高等研究所の国際関係学教授で、貿易政策、法律、WTOの専門家であるセドリック・デュポン氏は、トランプ大統領の動きによって世界貿易機関は注目の的となったものの、行動する力を失ってしまったとAFPに語った。
なぜWTOは弱体化しているのか?
デュポン氏:「世界貿易の予測可能性を保証するというWTOの基本理念は、ドナルド・トランプ氏の態度によって完全に台無しになった。誰もが、貿易交渉にこれほど多くの時間を費やしてきた意味は何なのか疑問に思い始めている。WTOはまさに嵐の目の中にいる。WTOで働く人々は、無力感と少しの落胆を感じているに違いない。」
トランプ大統領は以前にも関税を引き上げましたが、WTOは今より準備ができているのでしょうか?
デュポン氏:「WTOはここ数年弱体化している。トランプ政権下ではさらに悪化し、上級委員会の判事が不足しているため紛争の法的解決が麻痺した」――上級委員会の判事任命はワシントンによって阻止されている。
「上訴の手段がなくなったため、手続きを最後まで進めることができない。一方、トランプ政権の初期には、この可能性は常にあった。WTOは今やさらに無力になっており、米国が関与する貿易紛争を解決できなくなっている。」
「WTOの強みは、加盟国が貿易報復措置によって軌道に戻ることを容認していたことだ。この枠組みは完全に消滅してしまったようだ。」
米国の関税攻勢は多国間貿易体制を崩壊させるのか?
デュポン氏:「貿易における多国間主義の将来は明らかに疑問視されている。基本的にそれは米国ではなく他の国々にかかっている。他の国々はWTO内でどの程度まで協力し続けるのだろうか?」
「関税のインフレスパイラルはWTOにとって危険かもしれないが、他の国々にとっては、問題はこのように解決されるべきではないことを示す機会でもあるかもしれない。」
「しかし、加盟国が推進力を与えなければ、WTOは動かないだろう。世界保健機関(WHO)や世界銀行、国際通貨基金など多くの国連機関とは異なり、WTO自体には行動の余地がほとんどない。」
関税戦争はWTOにとって新しいものなのか?
デュポン氏:「関税の脅威は常に存在してきた。WTOの目標は、保護主義的な動きが一時的なものにとどまるようにすることだ。各国にルールを遵守させ、WTOの正当性を維持するのが狙いだ。しかし、第2次トランプ政権下でこれが実際に実現するかどうかは不明だ。」
トランプ大統領はWTOから脱退する可能性があるか?
デュポン氏:「WTOは米国にとって費用がかからないので、彼がそうしないだろうと私は賭ける。WTOの全体予算はWHO(2024年で34億ドル)に比べると途方もなく低い(2024年で2億2700万ドル)。
「トランプ氏は、それほどの損失はないと言うかもしれない。それに、ある意味では、ルールから逸脱して自分のやりたいことを何でもできるのだ。」
「WTOは彼を傷つけることはできない。なぜなら上級委員会が麻痺しているからだ。法的に拘束力のあるものは何もない。彼はそれで満足していると思う。」
Bangladesh News/The Daily Star 20250223
https://www.thedailystar.net/business/global-economy/news/trump-tariffs-leave-wto-adrift-eye-the-storm-3831096
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