バングラデシュ、世界一の太陽光発電国家を目指す

北部バングラデシュのノオガオ県にある人里離れたIslampur村の住人は、去年の夏の夜、ある家の電灯によって闇が突然明るくなったとき、吃驚仰天した。なぜ驚いたか。村が国の電力網に接続されていなかったからだ。

家の所有者ラフィクール・イスラムは、家庭用太陽光発電システム(SHS)により電力を得られる、おおよそ1500万人のバングラデシュ人のうちの一人だ。これは政府の、電力網の接続がなくてもクリーンエネルギーで村に電気を得ることのできる政策として進められている。

バングラデシュ政府は2021年まで、国内すべての家に電力を供給する目標を持っている。まずは世界銀行や他の開発パートナーの資金援助を受け、家庭用太陽光発電システムプログラムを通じ、2017年まで600万世帯へ220メガワットの電気を供給する計画だ。

家庭用太陽光発電システムは、個々の家の屋根に設置した太陽光パネルを使用する。 250ワットのパネルは、一日で電力1キロワット以上を作ることができる。

イスラムさんに続こうと、Islampurの多くの村人が家に電気を灯し、灌漑ポンプを動かすため、家庭用太陽光発電システムを導入した。

「このシステムは停電しないので、私たちは大いに喜んでいる。国の電力網に接続しているとしょっちゅう停電するから」イスラムさんは言う。

子どもたちは両親と同じくらい満足している。数年前までほとんどの人はテレビやDVDプレーヤーで漫画を見たいときにはバッテリーを一緒に借りるしかなく、年に二回も見られればいいほうだった。

「今、子どもたちは毎日楽しい時間を過ごしているよ」イスラムさんは言う。彼の娘は電気のおかげで夜遅くまで勉強することができると嬉しそうだ。

国営のインフラ開発株式会社(IDCOL)によると、家庭用太陽光発電システムのプロジェクトは2003年、350万世帯(国内の10パーセントの世帯)で始まり、2014年のSHSまで続いた。

「毎月5万から6万世帯が家庭用太陽光システムに接続されています。2014年5月には8万世帯以上を接続しました」
IDCOLのマフムード・マリク社長は言う。同社は非政府組織や企業などを含む47のパートナーと計画を実行している。

バングラデシュの家庭用太陽光発電システムの産みの親で、バングラデシュ太陽及び再生可能エネルギー協会会長のDipal・C・バルアは、1996年に技術が紹介されたとき、太陽光パネルの高コストや、設置のための専門知識の不足という障壁があったと言う。

だが18年経って両方の障壁は緩和し、毎年20万トン、1億8千万ドル相当の石油を節約しているとバルア会長は言う。

「私の夢は再生可能エネルギーを通じて、2020年までバングラデシュの7500万世帯に電気を通し、バングラデシュを世界一の太陽光発電国家にすることです」バルア会長は言った。

政府は、家庭やエンドユーザーに低金利の支払いや、1年から3年以上かけて太陽光パネルを支払うオプションを認める太陽光発電を輸入し設置する民間企業に対し、低金利融資を行っている。100ワットパネルは、おおよそ5万バングラデシュタカ(640ドル)かかる。

SHS計画に加え、政府は2010年から、ベンガル湾のションウィップ島で100キロワットの太陽光プラントの建設を始めた。また2017年までに全国の50ヶ所以上にいわゆるミニ太陽光グリッドを作成する計画があり、組み合わせて1500以上の灌漑ポンプを動かすことにしている。

政府は投資家に助成金や低利融資を提供することで、このプラントに国内や海外からの投資を奨励している。 「私たちは緑のバングラデシュを作るため頑張っています」IDCOLのマリク会長は言った。